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アゴラ掲載記事に誤り→指摘→非公開→謝罪 編集部チェックなし体制は続行

フリーの麻酔科医、筒井冨美氏が書いた宋美玄氏やBuzzFeed Japanに対する批判記事に誤りがあると認めたが、再発防止策は?

インターネットメディア「アゴラ」(新田哲史編集長)は10月3日、ホームページ上に「BuzzFeed Japanからのご指摘と執筆者の処分について」と題する文書を公開した。掲載記事の誤りを認め、非公開にしたと説明している。

非公開とされたのは、アゴラが9月25日に公開した記事。フリーの麻酔科医・筒井冨美氏が執筆した「やめて!こういうインタビュー:宋美玄氏×BuzzFeed のダブルスタンダード」だ。

この記事には、事実関係の誤りや、宋氏やBuzzFeed Japan(BFJ)の岩永(筆者)への誹謗中傷とも取れる表現が散見された。筆者は26日に間違いや問題を指摘するとともに再発防止を求める文書を27日に新田氏宛に送付した。

アゴラはただちに筒井氏のアカウントを停止し、筒井氏の過去記事も全て非公開にした。そして、10月3日に処分に関する文書を公開した。

この文書でアゴラ編集部は「ご指摘をうけた大半の事項で問題がみられ、なによりも記事の根幹となる部分で明白な誤りがありました」と全面的に間違いを認めた。

また、筒井氏の言葉として「お二人の名誉を傷つけたと判断されても致し方のないもので、深くお詫びします」と謝罪している。

なぜ、このような誤報がアゴラに掲載されたのか

新田氏によると、編集部は事前に原稿の内容をチェックしていないという。これでは、記事の筆者がミスをしたり、意識的に事実と異なることを書いたりした場合、その誤報を公開前に止める手立てはない。

今後も、チェックなしで原稿を公開する体制は続けるという。

記事はどれだけ間違っていたのか

題名は宋氏とBFJを名指ししているが、実際には読売新聞の医療サイト「ヨミドクター」で連載されていた宋氏のコラムや、同紙で筆者(岩永)が書いたインタビュー連載を主に批判している。

筆者(岩永)は現在、BFJの医療記事担当エディターだが、前職は読売新聞で上記のコラムを担当していた。

27日に送付した文書では、記事中の誤りや誹謗中傷のうち、特に問題と考えられた6項目を指摘した。

糖尿病の診断基準を誤解して診断名を記述するなどの医学的な誤り、事実ではない「パフェ一気喰い」を宋氏がしたかのように書いて、宋氏が「胎児虐待」をしているなどと誹謗中傷している部分などだ。

中には、宋氏を「医療はサイドビジネスで、ワイドショーで有名人の不倫にコメントするのがメインの先生」と誤った認識で誹謗中傷する表現もあった。

実際には、開業前の宋氏は週4日クリニックで診療し、他の複数のクリニックでも当直などのアルバイトをして診療中心に活動し、テレビのコメンテーターの仕事は月2回だけだった。

「記事の根幹となる部分で明白な誤りがあった」

アゴラ編集部からは10月2日、BFJに、記事の誤りを認め、筒井氏の執筆アカウントを停止して、過去の記事も全て非公開としたとする回答文書が届いた。

そして3日、読者に対しても一連の経緯と処分を説明する今回の記事がHP上に掲載された。

アゴラ編集部は、筒井氏の記事で、

「『丸の内を選んだのは、働く女性が多いから』と主張しているが、認定産業医の資格は持っていないようだ。労働者の健康管理に関与する医師には必須の資格であり」

と記述した部分については、

「BuzzFeed Japan編集部からのご指摘の通り、『認定産業医』は企業の産業医として必須の資格であるものの、働く女性のヘルスケアをオフィスビル内のクリニックで担うために必須の資格ではありません。明らかに事実と異なる記述でした」と認めた。

また、

「(宋氏が)栄養士にアイスクリームを制止されて『怒りを感じ』『退院した足でパフェを食べに』行ったそうである」

「重症の妊娠糖尿病患者に高カロリー食品を制止するのは栄養士の業務だし、同患者の『パフェ一気喰い』は一種の胎児虐待でもある」

と記述した部分についても、「誤読」「恣意的な引用」という筆者からの指摘を認め、「パフェ一気喰い」という事実も引用元の記事には存在しないことを認めた。

当初は、アゴラは筒井氏の執筆アカウントを少なくとも年内は停止し、掲載していた過去の記事も全て非公開とすると説明していた。

その後、BFJが取材する中で、対応を「無期限停止」に変更した。

今後も編集部ノーチェックの記事は掲載すると表明

気になるのは再発防止策だ。

新田氏の説明によると、アゴラでは「編集部が原稿の編集に関わる執筆者」と、「品質管理を信頼して編集部を通さず直接投稿する筆者」といるという。

筒井氏は後者だが、今回の問題を受けて、今後、投稿を再開するにしても、編集部が介在する形に切り替えるという。

しかし、他の執筆者については「編集部において品質管理や著述実績に信頼を置いての執筆者による自主的な投稿」は継続するという。

問題が起きた場合は、事後的に対応すると説明している。

つまり、編集部が事前に内容をチェックしない体制が今後も取られる。これについて見解を問うたところ、新田氏から以下のコメントが届いた。


新田氏のコメント

これまでもアゴラでは、品質管理や著述実績から信頼の置ける寄稿者の投稿につきましては一任してきましたが、今回の記事については誠に遺憾です。

編集部としては過去の問題時と同様、筒井氏のアカウントを無期限停止し、当該記事と無関係のものも含めて非公開としました。また、これまでも誠意をもって対応させていただき、お詫び文を掲載し、媒体としての責任は果たしているものと考えます。

今回貴媒体から、アゴラの運営方針、執筆者との契約内容についてご意見は承りました。これについては参考にさせていたたきますが、当社の経営に関することにつきましては、当社で適切に判断するものであると考えます。