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男女問わず若い世代にも増えている梅毒 どんな病気? 検査は? 治療は?予防法は?

今年も過去最高を更新する勢いで急増している梅毒。男女問わず若い世代にも増えていますが、どんな病気なのでしょうか? どんな検査をして、どんな治療をしたら治るのでしょう?泌尿器科医の小堀善友先生に聞いてみましょう。

梅毒が急増しています。

国立感染症研究所の統計では、国内の今年29週までの報告数は6385人と昨年同期(3110人)から倍増。過去最高だった昨年(速報値、7790人)を大幅に上回る勢いです。

梅毒はどんな病気? どんな治療をしたら治るの? どうやって予防したらいいの?

性感染症を専門とする泌尿器科医の小堀善友さんに話を聞きました。

梅毒ってどんな病気?

——梅毒とはどういう病気なんですか?

小堀先生:梅毒とは、「梅毒トレポネーマ」という病原菌が感染することによって起きる病気です。体に出てくる皮疹、ブツブツが、楊梅(ヤマモモ)の実に似ていることから「梅毒」という名前になっています。

ここ数年、非常に増えていて、特に20〜40代の男性と20代の女性で増えています。性風俗を利用する男性、性風俗に従事する女性が多いです。

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感染経路は? 予防法は?

——どうして梅毒にかかるのですか? 主な感染経路と予防方法について教えて下さい。

小堀先生:梅毒は性交渉によってうつります。

予防するためにはコンドームなど十分な予防策が必要です。ただ、時には口からも感染してしまうことがあるので、注意が必要です。

どんな症状があるの?

——どんな症状が現れるのですか?治療せずに放っておくとどうなっちゃうのでしょう?

小堀先生:梅毒は、主に1期2期(3期も含めた)後期と分かれます。

1期の場合は、感染してから3週間後に、感染した陰茎(ペニス)や女性の性器に、硬性下疳(こうせいげかん)という軟骨のようなかたいしこりができることがあります。

陰茎だと、亀頭の部分や包皮の部分にもできます。女性だと膣の周りにできます。オーラルセックスをしていると、唇の周囲や口の中にできることもあります。5ミリから2センチ前後になって、あまり痛みは感じません。

このしこりはしばらく放っておくと、自然になくなってしまいます。でも治ったわけではないので、注意が必要です。

2期では、感染から約3ヶ月後に、体中に皮疹(ブツブツ)ができてきます。梅毒の菌が体中に広まってきていることを表しています。この時の皮疹は、小さなバラを皮膚に散らしたように見えるので「バラ疹」とも言います。

バラ疹は、手のひらや足の裏にも出てくるのが特徴的です。このバラ疹もしばらくすると、自然に消えてしまうことがあります。それでも治療をしなければ、治ったことにはなりません。知らない間に進行していきます。

感染後、1年以降経過すると、後期梅毒というものになります。この後期梅毒まで進むと、潜伏梅毒と言って、全く症状が出ない時期もありますが、後期梅毒になると心臓や脳のような体の重要な臓器に影響を与えてしまうことがあります。

ただ、現在では検査やお薬も発達していますので、ここまで進行する人はなかなか見られません。

——妊娠中に梅毒に感染したら、赤ちゃんは大丈夫ですか?

小堀先生:妊娠中に感染すると、母子感染によって赤ちゃんに「先天梅毒」を引き起こす恐れがあります。早産や流産、赤ちゃんに障害が残る可能性があります。

妊娠中の浮気で、奥さんだけでなく、赤ちゃんにも病気の影響を与えてしまうことがありますから、注意して下さい。

どんな治療をするの?

——どのような治療をするのですか?後遺症はあるのでしょうか?

小堀先生:梅毒はペニシリンというお薬がとてもよく効きます。1期、2期の場合だったら、ペニシリンの注射をお尻に1発うつか、飲み薬を4週間飲むだけで治っちゃいます。9割以上が1ヶ月で治療は終了しています。


後期梅毒になっても、注射を3回うったり、飲み薬を一定期間服用すれば治すことができます。

適切な検査と治療を受ければ、しっかりと治すことができる病気です。100%治りますので、怖がる必要はないですよ。

適切な治療をすれば後遺症が残ることはほとんどありません。

ただ、後期の梅毒になると、心臓や神経に影響を与えることがあります。その場合は後遺症が残る可能性もありますが、そこに至ることはほとんどありません。

性交渉の相手に伝えた方がいい?

——性交渉した人には感染の可能性を伝えたほうがいいですか?

小堀先生:そうですね。セックスする人にはうつす可能性がありますので、性的なパートナーさんみんなに知らせる必要があります。性交渉から6週間以上経ってから検査を受けて、異常があれば治療した方がいいです。

もしかしたら梅毒かも...どこに何をしに行けばいい?

——実は私、梅毒かもしれないんです。まずどうしたらいいですか?

小堀先生:あなたがもし、梅毒にかかっているかどうか心配な場合は、ぜひ血液の検査を受けにきて下さい。

検査を受けられる場所は、性感染症を診ている泌尿器科や婦人科、皮膚科、もしくは性病科というところを受診してもらったらすぐわかると思います。

保健所で受けることもできますよ。最近では郵送検査もできて、自宅にいながら匿名で調べられるようになっています。

感染してから6週間以内に検査をすると、本当は陽性なのに陰性が出てしまう「偽陰性」になってしまう可能性があります。ですから、不安な性交渉があってから、6週間以上経ってから検査を受けることをお勧めしています。

ただ、性器にかたいしこりができている場合は、6週間経たなくても陽性となることが多いです。患者さんの過去の行動と症状から、検査結果に関係なく、梅毒と診断することもありますよ。

不特定多数と性行為...こまめに検査したほうがいい?

——不特定多数の人と性行為をする場合、こまめな検査は必要ですか?

小堀先生:厚生労働省の調査で、性風俗をよく利用する人、性風俗で働いている人は、梅毒への感染リスクが高いとわかっています。そういう人は、しっかりと定期的な検査を受けるようにしましょう。

うちのクリニックで定期的に検査を受けて知識を身につけた性風俗で働く女性が、お客さんの体を見て、「あなた梅毒かもしれないから検査を受けたほうがいい」と紹介してくれることもあるんですよ。

また、最近は「パパ活」などで多くの人と性交渉する可能性がある若い女性も増えていますね。マッチングアプリで出会って性交渉して感染したという人もクリニックに来ます。

そんな方でもリスクが高くなっていますので、心配な方は検査を受けることをお勧めしています。

——どのぐらいの間隔で検査は受けたほうがいいですか?

小堀先生:性風俗で働いている方に関しては、少なくとも1ヶ月に1回検査を受けることをお勧めしています。その時は、梅毒だけでなく、淋菌やクラミジア、HIV、肝炎ウイルスを調べることをお勧めしています。

毎月が無理だとしても、少なくとも3ヶ月に1回は検査を受けてみて下さい。自分の身を守るためにもよろしくお願いします。

かかったら、もうセックスできない?

——梅毒にかかったらもう一生、性行為はできなくなりますか?

小堀先生:そんなことはないですよ。1期や2期の梅毒だと、1発注射をうっちゃえば治っちゃいます。

我々のクリニックでは、1ヶ月後に「抗体価(RPR)」が下がっていることを確認できれば、その時点で治ったと判断します。その時点から「セックスしてもOKですよ」と伝えています。

治っても再感染することも 適切な予防と検査を

——ニュースで梅毒が増えていると聞きます。大丈夫なんでしょうか?

小堀先生:梅毒は近年では過去最悪のペースで患者が増えています。自分自身が心配な人はぜひ検査を受けて下さい。

また、自分の身を守るためにも性交渉をする時はコンドームなど、適切な予防策をとることをお勧めしています。オーラルセックスでもうつることがあるので、注意して下さいね。

治療してちゃんと治ったとしても、感染している人と性交渉をすれば再感染するリスクもあります。

適切な時期に適切な検査を受けていただければ、きちんと治療できる病気です。不安な人は、検査を受けてみて下さい。

気をつけながら性交渉を楽しみましょう!


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