自閉症の特性で理美容院に行けない人がいる中、ほんの少しでも励みになれば……
重度自閉症の娘を育てるお母さんがツイートした美容室での出来事が話題になっています。
15年通ってやっとできるようになった、「あること」に称賛の声が寄せられているのです。
BuzzFeedは投稿者で母のAYAさんに話を聞きました。
インタビューの前に、「家族でもない、支援者でもない福祉の柵の向こう側にも娘の成長をともに喜んでくれる人がいる。それがとても嬉しかった。娘にとって宝のような存在だ」と綴られ、8月18日現在、10万以上のいいねを集める投稿とは……?
なんと先日のお休みに初めてシャンプーすることができたのです。
美容師さんの協力あってのシャンプーだったといいます。
「美容室に通い始めた頃は、じっと座っていられない、物に触ろうとする、ドライヤーの音を嫌がる、大声を出すなどありました。でも美容師さんに親切丁寧に対応してもらい徐々に慣れることができました」
どんなに通っても、寝る姿勢で受けるシャンプーだけは怖がって、拒否をし続けていたと話します。
嫌がる姿に、一時は諦めかけていたと話します。そんな時。
「美容師さんから『チャレンジしたい』と励ましをもらい、通いだして15年目に初めてシャンプー台でシャンプーすることができました」
はじめての経験に、美容師さんは泣きながら喜んでくれたと語ります。
「出会いの大切さ、その出会いに感謝することの大切さ、この出会いの中で、大きな喜びと共に様々な感情が溢れました。福祉って特別なことではないと…」
リプライでは同じように障害を持った家族のいる方から「勇気をもらえました。ありがとうございます」「美容院でのシャンプー凄いですね、本当におめでとうございます」など、親子に賛辞を贈る言葉が多く寄せられています。
自閉症の特性について「体験を通じて理解する」のだと答えます。
「そのため、自分の記憶通りにことが運ぶととても穏やかに過ごせるのですが、記憶と異なる展開では不安が強くなり、パニックになってしまうことがあります。穏やかに時間をかけて接することが大切です」
娘さんがシャンプーを受けられるようになった理由について、このように話します。
「自分のペースに合わせてくれる、自分を受け入れてくれるという安心感から信頼感が生まれ、自ら動く気持ちにつながったと思います。自分の思うようにいかなくても諦めずに挑戦し続けた美容師さんのおかげです」
また、美容師さんは娘さんの様子を見て、対応していたと話します。
「娘のペースに合せてわかりやすい言葉で伝え、話し方もゆっくり穏やかな表情で話していました。状況に応じた言葉かけは必要ですが、必要以上に話さない、その日の状況に柔軟に対応してくださっていたので、そういった面にも感謝しています」
そして、出来事を通して伝えたいことは2つあるといいます。
「サービスを提供する側とサービスを利用する側、互いが心地よくなるための心遣いが必要だと思います。予約を取る前に子どもの状態や障害特性など説明し、対応が可能かどうか聞いてみることです」
「ほかの人が簡単にできることでもとても時間がかかってしまうので、柔軟に対応してくれそうな美容室など小さいうちから見つけておくことをおすすめします。子どもの頃から知ってもらい通い続けていけば、大人になっても良い関係が保たれると思います」
障害を持つ子を育てる親御さんへ。AYAさんはメッセージを贈ります。
「障害のある子どもを育てていく中で、つらいと感じることはたくさんあると思いますが、やらない方法、できない理由を探すのではなく挑戦することも大切だと思います」
「地域の居場所づくり、これは子どもにとって重要なだけでなく、より良い地域づくりにつながるんじゃないかと思っています」