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肺がん患者にヤジ飛ばした国会議員が謝罪 しかし・・・「喫煙者を必要以上に差別すべきではないという想いで呟いた」

がん患者が喫煙者を差別? むしろ、喫煙者の気持ちに配慮した答弁をしていたのに・・・

受動喫煙対策を訴えた肺がん患者に国会議員が「いい加減にしろ!」とヤジを飛ばした問題で、ヤジを飛ばした自民党の穴見陽一衆院議員が21日、「心からの反省と共に深くお詫び申し上げる次第でございます」と謝罪のコメントを出した。

しかし、ヤジ発言の意図については、「喫煙者を必要以上に差別すべきではないという想いで呟いたものです」とし、まるでがん患者が喫煙者を差別したかのようなコメントをしている。

ヤジを飛ばされた日本肺がん患者連絡会理事長の長谷川一男さん(44)は、「喫煙者を差別する意図は全くないことは、答弁の内容をきちんと聞いてもらえばわかるはずだ。ただ、ヤジを認めて謝罪していただいたことは評価したい」と話している。

ヤジをその場で聞いていた全国がん患者団体連合会理事長の天野慎介さん(44)も「喫煙者を差別したかのように誤解されるのは、長谷川さんの思いと違うのではないか。真摯に議論していただきたい」と苦言を呈した。

問題が起きたのは、受動喫煙対策が盛り込まれた健康増進法改正案を審議した6月15日の衆議院厚生労働委員会。

参考人として招かれた長谷川さんが、屋外での喫煙について問われ、意見を述べた時に、議員席に座っていた穴見議員から2回「いい加減にしろ!」とヤジを飛ばされていた。

BuzzFeed Japan Medicalが21日朝に独自に報じたところ、同日午後、穴見議員は公式ウェブサイトなどで「お詫び」と題した文書を公表した。

穴見議員はまず、「この度、去る6月15日に行われた衆議院厚生労働委員会において、参考人のご意見の際、私が『いい加減にしろ』といったヤジを飛ばしたという報道がありました」と事実関係を確認した。

その上で「まずは参考人の方はもとより、ご関係の皆様に不快な思いを与えたとすれば、心からの反省と共に深くお詫び申し上げる次第でございます」と謝罪の言葉を述べた。

ところが、参考人にヤジを飛ばした意図についてはこう釈明した。

「もちろん、参考人のご発言を妨害するような意図は全くなく、喫煙者を必要以上に差別すべきではないという想いで呟いたものです。とはいえ、今後、十分に注意して参りたいと存じます。 この度は誠に申し訳ありませんでした」

実際のところ、1回目のヤジは長谷川さんが「喫煙者の方がどこも吸うところがないじゃないかとおっしゃるのもすごくよくわかります」と喫煙者の思いにも配慮した発言をした直後に発せられていた。

がん患者が喫煙者を差別していると誤解?

長谷川さんは、「喫煙者を差別する意図は全くない。ただ、言った言わないの議論になって法案審議がおろそかになるのを一番恐れていたので、ヤジを認めて謝罪していただいたことは評価したい」と話した。

その上で、「年間1万5000人が死ぬ命の問題なのだということを改めてしっかりと受け止めていただき、その問題意識を根幹に据えて受動喫煙対策を推し進めていただきたい」と注文をつけた。

やはり参考人として招かれ、長谷川さんの隣の席でヤジを聞いていた全国がん患者団体連合会理事長の天野さんは、穴見議員の”釈明”について疑問を投げかけた。

「長谷川さんは肺がん患者の立場から受動喫煙を全てなくしてほしいという思いを抱えながら、それでもむしろ喫煙者の思いに理解を示していたはずです。それにも関わらず、喫煙者を必要以上に差別していると誤解されるとは、長谷川さんの思いと異なるでしょう。コルセットを外し、体を賭けて受動喫煙対策への思いを訴えた患者の思いに耳を傾け、真摯に議論していただきたい」

NHKの報道などによると、21日、衆院厚生労働委員会の理事懇談会が開かれ、野党側からこの問題を調査するよう要請されたのに対し、自民党は対応を協議して近く回答すると答えたという。

また、穴見議員の前の席にいて、ヤジを聞いて振り向いて笑ったとされる自民党議員は、BuzzFeed Japan Medicalの取材に「参考人質疑中、穴見議員は色々とおっしゃっていたが、文言を明確には覚えていません。振り向いたのは、彼の声がやや大きくなり気になったので、控えるよう促すために理事として行ったことです」と答えた。

受動喫煙対策を訴える肺がん患者にヤジ 国会議員「いい加減にしろ!」

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追記

長谷川一男さんのコメントを追記しました。