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「通院は控えるべき?」「がんだと重症化のリスクはどれぐらい?」 新型コロナでがん患者や家族が知りたいこと

新型コロナの流行で、がん治療にも影響が出始めている今、不安を抱える患者や家族のために、専門家や患者団体が集まって、不安や疑問に答えるオンラインイベントが開催されました。

新型コロナウイルスが流行する中、がん患者も困っているし不安がある。

そんな声を分かち合い、専門家ががん治療に関する不安や疑問に答えようと、一般社団法人「CancerX」は4月21日夜、オンラインイベント「〜新型コロナ禍の今、がん患者・家族が知りたいこと〜」を開催した。

新型コロナの重症化リスクや、感染が心配な病院への通院は控えるべきか、そして、感染して入院すると家族も面会が難しい今、最期はどのように迎えたらいいのかなど、患者や家族ならではの切実な不安がたくさん寄せられた。

新型コロナで治療に影響を受けている参加者21.2%

CancerXは、「がんと言われても動揺しない」を掲げ、医療者と産官学でタッグを組んで、がんに関する様々な課題を解決しようと活動している民間団体だ。

新型コロナウイルスの流行で、がん患者は重症化しやすく、治療や処置が延期になることも多い。

不安の声が患者や家族から上がっていたことから、事前に質問を募り、専門家やがん患者団体代表7人が登壇し、一つ一つの疑問や不安に答えるイベントを急遽開くことにした。

参加者は504人。うち、がん治療や手術で影響を受けている人が21.2%いた。

がん患者の感染リスクや重症化リスクは?

まずあげられた質問は、「がん患者の感染リスクは上がるのか?」「コロナ感染でがんが進行したり、再発しやすくなったりするか?」というものだ。

これについては、アラバマ大学バーミンハム校脳神経外科助教授、大須賀覚さんがまず答えた。

「論文や報告されている科学的なデータを見る限りでは、まだ結論は出ていない状況です。この感染症が始まってから4ヶ月程度しか経っていないので、十分な科学的データが揃う段階ではないですから」

ただ、新型コロナに関するデータはなくても、他の感染症との関連データからある程度推測はできるという。

「がんの患者さんは他の感染症が入ってきた時に、その感染症にかかりやすい状態になる。化学療法や放射線治療でそういう状態になることがあるのですが、他の感染症についてはそういうデータは出揃っています」

「一般的な感染症にはかかりやすいことはわかっていますので、コロナ感染のデータは出揃わなくても、十分危険性が高いことは科学的に推測される。気をつけなければならないと思われています」

ただし、がんの患者全てが危ないとは考えられていない。

「研究機関やガイドラインで主に危険性が高いと示されているのは、高齢である、50歳、60歳以上であること。がん患者の多くが高齢なので、既にリスクが高いことになります」

「血液腫瘍、肺がんで放射線治療を受けている人もリスクが高いのではないかという指摘はあります。それ以外では、化学療法を行っていて、感染症に対する防御力が下がっている可能性があると医師から言われている患者は、コロナウイルスに感染するリスクは高くなるのではないでしょうか」

がんの治療は様々で、個々人でリスクの状況は異なる。

「自分にどの程度のリスクがあるかは主治医に聞いてほしい。リスクが高いと言われたら、気をつけなくてはいけないと思ってほしい」

さらに、病院に行く機会の多い人の方がリスクが高いとも指摘した。

「公共交通機関を使って移動しなければいけないし、人と接触する機会、陽性者と接触する機会も増えます。病院受診はリスクを高くしてしまう行為だと一般的に考えられています。受診の機会をどうコントロールするかは重要です」

北里大学病院集学的がん診療センターセンター長の佐々木治一郎さんは、感染のリスクについて、インフルエンザの感染リスクと比較してこう考えを述べた。

「新型コロナの感染のリスクはよくわかっていませんが、毎年インフルエンザが流行って、がんの治療をしている患者さんは用心するので僕の患者さんはあまりかからない。リスクは高くても、気をつければ防御できる程度じゃないかなと個人的には考えています」

がん患者は新型コロナ、重症化するの?

また、がん患者が新型コロナに感染した場合に重症化するリスクは高いのか、かかった場合に生還できるのか、という質問も数多く寄せられた。

これについては、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之さんが答えた。

中国からの最新の報告を見ると、がん患者の致死率は7.6%。一般的な報告ですと、2〜4%ぐらいです。ただ、がん患者の致死率が高いかというと、80歳以上の高齢者だと21.9%になりますし、心血管障害を合併している患者さんですと13.2%になります」

「がん患者さんの水準よりも高いので、がん患者さんが一般的にすごい高いかというとそうではない。やや重症化しやすい傾向にあるとは言ってもいいかもしれません」

新型コロナの今後の予測は? がんの症状とも見分け方は?

次に新型コロナについての今後の予測について、治療の最前線で患者を見ている国立国際医療研究センター国際感染症センター長の大曲貴夫さんが答えた。

「正直よくわからないところがあります。今波が来ていますが、どこかで引く。それがまたどこかで来る。それを何回も繰り返してやがて消えていくのか、普通の風邪になるのか。ある程度、落ち着いた状態になるのに半年とか1年、2年かかるという人もいます。寄せては返しを繰り返しながら数年かなと、多くの人は言っています」

がん患者は終息するのを待って、手術や治療を延期している。しかし、いつまで待てばいいのかという声も目立つ。

「答えはないのです。病院の立場から言えば、街中でも感染症が流行っていて、外に出かけると皆さんも感染するかもしれない。なおかつ病院ではコロナの患者がたくさんいて、てんやわんやという時です。いろんな意味で感染症以外の治療がやりにくい時期です。個人の方々がどうなるかは、僕の立場では言えません」

治療中の患者が心配なことの一つに、治療の副作用が新型コロナの症状と似ている時に、見分けはつくのかということがある。抗がん剤の副作用の発熱と新型コロナの発熱は見分けられるのだろうか?

「これも経験がないのでよくわからないというのが正直な答え。似たような症状があるのだろうと思います。例えば、味がしない、お腹を壊して下痢をする、咳が出ると、元々の病気のせいか、コロナのせいかが問題になるのだろうと思う。がんとコロナの二つが二つが重なった状況を経験していないので予想です」

これについては、自身も2回のがんの経験があるテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの乳腺腫瘍内科教授、上野直人さんが補足する。

「アメリカで、コロナウイルスとがん患者の症状の区別について複雑になるかと思っていたのですが、意外と複雑ではない。どの時点でPCR検査をすべきかしないかというのは、典型的なコロナの症状で判断する。ちょっと咳が出るから疑うということはできない状況です。両者を見分ける診断はそれほど難しくない。現時点でのアメリカはそんな感じです」

そこで、患者の立場から全国がん患者団体連合会理事長の天野慎介さんがこう質問した。

「識別する診断の前に、熱が出た時にどうしたらいいのか知りたい患者はたくさんいます。治療中に熱が出たら、化学療法に伴う発熱なのか、どうすればいいのかが患者さんにはわからない。熱が出たらどこにアクセスしたらいいのか聞きたい」

これについては佐々木さんがまず答えた。

「患者が区別するのは不可能だと思います。何らかの症状が出たら治療している医療機関や主治医に連絡してもらうのが一番いい。医療機関側がコロナらしいのか、そうではないのか判断していく。(通常、症状が続いた時に相談する窓口の)一般の帰国者・接触者相談センターへの相談は、がんの治療中の患者にはしなくていいと当院では述べています」

これに対して勝俣さんは、「化学療法をやっている最中の発熱は(他の要因との)識別が難しい」と述べた上で、化学療法中に熱が出ないように、こんな工夫をしていると述べた。

「普段は細菌感染による発熱を抑えるG-CSF(白血球を増やす薬)は滅多に使わないのですが、新型コロナが流行っている今の時期は、熱が出ないように予防的に化学療法と併用しています。まずは熱が出ないように予防策をしっかりやるということです」

治療どうする? 延期すべき?

新型コロナウイルスの影響で、治療延期の判断をなされているがん患者も多い。治療を延期すべき人とそうでない人は何で判断しているのかという質問があった。

大須賀さんは、全世界で、がん患者の治療が延期されたり、中止されたりしていると述べた上で、主に二つのリスクを考えて延期や中止はなされていると説明した。

「一つは、安全に治療を行えないというリスクがあります。がん治療には、かなり医療資源を使いますから、様々な場面で検査、治療、入院が必要だったり、呼吸器が必要だったりします。コロナ流行で十分なベッドや人工呼吸器がない、治療を安全に行うことができないのではないかということで、落ち着くまで延期しましょうという場合がある」

次に患者の感染のリスクが上がるとして、延期や中止になるパターンもあるとした。

「感染のリスクが上がるから、必要性が高くない治療を延期しようという場合もある。病院に行く機会が増えたり、治療によって免疫が下がったりすると、感染リスクを上げてしまいます。リスクとベネフィット(利益)を考え延期・中止する施設がある」

ただ、この判断は簡単にできるものではない。

「患者の行なっている治療の必要性や緊急性がどのぐらいかを考え、効果が非常に高い治療であるほど早くやらないといけない。この判断は、個人の患者の経過をよく知る医師でないとできません。また、今の時点で流行っていない地域の病院なら、リスクは高くないという判断になる」

その上で、こう強調した。

「患者に強くお伝えしたいのは、個人で判断するのは難しいしリスクがある。治療を継続するかしないかは、必ず主治医に相談した上で決めていただきたい」

上野さんは、「主治医に延期や中止の理由を聞き、納得することが必要」と患者の立場からも補足した。

勝俣さんは「治療の延期や中止は重要な意思決定で、すごく慎重にしなければならない。今のところは不急の通院はなるべく避けるようにし、安定していたらなるべく病院に来ないようにと言っています。手術や抗がん剤の延期は、病院にもよるので個別判断」と話した。

がん患者や家族ができること 予防策は?

がん患者や家族が手洗い、うがい、マスク、社会的な距離を保つなどの一般的な予防以外に、リスクを避けるためにできることも尋ねられた。

佐々木さんは、「つり革・手すりを触った場合は、次に降りたところで手を洗う、ウェットティッシュでふくなどプラスアルファの防御をする。インフルエンザが流行っている時にやっていることはやった上で、顔を触らず、口や目に手を触れない。外から帰ったら、シャワーや風呂に入ります。脱いだ服は別のところに保管して洗う医療者もいます」と話す。

上野さんは、骨髄移植を経験した自身はリスクが高いとして、日常生活もかなり気をつけているとしている。

「僕は不安を感じているので、普通の人より極端なことをしています。外に行ったら全ての服を洗う。そもそも外に出ないようにしている。犬を外に連れて行ったら、犬を全部ふきます。携帯の貸し出しもしない。ネットで全て購入し、宅配が来たら、開ける前に段ボール箱を全てふく。実際に危ないというデータはないのですが、ウイルスが残るという弱いエビデンスはあるので自分でできることは全てやるつもりで取り組んでいます」

天野さんはこう受けた。

「宅配物や食べ物に気をつけたらいいのかと、いろんな相談をいただいているが、一方で患者さんの中には、気にし出すとキリがないとおっしゃる方もいます。患者さんごとに対応の仕方は違う。リスクが高いということは認識した方が良くて、手洗いうがいをして、僕自身も基本的に在宅ワークです」

「ただ、僕らが守れることには限界がある。医療崩壊につながらないことも含めて、僕らが頑張っても限界があるということは社会に発信する必要がある。守りきれない人はいるんだということを発信して、ぜひ皆さんに不要不急の外出を控えていただくことを訴えていきたい」

マギーズ東京」という、患者が病院以外で集って語り合える場所でこうした不安に答えているマギーズ東京センター長の秋山正子さんはこう語った。

「手洗い、アルコール消毒も大事なのですが、あまりに心配し過ぎて、ご飯をちゃんと食べていない方や、水分を取っていない方がいらっしゃる。とても緊張しているからです。緊張しながら暮らしても、上手にストレスマネジメントをしていかないと、体が休めていないのがとても気にかかります」

「在宅でずっと過ごすのはストレスフルな生活なので、上手なストレスマネジメントは大事じゃないかなと思います」

確かな情報を得るには?

新型コロナウイルスでもがんでも、不安に乗じて、怪しい情報やデマが広がっている。「何を信じたらいいのか?」という質問が寄せられた。

がん情報のデマに詳しい勝俣さんは、「コロナでもいろんなデマが飛び交っています。最近目にしてびっくりしたのは、10秒息を止められれば大丈夫だというような情報が出回って、患者さんが信じてしまった。水を飲めば予防できるという情報も日赤のドクターを名乗って氾濫していました」と指摘した。

その上で、情報を見極めるポイントについてこう話す。

「デマを見抜く方法ですが、まずは情報源がどこにあるか。引用されているのが、信頼できる情報源かどうか。信頼できるのは、今なら厚労省、感染研の情報です。情報源はしっかり見るということです」

大須賀さんもこう続けた。

「医師が言ったからとか、専門家ぽい人が言ったからではなく、複数の専門家が検証した上で出している情報が重要です。そういうのを出しているのは一般的には政府機関です。厚労省とか、専門家会議の人たちが情報発信を始めています」

「アメリカでは、CDC(疾病対策予防センター)、NCI(国立がん研究所)がある。そういうところの出す情報は専門家が多数で情報の確認をしていますので信頼性が高い。我々もそれを訳しているので、海外の専門機関の情報が訳されたものか、日本の政府機関が出している情報を信頼すべきだと思います。それが一番間違いがなくて正確です」

「こういう時には詐欺的な医療が広がります。今の時点でコロナウイルスに対して完全に予防したり、治療できるものがあるわけではないということをちゃんと認識した上で、ネットで流れているデマに踊らされないように気をつけないといけません」

心のケア・心の持ち方

心のケアにも話題は及んだ。日常で取り組める体調や気持ちを安定させる方法などについて問われ、秋山さんはこう答えた。

「誰かとつながって話ができたり、会話ができたりすることで、かなり不安や心配が軽減します。今は対面でゆっくり話ができなかったり、病院でも今日は5分でやめてくださいと言われたりして、どこへ行ったらいいか迷ってらっしゃる」

「今日のようにオンラインで顔の見えるようなものを使ったり、LINEやフェイスブックなどいろんな手段で、話ができることが一つ大事じゃないかと思います」

「その時に誰とどのように話すか、相談窓口がどこにあるかが情報として行き渡っていることが大事だと思います。対面の相談支援を控えていても、電話相談やメールの相談に窓口を広げている所はあるのでは? ]

「マギーズ東京も対面での相談は控えていますが、電話やメールでの相談も受け付けていて、とにかくまずゆっくり話を聞いて気持ちを整理しながら、これから先どうすればいいのか一緒に考える先を見つけることが必要だと思います」

◾️マギーズ東京相談窓口:03-3520-9913、FAX:03-3520-9914 (平日午前10時〜午後4時) soudan@maggiestokyo.org

天野さんは、不安への対処法について、「日本心理学会」がアメリカ心理学会の公式サイトに掲載された記事を、和訳しているものを紹介した。

◾️日本心理学会特設ページ もしも「距離を保つ」ことを求められたなら:あなた自身の安全のために(アメリカ心理学会)

「かなり参考になることがあって、重要なのは自分がストレスを感じているのだと認めることから始めること。ストレスを感じていることに皆さん無自覚です。そこをまず認めることがきっかけになります」

その上でいくつかの重要な対処法も書かれている。

「信頼できる情報を獲得すること、日々の生活習慣をできるだけ守ること、バーチャルも活用して他者とのつながりを保つことなどいくつか書かれています」

相談窓口は「がんサロン」など対面でのやりとりはどこも難しくなっている。

「ただ、Zoomの交流会やLINEを活用した交流の場とかがありますし、私の所属するリンパ腫の患者会では、電話相談窓口を設けていますが、鳴りっぱなしの状態です。がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターの活動は縮小されている部分もありますが、アクセス可能なところも多いのでそれも活用していただければいいと思います」

◾️グループ・ネクサス・ジャパン相談窓口

◾️がん相談支援センター

最期の過ごし方 家族の面会も許されない中で

新型コロナウイルスが流行し、面会を制限している病院もたくさんある。そんな中で、「家族と最期の時を過ごせない」「退院した方がいいのか?」「在宅療養にも感染リスクがあって不安」などの声も寄せられている。

中には、「標準治療が終わって落ち込んでいる中で、最後に行きたかった家族旅行にもいけない。私はどうやって心を持ち直せばいいでしょうか?」という質問もある。

これについて、佐々木さんはこう答えた。

「全国が緊急事態宣言下になって、多くの医療機関が通常の入院患者の面会制限を設けています。新型コロナが流行して院内感染が生じると、全く面会はできなくなる状況が起きています。非常に難しい。患者や家族の思いに応えられない状況が起こりつつあるという認識を全ての日本人が持つ必要がある」

秋山さんは、患者や家族から相談を受けている立場からこう述べた。

「実際、私たちに寄せられる相談でも、ホスピス病棟でも面会制限がかかって、最期の時間なのにそばにいることができない、どうしたらいいのだろうかという悲痛な声を伺っています。せめてもの工夫として、携帯の持ち込みを許可してもらって、顔を見ながら話すこともできる」

「ちょっと看護師に頼んで顔が映るようにしたり、声が聞こえるようにして、面会制限がかかってもつながっているよ、顔見て話せるよという工夫をちょっとでもする。写真を持って行って、横に飾ってもらう。ささやかなんですが、そういう工夫をしながらあなたは一人じゃなくてそばにいるよという声が届くことが大事かなと思います」

そして、面会が謝絶される局面を普段から考えて行動した方がいいとも話す。

「日頃から、今はそういう状態じゃないけれど、日常の中で『いつもあなたのことを大事に思っているよ』と伝えていかないと、伝えられないことが起こり得ます。厳しい状況が生じていますが、工夫はあります」

参加者の一人で、国立がん研究センターがん対策情報センター長の若尾文彦さんは、「陽性の方は色々制限がありますが、陽性が出ていない方はそれほど厳しく面会制限しなくてもいいのではないか?」と問いかけた。

秋山さんは、「そういう風に面会制限がゆるいところと、厳しく言われている人もあります。厳しい状況かなと思います。病院によるのではないでしょうか?」と応えた。

勝俣さんも、「感染者でなければ面会できるかと思う。問題はPCR陽性だった場合は問題です。なかなか家族が会えないところがあります。その場合は、スマホやiPadを使うしかないのかなと思います」と応えた。

陽性でない限り、終末期のがん患者の面会は制限されていないのか、司会のCancerX共同発起人の鈴木美穂さんが確認すると、勝俣さんはこう答えた。

「病院全体が、今は基本的には面会できないようになっています。ただ、がんの終末期や緊急の場合は特別に許可しているところが多いと思います」

参加者の一人 新型コロナで手術が延期

続くグループでの対話で、看護師でひと月前に乳がんを診断された女性がいた。

「がんを診断されたのも初めてなのに、新型コロナが流行り始めて、手術の日付が決まらないまま延期になってしまい不安です。主治医は『遅くても半年以内に手術した方がいい』と言うのですが、5ヶ月以内に手術できる見込みがあるのか」

先の見えない治療に休職したが、医療現場の大変さは医療職としてよく理解できるだけに気持ちのやり場がない。

「手術着もガーゼも不足している中で、後回しにできない手術を優先するのは医療者として理解しなくてはならないでしょう。でも、待っている間に感染したら、また延期になってしまうでしょう」

「ありとあらゆることが心配で心配で、マギーズ東京に相談し、このイベントにも参加しました。今はワクチンや治療法が早く完成することを待つばかりです」

訂正

致死率のデータの一部を訂正しました