いよいよ公開、超実写版『ライオン・キング』のレビューは意外に厳しい

    「巨利をむさぼる巨大複合企業による、見かけばかりの技術デモンストレーションにすぎない」との評価も。

    Disney

    7月11日、ディズニー映画『ライオン・キング』のレビューが解禁され、映画評論界隈はにわかに慌ただしくなった。新作『ライオン・キング』は1994年公開のアニメーション版をCGでリメイクした「超実写版」。アメリカでは7月19日公開、日本では8月9日公開予定だ。

    本国での一足早い公開前レビューは、称賛から痛烈な批判までが入り混じっている。

    11日の時点で、映画評価サイトRotten Tomatoesのレビュースコアは、決して高い評価とは言えない57%をつけていた。別の評価サイトMetacriticは55%で、「賛否両論または並」の評価がついている。

    9日にロサンゼルスで行われたワールドプレミアで鑑賞したBuzzFeed Newsのシニア映画レポーター、アダム・B・ヴァリーは、感情表現の観点から次のような感想を述べている。

    #TheLionKing is a landmark *visual* experience. I’ve never seen anything like it, and I think it’s going to change how we look at movies forever. As an *emotional* experience, though…I’ll put it this way: It turns out lions can’t really emote.

    「『ライオン・キング』は視覚体験としては画期的だ。このような映画は見たことがないし、今後の映画に対する見かたを一新する作品になると思う。一方、心を動かす体験としては……ライオンには感情表現はできないようだ、と言っておく」

    筆者の感想も彼と同じだ。

    細部までリアルなCGのキャラクターの表情には、アニメ版にあった豊かな感情が失われてしまっている。オリジナル版と比べると力強さに欠けるシーンもいくつかあった。

    王ムファサの最期もその一つで、あっけなくふくらみに欠ける印象を受けた。死を迎えるムファサのストイックな表情からは、ジョン・ファヴロー監督が意図したであろう悲しみや痛手が伝わってこない。その結果、感情移入できなかった。

    とはいえ、ビジュアル的には傑作であり、ティモン(声:ビリー・アイクナー)、プンバァ(セス・ローゲン)、ザズー(ジョン・オリバー)、ナラ(ビヨンセ)等のキャラクターは立っていた。

    私が見た上映で観客の心をつかんだのは、何といってもティモンとプンバァのいきいきした掛け合い、ジョークの応酬だ。アイクナーによると、この辺りはアドリブもあったという。ふたりが登場するたび、会場には大きな笑いが起こった。

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    ただ、新『ライオン・キング』は、多くのファンに愛されたオリジナルのアニメ版に頼りすぎている感が否めない。あまりにもオリジナルに忠実なため、「原作ほぼまるごとそのままで無用なリメイク」と評した評論家もいる。

    しかしこれはまだ優しい方だ。敵意すらうかがわせる手厳しいレビューもある。

    IndieWireの映画評論家デヴィッド・アーリックは次のように評する。

    「(本作は)映画という形をした魂の抜けたキメラであり、巨利をむさぼる巨大複合企業による見かけばかりの技術デモンストレーションにすぎない。(ウロボロスのごとく)自らの尾をのみ込む映画製作スタジオによる、よくできてはいるが創造性の点では破綻している自画像である」

    想像力の欠如を指摘するレビューもある。2019年バージョンとして新たに創りかえたといえるめぼしい見どころがなく、近年ディズニーが送り出したリメイク作品と比較すれば、本作はその点が顕著だとする指摘だ。

    Vox系列のサイトPolygonのシニア・エディター、マット・パッチズはこう述べる。

    「今年公開の『ダンボ』は1941年の原作にとらわれない新たなプロットを練り上げ、『アラジン』の実写リメイクはジャスミンをより掘り下げて描いている。それに対し『ライオン・キング』は、ハイパーリアリズムの写実的な描写に全体を一新した以外、進化したといえるような余地がない」

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    ガーディアン紙のピーター・ブラッドショーのように、より公平に評価するレビューも。

    「(新作『ライオン・キング』は)オリジナルにきわめて忠実であり、その意味では当然見る価値はあり楽しめる」

    そしてこう続ける。

    「だが、オリジナル版の手描きのアニメが持つシンプルさ、鮮やかさはなかった。商業社会がこの見分けのつけがたいデジタルクローンという分身を生んだのだ」

    フォーブスのスコット・メンデルソンは、これから見る人に向けて「かなりがっかりすることになるので覚悟した方がいい」と告げる。

    そしてこの動きに乗っているのは評論家だけではない。一般の人も公開前から本作をネタにしたジョークを繰り広げている。

    Why would anyone want the character, human touch, and charm of 2d animation when you could look into a visually accurate warthog’s black, dead eyes as it sings you a song telling you not to be worried

    「見た目がリアルなイボイノシシが生気のない黒い目で『心配するな』と歌ってるのを見て、なんで人間味とか2Dアニメ的なよさを求めるんだ?」

    アイクナー、ローガン、シンバ役のドナルド・グローヴァーが「ハクナ・マタタ」を歌う場面の動画が出ると、ツイッター界はすぐに反応した。

    @DiscussingFilm @JimmyKimmelLive this has less life, energy, and flow to it than that one video of dobby dancing

    「生気もエナジーも流れも、ドビーが踊る動画より乏しい」

    「見てくれ、やつらは私の子をこんなひどい姿にしたんだ」

    レビューは賛否両論だが、映画が多額の興行収入をもたらすのは間違いなさそうだ。

    7月19日(金)の公開後、最初の週末の興行収入は1億8500万ドルだった。

    『ライオン・キング』は8月9日(金)から日本でも公開中。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:石垣賀子 / 編集:BuzzFeed Japan