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HPVワクチンの二の舞にならないように  分科会 新型コロナワクチンでリスコミの仕組み提言

「新型コロナウイルス感染症対策分科会」が11日に開かれ、海外では接種も始まったワクチンについて、HPVワクチンのような問題が起きないようにリスクコミュニケーションの仕組みを作ることで合意しました。

「新型コロナウイルス感染症対策分科会」が11日に開かれ、イギリスで接種も始まったワクチンについて、HPVワクチンのような問題が起きないようにリスクコミュニケーションの仕組みを作ることで合意した。

分科会後、会見した尾身茂会長は「受ける側の立場や気持ちもわかった上でコミュニケーションをしないと、分断や差別など、ワクチンそのものよりもそのことが事件になってしまうことがある」と、ワクチンについては国民とのコミュニケーションを丁寧に取るべきだという考えを示した。

反対派と賛成派の分断 HPVワクチンと同じようなことが

この日の分科会では、ワクチンについて、より良いリスクコミュニケーションにつなげる仕組みを設けるべきであるという提言がなされ、合意された。

現在、ワクチンは、イギリスで接種が始まり、アメリカのFDA(食品医薬品局)でも緊急使用許可を近く出すことが見込まれている。

日本での承認はまだ先のことになるが、ワクチンの調達や接種の優先順位などを決める準備は今から進められている。

尾身会長は、「年が明けてワクチンのメーカーから、承認のプロセスを要請してきたら、ますます一般社会のワクチンに関する関心が極めて高くなると思います」と、日本でも注目度が高いテーマであることを示した。

その上で、

「仮に副反応があった場合に、どう社会が反応するか。副反応は一定程度あるわけですから、それをどう正しく知ってもらうかは新たな課題です」との懸念を示した。

具体的には、

「よほどうまく(コミュニケーションを)しないと、いろんな差別が出てきてしまいます。うつ人とうたない人と出てくる。あるいは反対派と賛成派が分断してしまうリスクもある」と述べた。

そして、「子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の時に同じようなことが起きましたね」と、HPVワクチン接種後の体調不良がセンセーショナルに報じられたことで、接種が7年以上も事実上ストップしている問題にも触れた。

データを出すだけでなく、受ける側の気持ちに配慮を

その上で、「ワクチンはいろんなことがあるのでどういう風にしてコミュニケーションするか」という課題について、

「正しく、しかもわかりやすく、みんなの共通の理解が得られるためには、単に数値を出すだけではなくて、コミュニケーションのスキル(が必要)というか、相手の受ける側の立場や気持ちもわかった上でコミュニケーションをしないと分断や差別などワクチンそのものよりもそのことが事件になってしまうことがある」との認識を示した。

この具体的な対策については、リスクコミュニケーションのプロも含めて議論するとしたが、現在の流行を抑え込むことがまず優先されるとし、流行状況の4段階評価で上から2番目に高い「ステージ3」が、「ステージ2」に収まった時にワクチンの議論を始めることを示唆し、こう述べた。

「(ステージ2になった段階で)そういうことについてみんなで考えるメカニズムが必要ということは合意されていて、厚労省の幹部からも自分たちも積極的に関与したいという心強い発言もありました」