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「障害者は仕事中にトイレに行ったり、水を飲んだりできないのですか?」 障害当事者団体、仕事中の介護保障を求めて厚労省前で署名活動

重度の障害者に長時間の見守り介護を可能とする「重度訪問介護制度」。仕事中に使えないのはおかしいとして、障害当事者の団体が厚労省前で署名活動をし、自身も重度の障害がある国会議員、天畠大輔氏も参加しました。

重い障害がある人に対し、長時間の見守り介護を可能とする国の「重度訪問介護」の制度。

この公的介護制度を通勤中、就労中に使えないのはおかしいとして、制度の改善を求める署名活動を障害当事者団体が行っている。

師走の12月26日、東京・霞が関の厚生労働省前でも署名活動を行い、自身も重度の障害があるれいわ新選組の参院議員、天畠大輔氏も参加した。

通勤・就労中にヘルパーの介助を使えないのはおかしいと署名活動

署名活動を行なっているのは、「障害者雇用率データ改ざん問題を糾弾する市民の会(ちゃんと働かせん会)」。

同会は2018年に中央省庁などが障害者の雇用率を水増しして報告していた問題が発覚した時、国に改善を求めるために障害当事者と支援者で設立した。

重度訪問介護が通勤・就労中に使えない問題については、重度障害があってこの制度を使っているれいわ新選組の参議院議員、木村英子氏が議員活動中に使えないのはおかしいとして国会でも追及している

障害者の雇用問題について運動してきた同会は、今年初めからこの問題の改善を求める運動を始めてきた。

重度訪問介護の利用要件を定めている厚生労働省告示では、「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除く」という制限を設け、仕事中や就学中は使えないこととしている。

署名では、この1文を削除し、重度障害者も公的な介護を利用しながら働けるようにすることを求めている。

重度障害がある国会議員、天畠大輔氏も参加

この日は同会のメンバーが厚労省前で道ゆく人に署名を呼びかけた。

同会共同代表で精神障害の当事者である矢島由里子さんは、「トイレに行ったり、水を飲んだりすることは生命維持に必要なことなのに、経済活動中は認められないのはおかしい。ネット環境が整って障害者も働きやすくなっているのに、介護の負担を雇用主だけに負わせることで、障害者を雇いづらくしている」と訴える。

署名活動には、自身も重度訪問介護制度を使っている参議院議員の天畠大輔氏も参加した。

国会議員の天畠氏は、国会に登院するための公用車に乗り込んでから、国会での議員活動を終え、公用車で自宅に帰るまで、重度訪問介護制度は使えない。

外出中は常時、2人のヘルパーによる介助が必要だが、この間の費用負担は「職場」である参議院が特例的に負担している。だが資金力のない中小企業などはこうした負担ができないために、重度障害者の雇用を敬遠する可能性が高くなっている。

天畠氏はこう、現状の制度の問題を指摘する。

「介護付き就労の問題は生存権の問題だと考えています。トイレや食事や姿勢保持などみんなが当たり前にやっていることが、介助が必要な人の場合、できないことになってしまいます」

「厚労省は職場での介助に助成金を支給する『重度障害者等就労支援特別事業』があるとしていますが、自治体によってこの事業を採用しているところとしていないところがあります。助成金の単価も安くされがちという問題があります」

来年の通常国会で請願を提出

現在、集まった署名は2000筆ほど。来年の通常国会中に、衆議院と参議院に請願として提出する予定だ。

同会の連絡先は(mizumashi_koyou@yahoo.co.jp)。