目や耳や手足に障害のある人の生活をお手伝いする身体障害者補助犬(ほじょ犬)。
そんなほじょ犬のために設置されたトイレを、さいたま新都心駅で発見した人の投稿が話題になっています。
投稿には「初めて知りました」「素晴らしい取り組み」など多くのコメントと5万件を超える“いいね”が寄せられました。
シゴカさんが発見した「ほじょ犬トイレ」
「毎日頑張ってお仕事をしている犬のために、もっと増えて欲しい」
シゴカさん(@shigoka2)は、 「ここはほじょ犬用のトイレです」 と表示されたトイレを駅で発見。
「長い移動で我慢している子もいるかもしれないもんね……毎日頑張ってお仕事してる。もっと増えて欲しいです。」
と投稿しました。
トイレには人口芝が敷かれていて、「ちょっと前はステンレスだったけど、最近になって人工芝になった」とのコメントがありました。ほじょ犬が用を足しやすいように、日々改良されているようです。
人工芝が敷かれたトイレ
こちらの投稿には、
「ほじょ犬だって生きてる。でも補助の仕事中は飲み食い排泄一切しない子たち。補助される方の遠出のためにもほじょ犬のためにも、もっと必要な施設」
「凄ーい、初めて見たー! 何処の駅だろう? 首都圏かな? 私も実物を見てみたいなー」
「どうかわんこが我慢することのないよう、こういうトイレは色んな所に沢山設置してほしいね」
など取り組みに賛同する多くのコメントが寄せられ、話題になっています。
編集部はほじょ犬トイレを管理しているJR東日本大宮支社にお話を聞きました
――こちらは2019年4月1日に設置されたとのことですが、間違いありませんでしょうか?
2019年4月より使用を開始しています。
――ほじょ犬トイレはどういった経緯で設置されたものでしょうか?
さいたま新都心駅付近には、多目的イベントホールやショッピング街があり、たくさんのお客さまが利用されるため多機能トイレを整備いたしました。
その際に新たに「ベビー休憩室」や、目の不自由なお客さまなど補助犬をお連れのお客さまに配慮した「ほじょ犬トイレ」も併せて整備いたしました。
――JR全体で、他に導入している駅はありますか?
JR東日本管内では、一ノ関駅に簡易的な盲導犬用トイレがあると聞いていますが、このようなトイレ設備については、さいたま新都心駅のみになります。
――利用状況はいかがでしょうか?
明確な使用実績は分かりませんが、駅社員の印象では、補助犬トイレを利用されるのは「月に1~2回程度」とのことです。
――以前は人口芝ではなくステンレスだったというコメントがありましたが、これはいつ、どのような経緯で追加されたのでしょうか?
補助犬トイレの「座面」はステンレス製で滑りやすかったため、現在は人工芝を敷いています。
補助犬が用を足す際に難儀しており、座面に人工芝を敷くことで自然の芝生のような状況を作り出し、少しでも補助犬が快適にトイレを使用することができるようにと、2022年9月頃に改良しました。
――ほじょ犬トイレならではの、使用者が使いやすい工夫やアイデアなどはありますか?
ほじょ犬トイレの内側と外側に音声装置を設置し、音声による案内を実施しています。
また自動ドアの内外と、トイレ内のインターフォンの下部に点字プレートを設置し、案内しています。
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ほじょ犬も、飼い主も利用しやすいように、工夫やアイデアで満たされたトイレなんですね。
実際に盲導犬と暮らす、視覚障害者のAさん(仮名)にもお話を聞きました
――普段から盲導犬を利用されているとのことですが、外出時のトイレはどうされていますか。
我慢させているということはなく、ほじょ犬一頭一頭の排泄時間を管理してあげて、その時間になると利用者が「ワンツーワンツー」と声掛けしてトイレを促し、排泄させるという訓練をほじょ犬が幼いころから行っています。
普段は多目的トイレや、理解のある施設の人目につかない場所を利用して「ワンツー」をしていますが、私のように目の見えない方は床に直接排泄させてしまうと、片付ける際にどこに排泄物があるのかわからなくなってしまいます。そのため「ワンツー袋」と呼ばれる腰に装着して直で排泄させる装備を利用できるよう、訓練を受けています。
――ほじょ犬用トイレがあると便利でしょうか。
主要駅の多目的トイレは混み合うことも多く、その場合は犬を待たせることがあるため、そういった施設はとてもありがたいと思っています。
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訓練されて我慢できるとはいえ、ほじょ犬が気持ちよく仕事ができるように整備されたトイレは非常にありがたいと教えていただきました。
こういった人にも犬にも優しい施設が今後増えていくことを願っています。