「NYの地下鉄にバイブレーターの広告を展開したい」メーカーの女性CEOらが提訴

    広告却下の判断を下したNY交通局に対し「言論の自由、適正な法手続き、平等な保護」に反すると訴え

    女性向けアダルトグッズを製造販売するDame Products社が6月20日、ニューヨーク市内の地下鉄駅構内での広告展開を却下されたとして、ニューヨーク州都市交通局(MTA)を相手取り提訴する、と発表した。

    Courtesy of Dame Products

    Dameは2014年創業で、CEOのアレクサンドラ・ファイン氏とCTOのジャネット・リーバーマン氏が共同で立ち上げたスタートアップだ。

    訴状によると同社は「快楽に関するギャップを埋める」ことを目指している。提訴の理由として、MTAの性差別および「アメリカ合衆国憲法修正第1条、第14条に基づく言論の自由、適正な法手続き、平等な保護」に反する判断を挙げている。

    ニューヨーク南地区連邦地方裁判所に提出された訴状によると、同社は2018年7月以来、市内の地下鉄各駅で広告を展開するためMTAと交渉を重ねてきた。広告にはバイブレーターをはじめ、青、緑、ピンク、ワイン色など多彩な色と形状のさまざまなアダルトグッズの写真がデザインされ、「男性の91%が行くべきところへ行きつくのに対し、女性の60%は…たどりつけない」といったコピーが入っていた。

    Courtesy of Dame Products

    しかし同年12月、MTAは広告は受け入れられないとして却下した。

    根拠として示したのは、広告規約に関する「よくあるご質問」の回答として新たに追加された項目だった。「MTA広告規約では‘性に関連するビジネス’を奨励する広告は禁じています」と記され、「あらゆるジェンダーを対象とした性具類の広告はこれに該当します」と明記されている。

    Dame側は何度か修正を加えた広告案をMTAに提出したが結局、却下された。MTAはDameに開示した文書の中で、同社について「性に関連する事業を行っており、当該内容は従来からMTAの広告基準で禁じられている」と記している。

    提訴を受け、MTAの対外業務責任者であるマックスウェル・ヤング氏はBuzzFeed Newsに書面で次のような見解を寄せた。

    「MTAの広告取扱いにはジェンダーや見解の違いによる差別的な扱いは一切なく、(Dame社の主張は)明らかに誤りです」

    「市民が利用する交通機関の運営者として、MTAは各種広告の内容に基づいてしかるべき線引きを行い、多様な利用者を考慮する立場にあります」

    Courtesy of Dame Products

    右は過去に許可された広告。左は今回却下された広告

    DameのファインCEOは電話取材に対し、「MTAのポリシーには性的な快楽に対する不快感が示されていて、そこには困惑があると思うんです」と語った。

    「セックスについてどう話して良いのか、私たち自身分からないという現実が表れています。私たちの製品はそうした現状に挑む後押しになれるのではないかと思っています」

    今回の広告が却下されたのは、昨年の事例からの方向転換といえる。

    MTAは昨年、別のアダルトグッズメーカーUnbound社の広告を不採用とした際、同社からジェンダーによるダブルスタンダードがあると指摘されたのを受け、「すべての当事者が納得の上、Unbound社の広告を展開できる道」を協力して探りたいとの意向をニューヨーク・タイムズに示していた。

    ただし結局、同社の広告は地下鉄で掲示されていない。MTAはニューヨーク・タイムズの取材後、Unboundに対し広告内の「男性器」を表す絵柄を変更するよう求めていた。

    MTAが「性に関連するビジネス」を具体的にどう定義しているかは明確ではない。NYの地下鉄ではこれまでも、ED治療薬、コンドーム、抗HIV薬、女性用の避妊具と性欲促進剤、生理用品、出会い系サービス、豊胸手術などの広告は認められてきた。

    例えば、ED治療薬を扱うHims社の広告はサボテンをペニスに見立て、うなだれたバージョンと直立したバージョンの写真をあしらっている。この「男性器」の表現は認められ、地下鉄車内や駅構内で広告として展開された。

    Courtesy of Dame, Courtesy of Dame Products

    MTAによる地下鉄広告の掲載判断は、以前から物議を醸してきた。2015年、女性の生理用下着を扱うThinx社が広告の掲出を持ちかけた際は、いったんはMTAの広告管理を手がける代理店に「不適切」と判断された。その後メディアで批判の声が上がり、最終的に広告は許可されている。

    Lucas Jackson / Reuters

    DameのファインCEOは、MTAの広告規約の文言が「明確でなく」、広告主によって適用のしかたにばらつきがあると指摘する。

    「確かに、私たちが取り上げているのは快感の話ですが、あくまで率直で誠実に、卑猥でないスタイルで扱っているつもりです。私たちが取り上げているのは言ってみれば健全な形の性であって、度を超えたセックスではありません」

    「私たちのポスターよりもよっぽど本能的な嫌悪感をおぼえる広告はたくさんあると思います。当社の広告がこうして問題にされて他はされないというのはどういうことなのでしょう」

    ファイン氏はさらに、MTAの決定には、何をもって性的な「健康上の問題」とするかをめぐる「バイアス」が影響していると語る。

    「男性は性的に機能できなければいけない、という暗黙の微妙なバイアスがあると思うのです。男性が勃起不全なら健康上の問題とみなされますが、女性が快感を得られなくても、健康問題とはみなされませんから」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:石垣賀子 / 編集:BuzzFeed Japan

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