帯コメントの依頼を初めて引き受けた作家。その理由が最高にエモかった。「このストーリーをもとにラノベが書ける」と大反響

    ライトノベル作家の屋久ユウキさんと、その姿に憧れて自らも作家となった優汰さん。心温まるやり取りがSNSで感動を呼んでいます。

    TVアニメ化された『弱キャラ友崎くん』シリーズで知られるライトノベル作家の屋久ユウキさん(@Yaku_yuki)。デビュー以降、どんなに頼まれても断ってきた帯コメントの依頼を初めて引き受けた理由をSNSで明かしました。

    この投稿には6万8000件以上の「いいね」が寄せられ、「最高にエモい」「このストーリーをもとにラノベが書ける」「素敵な登場人物しかおらん」と感動する声が続出しています。

    デビューから7年間すべての帯コメントの依頼を断ってきた作家が、初めてのコメントを書いた理由 pic.twitter.com/MtdA3yCks6

    — 屋久ユウキ (@Yaku_yuki) December 18, 2023
    Twitter: @Yaku_yuki

    屋久ユウキさんは12月18日、X(旧Twitter)に「デビューから7年間すべての帯コメントの依頼を断ってきた作家が、初めてのコメントを書いた理由」として4枚の画像を添付しました。

    それによると、全てはXのDM(ダイレクトメッセージ)で送られてきた1つの質問から始まったそうです。

    屋久さんにDMしたのは当時、作家志望の読者だった優汰さん(@yuta_m47)でした。

    2020年2月、ライトノベルの新人賞に応募しようと考えていた優汰さんが「応募原稿のなかだけで物語を完結させていいのか」という趣旨の質問をして、優汰さんは真摯にメッセージを返していました。

    屋久ユウキさんのXより きっかけ

    それから1年後、優汰さんはガガガ文庫の新人賞で最終選考の10作まで残る結果を残します。

    さらにその後、何度か新人賞に応募した結果、MFJ文庫Jライトノベル新人賞で佳作を受賞。

    着々と結果を積み重ねていくたびに、DMで屋久さんへ報告していました。

    新人賞の最終選考に残ったことを喜ぶ2人(2021年1月)

    屋久ユウキさんのXより 経過報告

    新人賞の受賞報告とお礼を述べる優汰さん。DMの文章自体も上達していて、読みやすくなっているのがわかります(2023年8月)

    屋久ユウキさんのXより 受賞報告

    そして、2人の縁を知ったMF文庫Jの編集者から、ガガガ文庫の担当編集者である岩浅健太郎さん(@kiwaasa_gagaga)宛てに「12月25日に発売される優汰さんのデビュー作に、屋久さんが推薦コメントを書いて欲しい」という依頼が来た、という経緯でした。

    屋久さんのもとへ送られてきた、帯コメントの依頼メール

    屋久ユウキさんのXより 帯コメントの依頼

    作家志望の読者への屋久さんの誠実な返信も、有言実行で作家になった優汰さんの情熱もスゴい!

    優汰さん(@yuta_m47)自身も18日、屋久さんの投稿をXで引用した上で感謝の言葉をつづりました

    「屋久先生と弱キャラ友崎くんがなければ、『この恋、おくちにあいますか?』はなかったと思ってください。 屋久先生は恩人ですし、弱キャラ友崎くんは人生を変えた作品です」

    amazonより 優汰さんのデビュー作の表紙

    屋久さんが帯コメントを書いた優汰さんのデビュー作は、『この恋、おくちにあいますか? ~優等生の白姫さんは問題児の俺と毎日キスしてる~』。優等生な彼女と自由で問題児な主人公が織り成す青春ラブコメです。

    本の帯コメントは、優汰さんが『弱キャラ友崎くん』シリーズの読者だったことを受けたもの。屋久さんは「ワシが育てた。──とは安易に言えないくらいに、自分自身を貫く物語。」と推薦しています。

    自作のファンである優汰さんの気持ちを汲みつつも、作者自身の力であることを伝える素敵なコメントですね。

    屋久ユウキさんのXより 帯コメント

    屋久ユウキさんに、お話を聞いてみました。

    ──2016年に『弱キャラ友崎くん』でデビューして以降、帯コメントの依頼を断り続けてきたということですが、その理由を教えてください。

    忖度で思ってもないことを言わないようにしようと常日頃から思っているので、嘘で帯を書きたくなかったからです。

    ──過去には2021年にも読者だった柊彼方さんがDMで小説家デビューを報告するなどやり取りがありました。今回でDMでアドバイスしていた読者のデビューは2人目かと思いますが、読者の方から屋久様にDMで相談が寄せられるのはよくあるのでしょうか?

    DMでのやり取りはよくありますね! 今回のツイートのリプライ欄に載せている筋肉の子や受験生の子だったり、友崎くんチャレンジという名前で行われていたものだったり、過去にいろいろとありました。

    ──DMで相談に乗っていた優汰さんが今回、小説家としてデビューすることになり、そのデビュー作の帯コメントを寄せることになりました。一連の流れを振り返って今、どう感じていますか?

    物語を通じて人の価値観や人生にいい影響を与えたいといつも思っているので、とても嬉しかったです。

    ・・・・・・

    DMの質問に対して、常に丁寧に返してきた屋久さん。アドバイスを真剣に聞いて作家になるという夢を叶えた優汰さん。二人の人間性があったからこそ、成立した今回の帯コメントだったのでしょう。心が温かくなる素敵なエピソードでした。

    屋久さんが帯コメントを寄せた優汰さんのデビュー作『この恋、おくちにあいますか? 』は、KADOKAWAのMF文庫Jから12月25日に出版されます。

    2024年には、屋久ユウキさんが関わったTVアニメ2本が放送予定です。1月からは、AT-XやTOKYO MXなどで『弱キャラ友崎くん 2nd STAGE』。4月からは、尾久さんがシリーズ構成・脚本を手掛けるオリジナルTVアニメ『夜のクラゲは泳げない』が放送されます。

    受賞の報告をもらったときに約束したので、第一号をもらってきました https://t.co/wpCSUz9EuW pic.twitter.com/qQYrGs5okk

    — 屋久ユウキ (@Yaku_yuki) December 22, 2023
    Twitter: @Yaku_yuki