• hpvjp badge
  • medicaljp badge

HPVワクチン9価ワクチン4月1日から供給開始と確約 HPVワクチン議連で示される

定期接種化の方針が了承されている9価ワクチンについて、製薬会社のMSDが来年4月1日から供給開始を確約していることが自民党のHPVワクチン議連で明かされました。世界では主流になりつつある2回接種への変更も検討されています。

自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」(会長=田村憲久衆院議員)が10月12日開かれ、2023年度早期に定期接種化が了承された9価ワクチンについて、「4月1日から供給開始」と製薬会社のMSD側から確約を得ていることが明らかになった。

MSD側と交渉を続けてきたという議連幹事長の三原じゅん子・参議院議員と厚労省の予防接種対策推進官が明らかにした。また、世界では主流になりつつある2回接種への変更に向けて、検討が進められていることも示された。

同議連は、積極的勧奨が再開され目的を達したことから、「HPVワクチン推進議員連盟」に名称を変えた。

また、出席した専門家や厚労省からは、対象者に個別にお知らせを送って接種を促す積極的勧奨が2022年4月から多くの自治体で再開されたものの、接種率が伸び悩んでいることが報告された。

「勧奨再開はゴールではなくスタート地点だ」「再開されても接種につながらなければ意味がない」として、接種率を上げるための取り組みを早急に始めるよう要望された。

定期接種化する9価ワクチン「4月1日に供給開始」

三原議員は、来年度早期からの定期接種の方針が了承された9価ワクチンの供給について製造販売会社のMSDと交渉を続けており、「2023年4月1日から供給開始」とMSDから確約を得ていることを明かした。

ただ自治体の準備などの都合で4月から実際の接種が始められるかが定かではないとして、「4月1日から行うのが一番スマートだ」と厚労省に4月開始を求めているとした。

ただし、うちそびれて既に年齢を重ねているキャッチアップ世代は9価待ちをしてワクチンの効果を下げることがあってはならないとして、うてるものをなるべく早くうつことも呼びかけた。

これについて、厚労省の予防接種対策推進官の西嶋康浩氏も「なるべく4月スタートを目指したい」と回答した。

9価ワクチンは世界中で需要が高まっており、9年もの間、実質中止状態が続いた日本に十分供給されるのか疑問の声が相次いでいた。

BuzzFeed Japan Medicalの「MSDから十分な供給については確約を得ているのか」という問いに対し、西嶋推進官は「そう書いてもらっても構わない」と答え、4月1日定期接種化スタートに向けて準備を進めていることを明かした。

3回接種→2回接種に向けても検討へ

また世界では2回接種でも効果があるとして2回接種が主流となりつつあるが、三原議員によると、MSDは今年夏に3回接種から2回接種への変更の承認申請をしているという。

三原議員は3回接種から2回接種へなるべく早い検討を求め、厚労省も「承認された上で、迅速に検討を進めたい」と答えた。

積極的勧奨は再開したけれど....接種率伸び悩みに早急に取り組みを

また議連に出席した吉村泰典・慶應大学名誉教授は、積極的勧奨再開後の課題として、接種率の回復が遅いこと、接種率を上げるための取り組みをしなければ、実質中止状態だった9年分の損失を取り戻せないことを強調した。

大阪大学の研究で2024年までに接種率が30%に留まった場合、がんにかかるリスクや死亡するリスクは1割程度の減少に止まるが、これを2022年度に90%の接種率を達成すれば5割程度リスクを下げられるという推計が出ていることを紹介。

「少しでも早く接種することが重要というメッセージを出し、とりわけキャッチアップ接種への早期接種の呼びかけをし、終了年度(2024年度)まで毎年度接種勧奨のお知らせを個別送付することが必要ではないか」と呼びかけた。

厚労省の西嶋予防接種対策推進官は、HPVワクチンの10政令市サンプル調査での9月30日時点の実施率(1回目16.6%、2回目10.8%、3回目4.8%)を報告。1回目、2回目は2020年度の年間実施率を上回ったものの、微増に留まっている状況が示された。