乳腺炎の原因は「食事」じゃないって、本当?
乳腺炎には2種類あります。細菌感染によって炎症が起こる「感染性」と、なんらかの原因で乳管が詰まって炎症が起こる「非感染性」です。
細菌感染ではない場合の乳腺炎の原因は、「赤ちゃんの飲む量<母乳の分泌量」になって、乳房内に大量の母乳がとどまること。
助産師などの医療関係者が乳腺炎の原因として「乳製品や脂肪分の多い食事」を挙げることが多いのですが、実はこれに科学的根拠はありません。
あっさりした和食だけを食べていても、脂質や乳製品を多く食べていても、常識の範囲内あれば、乳腺炎のリスクは変わらないでしょう。
乳腺炎はどうすれば予防できる?
なんらかの事情で授乳間隔が大きくあいたり、授乳姿勢が不適切だったり、下着や抱っこ紐などで乳房が圧迫されたりしていると、乳腺炎のリスクが高まります。
授乳の基本は、お母さんがラクな姿勢をとり、赤ちゃんに乳首を深くくわえさせること。お母さんが上体を起こし(もしくは後ろにもたれかかり)乳首を上に向けた姿勢になると、赤ちゃんが乳首に吸い付きやすくなります。
乳腺炎になったときの対処法
炎症を起こしている乳房から授乳をし、溜まった母乳を出しましょう。
乳腺炎時は母乳の味が多少変わることがあるので、赤ちゃんがお腹がすかせてから飲ませる、うとうとしているときに飲ませるなどの工夫をして授乳するとよいでしょう。それでも赤ちゃんが飲みきれない場合は搾乳をしてください。
たとえ細菌性の乳腺炎でも、赤ちゃんが感染することはありません。
キャベツや、すりおろしたジャガイモや里芋などを乳房に貼る「民間療法の湿布」をすすめる助産師や保健師がいるようですが、どれも乳腺炎に効くという科学的な根拠はありません。
むしろ生の野菜には細菌類が付着している可能性があるため、赤ちゃんがリステリア中毒などを起こす危険性があります。そうでなくても、母子ともに皮膚がかぶれるなどのアレルギー症状が起こることもあり得ます。「なんとなく自然でよさそう」と実践しないようにしてください。
熱や痛みが続くなら、産婦人科へ
頻繁に母乳を飲ませても良くならない、熱や痛みが続く場合は、産婦人科を受診しましょう。
細菌性の乳腺炎の場合は、抗菌薬を服用する必要があります。通常、授乳を続けられる抗菌薬を処方されるはずですが、念のため授乳しても大丈夫かどうかを医師に確認してください。処方された薬は飲みきるようにしましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。