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新型コロナの影響で子どもの予防接種率が低下 専門家「ワクチン接種を先延ばししないで」

新型コロナでの外出自粛の影響か、小児用の肺炎球菌ワクチンやMRワクチンの接種率が大幅に下がっていることがわかりました。専門家は「重大な病気を防ぐために接種を先延ばししないで」と呼びかけています。

新型コロナウイルスの感染防止のために外出を自粛する動きが強まっているが、それで他の感染症への備えがおろそかになってはいけない。

小児用の肺炎球菌ワクチンやMR(麻疹・風疹)ワクチンの接種率が新型コロナが流行し始めた昨年12月以降に低下していることが、NPO法人「VPD(※)を知って、子どもを守ろうの会」の調査でわかった。

※Vaccine Preventable Diseases(ワクチンで防げる病気)の略。

VPDを知って、子どもを守ろうの会

同法人理事の小児科医、時田章史さんは「いずれもかかれば、亡くなったり重大な後遺症を残しかねない病気です。これらを防ぐためにも、ワクチン接種を先延ばししないで」と呼びかけている。

重大な病気を防ぐためのワクチンが赤ちゃんにどれほど接種されたか調査

「VPDを知って、子どもを守ろうの会」はたくさんある予防接種の受け漏らしがないように管理する無料アプリ「予防接種スケジューラー」を提供している。

このアプリの登録データをもとに、2017年4月1日から2020年1月31日までに生まれた10万3108人のワクチンの接種歴を解析した。

具体的には、ワクチンデビューを確認するために、生後2ヶ月からうつ「小児用肺炎球菌ワクチン」の1回目の接種率と、1歳からのワクチン接種を確認するために、「MR(麻疹風疹)ワクチン1期」の接種率を確認した。

生後2ヶ月でうち、一般的なワクチンデビューとなる「小児用肺炎球菌ワクチン」や「Hibワクチン」は、主に「細菌性髄膜炎」を防ぐワクチンだ。

「細菌性髄膜炎」は脳の中に膿がたまったり、脳脊髄液が増えたりすることもあり、亡くなる子どもも2~5%いる。脳の後遺症が30%くらいに残る。

細菌性髄膜炎にかかった子どもの約66%は0~1歳児で、約34%は2~4歳児。生後5か月頃から急に増えるため、いずれのワクチンも生後2ヶ月を迎えたらできるだけ早く受け、生後6ヶ月までにそれぞれ3回ずつ受けることが勧められている。

「MRワクチン」は麻疹(はしか)や風疹を防ぐワクチンだ。麻疹は感染力が強く、重い肺炎や脳炎などを合併して死亡することや、後遺症を残す場合もある。発症すると、1000人に1人が死亡すると言われている。

風しんは、重症化すると、稀に脳症を起こす。妊娠中の女性が感染すると胎児の目や耳や心臓に後遺症を残すこともある重大な病気だ。

肺炎球菌、MRワクチン、それぞれ20ポイント落ち込む

生後3ヶ月での小児用肺炎球菌ワクチンの接種率を見たところ、新型コロナの流行前には95%前後だった接種率が、2019年11月生まれから82%に低下し、2020年1月生まれでは、74%まで落ち込んでいた。

4分の1の赤ちゃんが細菌性髄膜炎の危険にさらされていることになる。

VPDを知って、子どもを守ろうの会

小児用肺炎球菌ワクチンの生まれ月別接種率

さらに1歳に1回目をうつMRワクチンの14ヶ月時点での接種率を調べた。

平常時には70〜80%程度だった接種率が、2019年12月に1歳の誕生日を迎えた2018年12月生まれでは61%に、2020年1月に誕生日を迎えた2019年1月生まれでは、53%にまで落ち込んでいた。

VPDを知って、子どもを守ろうの会

MRワクチンの生まれ月別接種率

ユニセフによると、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスにより、麻疹(はしか)のワクチンをうつ機会を逃す子どもは37か国で1億1700万人以上とみられている。

全世界的な流行が懸念されており、緊急事態宣言が解除されて、人の交流が戻ってくれば、予防接種を受けていない子どもは感染する恐れがある。

「子どもを守るためにできるだけ早くワクチンを」

同会では4月13日に、新型コロナへの感染が不安で予防接種を受けに行くのを控えている保護者向けに「新型コロナウイルス感染症と予防接種に関するQ&A」を公開している。

今回の接種率低下を受けて、同会では、「保護者の方が子どもたちをVPDから子どもたちを守るために今できることは、ワクチンの受け忘れや遅れがないかを確認することです。
そして、受けるべきワクチンがあったら、かかりつけ医に相談して、
確実に、できるだけ早くワクチンを受けましょう」と改めて呼びかけている。

同会理事の小児科医、時田章史さんもこう訴える。

「Hibワクチンも肺炎球菌ワクチンも、髄膜炎にかかった母親たちが、ワクチンさえ接種できていれば、こんな悲しい思いをしなくてすんだのにという思いをもって小児科医を動かし、国を動かして導入に至った経緯があります」

「麻疹については、昨年東京などで流行がありました。風疹も流行を繰り返しています。それぞれ、かかりたくないですし、集団免疫をつけて相互に感染しないよう接種を心がけたいワクチンです」

「今回の新型コロナウイルス感染症の猛威は、国民に治療薬のない時のワクチンの重要性を実感していただくことになったと思います。 バランスのとれた食事と適度な運動と同様に、予防接種は本人のみならず皆が健康に生活するための規範です。どうか接種を先延ばししないでください」

Contact Naoko Iwanaga at naoko.iwanaga@buzzfeed.com.

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