不安障害の私が経験した流産、妊活、妊娠。そこから得た16の教訓
妊娠は、体だけでなく心にとっても大変なことだ。
私はレイチェル。現在妊娠25週目。大人になってからずっと、不安障害に苦しめられている。

私の不安は、不合理的な思考と恐怖という形で現れる。何か心配なことについて考え始め、最悪のシナリオを想像し、恐怖におののくといった具合。落ち着く方法を探し当て、現実に戻るまで、その恐怖は続きます。
私は不安障害の薬を服用していない。それは自分で選択したことだ。幸運にも、数年間の対話セラピーと認知行動療法で十分に対処できている。
妊娠は間違いなく、私にとって最悪レベルの不安をもたらす。心身ともに、非常に多くの変化を経験するからだ。
私は、2016年秋に流産した。
ここで深呼吸。そう。私は初めての妊娠で流産を経験した。私たちは最初の挑戦で、いとも簡単に妊娠した。
そして妊娠9週目、夫と私は定期検診に行き、超音波検査を受けた。いわゆる「稽留流産」、自覚症状のない流産に気付いたのはそのときだ。
私の心は打ち砕かれただけでなく、粉々になり、その破片すら消え去った。しかし、周りの人々に打ち明け始めると、ずいぶん気が楽になった。
約1カ月後、私はFacebookに流産のことを書いた。たくさんの友人やその両親、同級生、元同僚が、自身の流産について打ち明けてくれた。30年前の話であれ、6カ月前の話であれ、信じられないほど助けになり、心を癒やしてくれた。
衝撃的な事実なのだが、流産はありふれたことだ(流産の確率は5分の1ほどもある)。最低な体験だが、すぐに再び妊娠し、健康な赤ん坊を産むことも、実はありふれている。
数カ月後、私は「すぐに」再び妊娠した(その数カ月は永遠に感じられたが)。そして、もし再び流産したらどうすればよいかについて、まったく知らない自分に気付いた。しかし、なんとかしなければならなかった。
2度目の妊娠に挑戦したときから、妊娠24週目を無事に迎えるまで、私が正気を失わないために行ったことをいくつか紹介しよう。

ただし、すべての人、すべての妊娠はみんな違う、ということを肝に銘じてほしい。このリストは医学的な助言の代わりになるものではない(それは医師やセラピストに任せるべきだ)。
あくまで私に効果があったことのリストであり、いつか誰かの役に立つかもしれないと思って公開に踏み切った。
妊活中(妊娠に関する掲示板では「TTC」と表記されることも)

1. 「あなたの受胎能力を管理する:自己観察法(FAM)で成功させる妊娠・避妊」、トニー・ウェシュラー(邦訳:明石書店)を読んだ
私は自分の体をよくわかっているほうだと思うが、この本は、妊娠について語り合うあらゆる掲示板で言及されていたため、おそらく何か良いことが書いてあるのだろうと思った。その通りだった!
私の場合は月経周期をチャート化しなかった。私には強迫性障害の傾向があり、精神的に良い影響はないとわかっていたためだ(月経周期のチャート化は、この本の大きなテーマの一つ)。
しかしこの本は、生殖器系を理解するための短期集中講座のような内容だ。妊娠にまつわる面白くて笑える漫画もちりばめられている。
本の紹介ページはこちら。
2. 月経が停止するまで妊娠検査をしない
早く朗報を知りたいあまり、妊娠検査薬を買い込み、セックスのたびに調べたくなる気持ちはよくわかる。しかし、多額の費用がかかるうえ、何カ月も妊娠しないと拷問のように感じられる。
現在、私は妊娠25週目だが、月経開始予定日の2日前に行った検査は陰性だった。妊娠していると知ったのは、月経終了予定日の2日後だ。
このことは、天からの贈り物だったと思うようにしている。妊娠が判明するまでの数日間、妊娠について思い悩まずに過ごすことができたからだ。しかも、ワインを何杯か楽しんだ(最近はワインが恋しくてたまらない。ビールも)。
3. 線の位置で判定する妊娠検査薬を使う(デジタルは不可)

私は、「妊娠している」、「妊娠していない」と表示されるデジタルの妊娠検査装置ではなく、線の位置で妊娠を判定する単純な妊娠検査薬を好んで使用した。
「妊娠していない」という文字を読むだけで気がめいったからだ。少なくとも、線には人の心を打ち砕くという自覚はない。
4. 妊娠しなかったときのため、何か楽しい計画を立てておく
同じ時期に妊活していた友人は、冷蔵庫にシャンパンを用意していた。アルコールを楽しむことができる新たな幕開けを祝うためだ。
大好きな運動のクラスを予約しておくのもいいし、幸せな気分になるのであれば、ソーセージを大量に食べるのもいい。
妊娠中の心の安定を助けてくれたもの

赤ん坊が体内で動くのを感じることができるようになってから、感情的にずいぶん楽になった。しかしそれまで、超音波検査と次の超音波検査の間、私は正気を保つのに必死だった。
5. 担当医を変える
新しい医師を探すのは大変だ。しかし、私は最初に妊娠したときの産科医が好きではなく、彼女に再び会うと考えただけでストレスを感じた。
だから私は担当医を変えた! たとえ彼女と彼女の仕事が素晴らしかったとしても、流産の後で、同じ場所に戻るのはつらかっただろう。
医師を変えたいと思ったとき、それを実行するのはごく普通のことであり、すべての人が持つ絶対的な権利だ。自分の体の問題だから。
新しい産科医は、待ち時間も短く、比較的好きな時間に診察を受けることができた。そして何より、経膣超音波検査の棒が以前より細い(これは大切なことだ)。私にとって、こういったことは本当に重要だった。
新しい医師に一部始終を説明し直すのは面倒だったが、それでも、医師を変えたことに満足している。
6. マントラを唱える

何より助けになったのは、Googleで「妊娠中のマントラ」と検索し、心安らぐマントラ(真言)を見つけることだった。私は携帯電話のメモにマントラを保存し、時折、一日に何度も読み上げている。
お気に入りのマントラをいくつか紹介しよう:
・私が感じ、経験するすべてのことは、母親になるための重要なレッスンの一部。
・私は、妊娠中の私を支えてくれるパートナーを愛し、感謝している。
・私は、世界中のすべての妊婦たちとつながっている。
さらに、どこかの掲示板で見つけたお気に入りの言葉も、たびたび読み返している。
「私たちは被害妄想に駆られることも、惨めな気持ちになることも、何週間か消えてしまいたいと願うこともあるが、それで妊娠の結果が変わることはない。それならば、幸せな気持ちになり、妊娠している自分を祝福しよう。もし最悪のことが起きたときは、それに正面から向き合おう。少なくとも数週間は喜びを感じられたことを理解しながら」
7. 不安の種、つまりGoogleを制限する

インターネットで何か心配なことを調べるたびに、そのことにおびえる人々が集う掲示板が必ず見つかる。まさに、不安が不安を呼ぶ状況だ。
医師に電話をかけ、心配ごとを相談することもできたが、これは体の問題ではなく脳の問題だと私はわかっていた。
Googleを使わざるを得ないときには、調べたい言葉と一緒に「不合理な恐怖」と入力するようにした。そうすることで、自分を落ち着かせる方法についての有益な会話が見つかり、恐ろしい話を減らすことができた。
8. 「お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント」、エミリー・オスター(邦訳:東洋経済新報社)もオススメ

私が本当に求めていたのは、「私が恐れていることは、本当に恐れる価値があることなのか」を教えてくれる本だ。この本はまさにそれを教えてくれた。
オスターは、シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスの経済学准教授で、母親でもある。その両方の経験を生かして、従うべき通説、無視すべき通説をまとめてくれている。
私は、抱き締めたいくらい彼女に感謝している。本の紹介ページはこちら。
9. セラピーに通う

セラピーに通うべきなのは明白だったが、産科医に提案されるまで、妊娠中、定期的にセラピーを受けることが本当に必要なことだとは気付かなかった。
特に私の場合、流産の精神的な負担がまだ残っていた。今となっては、セラピーなしでやっていくことなど想像できない。セラピストによれば、私は今、順調な産後を迎えるための準備も行っているようだ。
10. 気分が乗らないときはテキストメッセージに返信しない

私はテキストメッセージに返信しないと罪悪感にさいなまれるタイプなのだが、一日に何度も「気分はどう?」というメッセージが届くようになったため、返信することが不可能になった。
送信者たちに悪気はないので、返信することが私のストレスになっていることは、彼らに知らせたくないと思った。
そこで、私は返信しないことに決めた。とても気楽で多忙な人間を装い、ただメッセージを見逃しているということにした。
明らかに妊娠のことを話したがっている人々に対しては、まだ心の準備ができていないと丁寧に伝えた。そうすれば、彼らは妊娠の話を控えてくれた。
また私は定期的に、妊娠出産に関する恐ろしい話をしないでほしいと伝えている。少なくとも週1回は、私が動揺するかおびえるとわかっている話を口にされる前に止めている。彼らは例外なく理解してくれる。
11. 水を飲む

これも明白なことだとはわかっているが、どうか責めないでほしい。頭が混乱し、体がおかしな状態になっていると、パニックに陥り、水を飲むことをすっかり忘れてしまうのだ。
妊娠中だった友人が、水を飲むよう医師からうるさく言われると話したとき、私もそうするべきだということに初めて気が付いた。
水は、腹痛や便秘の助けになる。体調がすぐれないときに水を飲めば、きっと幾分か気分が良くなるはずだ。
12. 食べる量を少なくする

私は妊娠16週目まで、毎日1度は嘔吐していた。一日に3度吐くこともあった。決して楽しいことではなかった。
私は医師から、あっさりした食べ物を少量だけ口にするよう言われた。また、食事が「健康的」でないからといって、自分をあまり責めないように言われた。何であれ、口にするほうが、何も食べないよりマシだからだ。
私は基本的に、ジンジャーエールと塩味のクラッカーで生きていた。「本物の食べ物」を口にするときは、少量を心がけた。これは胸焼けにも効果があった。
3歳児の母親である義理の姉からは、耳寄りな情報があった。すぐに吐くと感じたタイミングでピーナッツバターを食べると、嘔吐物はピーナッツバターの味に少し近づくそうだ。私たちのように、ピーナッツバターを愛する人にとっては効果的だった。
13. お下がりの抱き枕
私は妊娠5~6週目ごろ、抱き枕を使い始めた。抱き枕を使うと、よく眠ることができる。ぐっすり眠る妊婦は幸せな妊婦と言われるように、抱き枕には黄金に等しい価値があると思う。
この抱き枕は、私の兄弟の奥さんたち2人も妊娠中に使っていたもの。彼女たちを身近に感じることができるし、自分のひどい症状はよくあることと感じることもできた。
「子育てには村が必要(「子供は地域が協力して育てるもの」という意味のアフリカのことわざ)」という言葉も、思い出すことができた。
14. Fitbitを手に入れる
妊娠第1期の私にとって、ソファーから立ち上がるときは、ほとんどが嘔吐するためだった。しかし16週目を迎えるころには、再び自発的に運動できるようになった。産科医はとても喜んでいた。
私の職場では毎週、アプリを使った「競争心むき出し」のFitbitチャレンジが行われている(つまり、ああだこうだ言いあいながら、健康的な歩数を競いあうのだ)。
これは私にとって、実際に体を動かす最大の動機になっている。私は廉価モデルであるFlex 2を購入することにした。
Fitbitを手に入れたことで、間違いなく、もっと歩こうという気持ちになった。現在は1日平均約8000歩、距離に換算すると数キロ歩いている。
職場のチャレンジではいつも最下位だが、歩くことでエネルギーがみなぎり、あらゆる点で以前より気分が良くなっている(本当のことを言えば、私の歩数は同僚たちの1.5倍でカウントされるべき。そう思わない?)
重要な注意点:妊婦にとって運動は素晴らしいことだが、過剰な運動は良くない。医師に確認することを忘れないように!
Fitbit Flex 2の紹介ページはこちら。参考のために言っておくと、心拍数を測定する機能は付いていない。
15. 心の準備ができていないときに、妊娠を発表しない

最初の妊娠で流産した私は、2度目の妊娠で、いくつもの全く新しい節目を迎えた。
再び妊娠したとわかったとき。初めて赤ん坊の心拍を見たとき。2度目の妊娠が、1度目の妊娠期間を過ぎたとき(この日を「バルーンデー」と呼ぶ人がいることを知り、私はデスクで少し泣いてしまった)。妊娠第2期に入った日。そして、赤ん坊が「生存可能」になる24週目を迎えたとき。
多くの人は、妊娠第2期の節目である13週目に妊娠を発表する(流産の80%は妊娠第1期に起きるため、慣例として「安全」なタイミングと考えられているのだ)。しかし、私にとっては時期尚早だった。
ところが突然、知り合いの女性たちがFacebookで次々と妊娠を発表し始めた。私より出産予定日が遅い人もいた!
私は奇妙な気持ちになり、恥ずかしく思い、恐ろしくなった…夫とセラピストから、「それなら発表しなければよいのでは?」と言われたため、私は発表しないことに決めた。
16. 妊娠23週目のある日。鏡に映った私のおなかは美しく膨らみ、娘が中から蹴るのを感じることができた。私はそのときが来たと悟った。

私はFacebookに、「Dad's」(「お父さんの」という意味のブランド名)のルートビアを飲む夫の写真を投稿した。後悔はなかった。
そして、ベビーシャワーの計画を立て、ガレージセールでベビー用品を購入し始めた。私と私の精神的な回復にとって、これらは本当に大きな一歩だ。
妊娠24週目を迎えた私はついに、9月に赤ん坊が生まれることを受け入れた。ただし、この先どうなるかはわからないため、私のアドバイスはここまで!

この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan