耳がきこえない方と店員さんの素敵なエピソードが話題です。
エッセイ漫画や育児日誌を投稿しているうさささん(@usasa21)が、X(旧Twitter)に「耳がきこえない私と呼出しベル」とお店での出来事を投稿したところ、4万件を超える「いいね」が集まりました。
リプライ欄には「やさしいせかい」「素敵な話だぁ」「勉強になります」と大きな反響が寄せられています。
フードコートなどで注文すると受け取る「呼出ベル」。
生まれつき耳がきこえないうさささんは、振動しないタイプのものに遭遇した経験から、「呼出ベル」を受け取ったら、振動するかどうか必ず尋ねるようにしています。
エピソード1:カフェの店員さん
あるカフェでの出来事。
呼出ベルを受け取った際、念のため「それは振動しますか?」と確認すると、コクリとうなずいてくれた店員さん。
振動する呼出ベルに安心したうさささんでしたが、店員さんはさらに、ボタンを押して実際に呼び出す際の振動をその場で確認させてくれました。
エピソード2:飲食店の店員さん
注文時、レジ横に呼出ベルを見つけて、いつものように振動するかどうか確認しようと思ったうさささん。
すると、何かに気づいた店員さんが他の店員さんに声をかけ、何やら呼出ベルを確認しているようです。
なんとこの店員さんは、うさささんが聞く前に自分で気づいて、振動の有無を確認してくれていたのでした。
振動しないタイプのものに遭遇したことがあるうさささんにとって、呼出ベルは少しドキドキするものでした。
しかし、店内が混雑していたのにもかかわらず、気遣ってくれた2人の店員さんのおかげで、安心して待つことができたといいます。
BuzzFeed Japanは、うさささんに話を聞きました。
――呼出ベルの問題は、耳が聞こえない方にとってよく直面する問題なのでしょうか。
補聴器をつけていても、私には音が鳴る方向がわかりません。店内がざわざわしている中、音を聞き分けることもできません。
なので呼出ベルを渡されたら、光が出るであろう箇所を凝視しながら振動するのを待っています。
以前の話なのですが……呼出しベルの光も振動もせず「まだかな?」と振り向いたら、背後に店員さんが食べ物を持ったまま立っていたことがありました。
このときの真相はわからないままなのですが、呼出しベルの電池が切れていたのかもしれません。
振動する呼出しベルを扱っているお店だとわかっているのなら良いのですが、初めてのお店だったり初めて見る呼出しベルだったりすると「振動するのかな?」という不安がよぎってしまうんですね。
私が振動式でないものに遭遇したのは1回きりなのでなんともいえないのですが、仮に振動式ではないものに遭遇した場合、店員さんと目が合うよう近くで待つ対処を取ると思います。
――店員さんが気づいてくれた時はどのような状況だったのでしょうか。
このときの二人の店員さんのお店はどちらも初めてでした。
店内が混雑していたので「振動しますよ」の返答だけで充分だったのですが、安心に安心を重ねたりしっかり確認をしたり……そんな対応をとってくれた二人の店員さんの気遣いがとてもやさしく感じられました。
――ツイートに対する大きな反響を、どのように受け止められていますか?
呼出しベルの振動が苦手だけれど聴覚障害者にとっては振動が必要なんだ、と気づきに繋がった方がとても多くいらっしゃり嬉しく思いました。
自分には不要でも、必要な人がいると知るとそのモノの見え方が変わりますしね。
また、医療機関で働いている方からコメントがあったのですが「今までは直接呼びに行っていたけれど、振動式の呼出しベルを使えないかどうか上司に打診します!」と行動に移してくださったようです。
“やさしい”が次に繋がり、発信して良かったと思いました。
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2023年11月1日に白泉社からうさささんの初のエッセイ本「 耳がきこえないママときこえるムスメのおはなし。 」が発売されます。
気になる方はぜひチェックしてみてください〜!