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HPVワクチン、日本でも男性に接種拡大へ 12月4日に厚労省審議会で審査

日本では女子だけが対象となっているHPVワクチン。12月4日に厚労省の審議会で、男性接種の拡大の可否が審査されることになりました。

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐとして、日本では女性のみが接種対象として承認されているHPVワクチン。公費でうてる定期接種も小学校6年生から高校1年の女子が対象となっている。

しかし、HPVは男性もかかる中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなどの原因となることでも知られている。

HPVワクチン「ガーダシル」を製造販売しているMSD株式会社が男性への適応拡大を承認申請しているのを受けて、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は12月4日、男性接種への適応拡大について審査することを決めた。

先進国では男性への接種が当たり前になっており、日本は周回遅れで世界標準に追いつこうとしている。

4価ワクチンを男子にも適用申請

HPVには200種類ほど型があるとされ、性交経験がある人の8割が感染しているありふれたウイルスだ。

MSDが製造販売しているのは、HPVの中でも特にがんになりやすい「16型」「18型」、性器にできる良性のいぼである「尖圭コンジローマ」の原因となる「6型」「11型」の計4種類を防ぐ4価ワクチン「ガーダシル」。

このワクチンについて、MSDは今年2月12日男性にも適用を拡大するよう製造販売承認の一部変更を承認申請していた。

HPVは中咽頭がん、陰茎がん、肛門がんなど男性のかかるがんにも関わることがわかっており、異性間・同性間問わず性的接触でうつしあう。国立がん研究センターによると、中咽頭がんは日本で年間約1800人が診断され、男性が女性の5倍近くにのぼる。

北海道大学大学院生殖・発達医学分野の特任講師のシャロン・ハンリー氏のデータによると、世界では77か国が男子接種を承認し、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど24か国で公費接種も行われている。

世界では男子も含めて公費接種の国が増えてHPVワクチン不足となっており、男性と成人女性は若年女性を優先するようWHOが推奨するほどだ。ほとんどうたれずに余っている日本への医療ツーリズムも盛んに行われてきた。

そんな中で、日本の男性は接種後に何か問題があった場合も、公的補償の枠外で自己責任でうつことしかできなかった。

MSD広報「広く接種されることを望む」定期接種化も

MSD広報は、今回、適応拡大が求められている男性の対象年齢などは「承認されるまでは明かせない」として公表していない。承認後は速やかに販売を始めたいとしている。

女性のように無料でうてる定期接種になるかどうかについては、「今後の厚労省での議論になる」とするが、「子宮頸がんに限らず、HPV関連疾患の予防のために広く接種されることを望みます」として定期接種化を期待しているという。