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HPVワクチンの積極的勧奨再開 日本産科婦人科学会が官房長官に要望

日本産科婦人科学会は11月26日、菅義偉官房長官にHPVワクチンの積極的勧奨再開を求める要望書を渡しました。

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐHPVワクチン。

小学6年生から高校1年の女子は公費で受けられる「定期接種」となっているが、接種後に体調不良を訴える声が相次ぎ、対象者の自宅にお知らせを送る「積極的勧奨」を国が停止して6年半が経つ。

ワクチンのことを知らずに接種する機会を失う現状をどうにかしたいと、日本産科婦人科学会は11月26日、菅義偉官房長官に積極的勧奨の再開と、うつ機会を逃した女子にも再度機会を与える「キャッチアップ接種」を求める要望書を手渡した。

積極的勧奨の再開とうつ機会を逃した女子の再チャンスを要望

要望書ではまず、若い世代で子宮頸がんが増えていることに触れ、積極的勧奨の差し控えによって、実質、接種が中止状態になっていることを指摘している。

そして、国内外から
HPV ワクチンの安全性や有効性を示すにデータが集積されていることを示し、以下の2点について要望した。

  1. HPVワクチンの積極的勧奨の速やかな再開
  2. 積極的勧奨一時差し控えにより HPVワクチンを接種しないまま定期接種対象年齢を越えた女子に対する、定期接種に準じた接種機会の確保

安全性を強調 接種した世代との間に健康格差の懸念

ワクチンの存在や自分が対象者であることを知らないでうつ機会を逃すほか、対象者や保護者がうつのをためらうのは、HPVワクチンを接種すると、体調不良を起こさないかという不安があるからだ。要望書では、安全性をこう強調した。

HPV ワクチンの接種が定着した海外諸国では、日本で報道されたような「多様な症状」の増加は認められておりません。国民が不安に思うこれらの症状に対する診療体制も構築され、安心して接種できる環境が整っております。(要望書より)


そして、ワクチン接種を見送る女性が増えることで、接種した人としていない人で、将来、子宮頸がんにかかる率について健康格差が生まれることを指摘した。

その上で、積極的勧奨再開について「一刻の猶予も許さない状況」とし、うつ機会を逃した女子にも再びチャンスを与えることが必要と訴えている。

鈴木厚生労働事務次官にも要望書

同学会は鈴木俊彦事務次官にも同じ要望書を手渡した。

参加した医師によると、鈴木次官は「厚労省も努力はしている」という趣旨のことを語っていたという。

この要望書提出に先立ち、木村理事長ら日本産科婦人科学会の幹部らは、自民党のHPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す勉強会にも出席していた。

その際、木村理事長はBuzzFeed Japan Medicalの取材に対し、「科学的根拠に基づいて、議論が進むことを願っています」と話していた。