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国境なき医師団、ウクライナ国内で待機 医療支援を準備中

国境なき医師団はウクライナでの医療支援活動を一時停止。国内で待機しながら、緊急援助や医療物資の提供を検討しているところだと言います。

ロシアの侵攻で怪我をし、体調を崩しているウクライナの人たちは、支援を受けられているのだろうか?

BuzzFeed Japan Medicalは2月28日、紛争地などで医療・人道援助活動を行っている「国境なき医師団日本」の広報部メディア担当シニアオフィサーの舘俊平さんに状況を聞いた。

医療援助はいったん休止中 緊急援助を国内外から検討

国境なき医師団はこれまでもウクライナの国内で活動してきた。

ウクライナ東部セベロドネツクでのHIVケア、北西部ジトーミルでの結核ケアのほか、東部ドネツクでの医療アクセス改善など、結核やHIVなどの感染症対応を中心に行っている。

「社会の医療体制からこぼれ落ちた弱者向けの診療をやってきました。親ロシア派とウクライナの境界線に近いところについてはメンタルの問題も悪化しており、医療だけではなく心理ケアも提供していました」と舘さんは説明する。

今回の紛争が長引けば、高齢者や慢性疾患を抱える患者への影響も考えられる。

状況の緊迫に備え、ドネツク州やルハンスク州の複数の病院と連絡を取り合い、救急医療や外科手術に備えたトレーニングを行い、マリウポリの病院には救急外傷キットを提供してきたという。

ところが今回のロシア侵攻で、医療スタッフ自身にも身の危険が迫っていたため、全ての医療支援活動はいったん休止した。

「この声明が、『国境なき医師団がウクライナから撤退した』という誤解を生んでいます。今は一時的に安全なところに避難していますが、国内にはいます。緊急医療援助をどうするかを検討しているところです」

また、ロシアとベラルーシにいる部隊も、ウクライナ近隣諸国からの医療援助をどうするか検討中で、ベルギーなどにある医療物資のセンターでは、物資提供を検討しているところだ。

状況を注視し、医療支援を準備中

ウクライナに現時点では日本人スタッフは入っていない。

舘さんは「軍事侵攻があるので、外科的な治療も必要ですし、国外に逃れた避難民の医療対応も必要だ」と医療支援の必要性を認識している。

「今回の紛争がウクライナの人々の及ぼす影響について憂慮している。何万人もの人が避難している状況を注視するとともに、医療支援の準備を進めている」と語った。