みなさんが医療を受ける時、自己負担額は1〜3割ですね。
これは、病気になったり、事故に遭ったりした時、高額な医療費を負担しなくても済むように、国民全員がなんらかの公的医療保険に入る「国民皆保険制度」があるからです。
困った時はお互いに助け合うこの制度があることによって、私たちは安心して毎日を過ごすことができます。
ところが少子高齢化や高額医薬品の開発で、この国民皆保険制度はこれからももつのかと漠然とした不安が広がり、度々議論されています。
日本医療政策機構が一般国民に意識調査をしたところ、若い世代ほど悲観的であることがわかりました。
国民皆保険 「続くと思わない」33.4%
この調査は、医療に対する国民の認識を聞き、政策提言につなげようと同機構が2006年から続けているものです。
今年は7月に、全国の20歳以上の男女2434人にインターネットで調査票を送り、2000人から有効回答を得ました。
医療費の問題についてはどう考えているのでしょうか?
国民皆保険制度が2040年まで続くと考えているのは約46%。続くと思わないという人も33.4%おり、医療制度の将来に不安を抱いている人が一定程度いることがわかります。
年代別に回答を見てみると、30代を中心に若い人ほど悲観的な回答をしています。30代後半〜40代はバブル崩壊後の就職氷河期を経験したロストジェネレーション世代、30代、20代は日本経済が下り坂の時代しか記憶にないので、これが実感なのでしょうか。
そして、「医療費はもつのか?」と不安をかき立てる大きな要素の一つが、高額医薬品の開発のようです。国内初のCAR-T細胞療法、白血病の治療薬として承認された「キムリア」の薬価は1患者あたり3349万3407円。しかし、患者や国民の自己負担増は望まれていません。
明らかに治療効果のある患者のみに使うことや医薬品の価格を下げることで、高額医薬品を使えるようにしたいという意見が上位に入りました。
高額な医薬品を保険で使えるようにすれば、自己負担額以外の費用は、保険料や税金でまかなわれます。それでも約8割の人は、保険を適用することに賛成しました。
国民皆保険は皆で医療費を負担し合う仕組みなので、保険適用に賛成するということは「みんなで負担する」ことに同意したということになります。
日本の医療や医療制度については62%が満足と答えています。特に医療の安全性や診断・治療などの技術の質は満足度が高いことが見て取れます。
しかし、この質の高い医療をこれからも維持していくためには、高齢化で医療費が膨らみ続け、財源は限られる中で、何を優先して医療費を振り分けていくか、負担割合をどうするか、みんなで見直していく必要があります。
より良い医療の提供のために、9割近い人が医療機関や政府だけでなく、民間企業や市民社会などの協働が必要だと考えています。でも、現在の日本でそれができていると思う人は約32%のみ。
そして、約8割が医療政策を決める際に、自分の声を反映させたいと考えています。
要望だけを伝えるだけではなく、私たちは今後、どんな医療を受けたいのか考えた上で、自分たちの医療のかかり方も変えていかなければいけません。
これからの医療を考えるのに必要な情報をBuzzFeed Japan Medicalは届けていきます。