「反イスラム法」への抗議運動を受けて、インド政府がインターネットを遮断

    「反イスラム法」と呼ばれる市民権改正法では、インド近隣の3国からの移民が市民権を取得しやすくなるが、イスラム教徒はこれに含まれない。何千人もの人々が路上でデモを行っており、モディ政権は厳しく対応している。

    Sajjad Hussain / Getty Images

    12月19日、ニューデリーで行われたインドの市民権法改正法に反対するデモで、スローガンを叫ぶデモの参加者ら。イスラム教徒に対する差別と受け止められた市民権法改正法に対する怒りが全国で高まり、多くのインド市民が政府の集会禁止令に従わず、抗議を行った。そして警察とデモ隊との衝突、暴動が起き、6人が死亡する事態となった。

    12月19日、物議を醸している市民権法改正法に対する大規模な抗議を受けて、ニューデリー警察当局が国内大手の携帯電話キャリア各社に音声、テキスト、インターネットのサービスの停止を命じた。

    インド首都のニューデリーの数百万台の携帯電話は、完全に利用できない状態になってしまった。

    これまでにインドの地方、州、および国家当局は、インドで混乱が起きそうになると、インターネットの通信を定期的に遮断してきた。2012年以来、インドでのインターネット通信の遮断を記録してきたデジタル支援グループのSoftware Freedom Law Centerによると、インドでインターネットの通信が遮断されたのは今年で96回目とのことだ。

    インドのカシミール地域は、インド政府が自治権を剥奪した8月以降インターネットの通信が遮断され、またこの数日間でインド全国で抗議が広まったため、インドの5つの州の数十の地区が、インターネットの通信を遮断されてしまっている。

    しかし、インド議会がある首都ニューデリーで携帯電話通信サービスが遮断されたのは初めてのことだ。

    BuzzFeed Newsが確認した、デリーのすべての主要な携帯電話キャリアに送られた警察の命令のコピーでは、「現在のインドの治安状況を考慮して」「音声、SMS、およびインターネット」サービスを停止するよう命じている。

    また、キャリアがサービスを停止するように命じられた地域のリストも確認することができる。ニューデリー北部や東部が主な対象となっており、イスラム教徒の多い地区が含まれる。

    先週、ヒンドゥー至上主義色が強いモディ政権が提案し、議会で可決された法案に対して国内で抗議デモが広がる中、携帯電話の通信サービスが遮断された。

    この法案により、キリスト教、シク教、仏教など6つの宗教を信じるパキスタン・アフガニスタン・バングラディシュからの移民がインド市民権を取得しやすくなるが、イスラム教徒はここに含まれない。

    インド当局は携帯電話サービスの遮断に加えて、大規模な集会を禁止。著名な知識人を含む数千人も拘束した。

    そしてニューデリーにある数十の地下鉄駅を閉鎖することにより、抗議活動の取り締まりを行っている。

    インドの2大携帯電話キャリアであるエアテルとボーダフォンは、19日の朝にデリーのユーザーからのクレームを受けた後、当社は政府の命令に従っているだけだとツイートした。しかし、このツイートはすぐに削除された。

    インドの3番目の大手キャリアであるジオは、デリーで影響を受けるユーザーにテキストメッセージを送り、インターネットサービスは「今後のさらなる通知があるまで」停止したままだと伝えた。

    19日の夕方までには、ほとんどのユーザーへ通常通りのサービスが再開した。

    エアテルとボーダフォンはコメントを控えた。BuzzFeed Newsはジオの広報担当者にコメントを求めているが、現時点で返信はない。インド政府の国家安全保障を担当する内務省の広報担当者も、コメントの要求には応じなかった。

    インドでは5億人以上がインターネットを使用しているが、そのデバイスのほとんどはインターネット対応のスマートフォンだ。

    インド当局は、噂やデマの拡散を防ぐのに役立つとしてインターネットへのアクセスを遮断することを過去に正当化していた。しかしこれにより、国民による意見の主張や団体の結成が困難となる。

    「世界最大の民主主義国の首都がインターネットを遮断し、市民のコミュニケーションを遮断しているということは、本当に憂慮すべき事態です」と、SFLCの技術弁護士兼創設者であるミシ・チョードリー氏が声明で述べた。

    「これは前例のないことで、デジタルリーダーになるというインドの願望にとって、不可逆的かつ有害な影響を与える可能性があります」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。