【加計学園】今治市職員が決定前に官邸などを訪問? 政府は「確認できない」の一点張りで議論紛糾

    獣医学部新設が認められる前に、今治市が数回、内閣府を訪れていた可能性がある。

    学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題。予定地の今治市職員が、学園が新設の申請をする直前だった2015年4月に首相官邸を訪問した可能性があることが新たに明らかになり、野党が国会で追及を続けている。

    この問題は、自由党の森ゆうこ議員が6月6日に国会で明らかにしたもの。出張日程などを申請した今治市の行政文書から、市の企画課長と課長補佐が、2015年4月2日、内閣府などに加え、官邸を訪れていたことが判明したという。

    今治市が特区による獣医学部新設を申請したのは、2015年6月のこと。正式決定は2017年1月のことだ。そのため、野党側は「今治市と政府の事前調整があったのでは」と指摘している。

    朝日新聞によると、同じように特区による獣医学部新設を提案していた京都府の担当者は、「職員が官邸を訪問したことは一度もない」と証言しているという。

    6月8日、参議院農林水産委員会で森議員の質問に答えた萩生田光一官房副長官は「訪問者の記録が保存されていないために確認できない」と応じた。

    事務方トップも「確認できない」

    一方、内閣府の藤原豊審議官も、同様に「訪問があったのか、誰が対応したのか、訪問者の記録もなく、確認できておりません」と答えた。

    藤原審議官は、内閣府で国家戦略特区を取り仕切る事務方の実質トップ。「総理のご意向」「官邸の最高レベル」などと文科省の職員に伝えた、前川喜平・文科前事務次官に名指しされた人物だ。

    このやり取りをめぐるとされる別の文書にも、「藤原内閣府審議官との打合わせ」と明記されているが、本人は「申し上げたことは一切ない」と反論している。

    森ゆう子議員はこの日の委員会で、「あなたが会ったのではないか」と指摘。「会ったのか、会ってないか、YESかNOかで答えてください」と聞かれると、藤原審議官はこう応じた。

    「自分がお会いしたことも含めて、今治市の面談は確認できておりません」

    この発言には森委員含め野党側が紛糾。委員会は一時中断し、その後、藤原審議官は再びこう語った。

    「私につきましては、記憶がございません。担当者は何名かおりましたが、すでに異動しているものも多く、特定の面談の有無については、確認が難しい状況」

    事前にスケジュールも決まっていた?

    さらに森議員は、入手した今治市の行政文書をもとに、「2016年10月28日に、今治市の課長らが内閣府を訪れ、今後のスケジュール案や論点、イメージを示している」ことを指摘した。

    政府の国家戦略特区諮問会議が獣医学部新設を決めたのは、2016年11月9日だ。森議員は、決定直前に「今治市が内閣府を訪れた」意味について、「それ以前に今治と決定した=加計学園に決定していたのではないか」と質問した。

    藤原審議官はこの点について、こう答弁した。まず、面会についてはこうだ。

    「担当者は何名もおり、面会や電話のやりとりなどもあって、一つ一つ、特定の日時についての状況は確認できない」

    そして資料提供についても、こう答えた。

    「初めてお聞きしたこともあって、大変申し訳ないのですが、当方からスケジュールや論点など、少なくともそういう資料について提供したことはないと思います」

    森議員は今治市に行政文書として訪問の記録が残っていたことを引き合いに出しながら、「記録の残ってない役所、行政なんてありませんよ」などと詰め寄ったが、時間の問題もあり、最終的に藤原審議官は応じなかった。


    BuzzFeed Newsがこの問題について、今治市に確認した結果は【政府が「確認」できなかった今治市の首相官邸訪問 市側が明かしたその目的は】に掲載しています。


    BuzzFeed Japanでは、この問題をめぐる各紙の報じ方について【「加計学園」主要5紙はどう報じたか 立ち位置くっきり、社説を比べてみた】という記事にまとめています。