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三菱総合研究所の子会社で麻疹(はしか)が集団発生 対外的にも大きな影響

三菱総合研究所の子会社「三菱総研DCS」で麻疹(はしか)が集団発生し、全社員の抗体検査や取引先、顧客への連絡など対応に追われている。

三菱総合研究所の子会社「三菱総研DCS株式会社」(東京都品川区、松下岳彦社長)で、9月17日以降、麻疹(はしか)が集団発生していることがわかった

同社では、感染が判明した10人を出勤停止にしたほか、取引先や顧客への連絡、社内外のイベント・会議の中止、品川本社全社員の抗体検査やワクチン接種など感染拡大を防止するための対応に追われている。

BuzzFeed Japan Medicalの取材に対し、同社コーポレートコミュニケーション室室長の加藤妙子さんは、こう話す。

「企業の社会的責任を考えて、社長をトップとする対策本部で毎日感染拡大の防止に追われている。恥ずかしながら、麻疹や風疹が流行しているという危機感がなかった」

システム開発部署で10人が発症

同社によると、システム開発部署に常駐している40代の協力会社男性社員から、「医療機関で麻疹と診断された。発熱など麻疹の症状がある」と9月17日に報告があったのが、最初の感染者だった。

この社員は神奈川県に住んでいるが、どこで感染したかは不明だという。

この部署では100人ほどの社員が働いており、保健所の指導を受けながらその日のうちに症状確認などを行った。翌日以降に新たな感染者の報告があり、これまで20〜50代の男女10人が感染していることがわかった。

男性が9人で、10月3日にも新たな感染者の報告があった。

同社では、感染者を出勤停止にしたほか、システム開発部署で働く約100人について、家族に妊婦や1歳未満の子どもがいる場合は、感染による重症化が予想されるため、接触を避けるように指示した。

また、10月1日以降、同じ品川本社にいる約1000人の全社員・協力社員に対し、麻疹に対する免疫があるか調べる抗体検査と、抗体価が低い場合はMRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)の接種を始めている。

さらに、感染した社員に接触した可能性のある全ての取引先や顧客に連絡。10月1日以降の全ての会議や社内外のイベントを中止した。

会社運営にも対外的にも大きな影響

昨年から風疹が流行し、麻疹も全国で度々発症者が出ているが、「恥ずかしながら、企業としての感染症流行への危機感がなく、これまで検査やMRワクチンを受けさせるなどの予防策も考えたことがなかった」と加藤室長は言う。

「現状は二次感染までで抑えているが、三次感染まで拡大しているかは来週後半ぐらいにわかると思う。何よりもお客様や取引先に感染を広げるのは避けるべく、社長以下で連日、会議を開き、対策をたてている」としている。

国立感染症研究所によると、2019年の麻疹報告者数は、9月22日までに693人。ちなみに風疹は2196人で、どちらもMRワクチンを2回接種することでほぼ免疫がつく。

麻疹は「空気感染」で、同じ空間にいるだけで空気中に漂っているウイルスに接触して感染する感染力の高い感染症。

発熱、鼻水、喉の痛み、 咳など風邪に似た症状が出る初期に感染力が高い。口の中の粘膜に白いブツブツが出た後、高熱が続き、全身に発疹も出る。

解熱剤などの対症療法しかなく、一部、肺炎や脳炎を起こすなど重症化して1000人に一人が死亡すると言われている。