【加計学園】政府が「確認」できなかった今治市の首相官邸訪問 市側が明かしたその目的は

    野党はこの訪問が「事前の調整」だったと指摘。獣医学部新設は「今治ありきだったのでは」と追及しています。

    学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題。予定地の今治市職員が、学園が新設の申請をする直前の2015年4月に首相官邸を訪問したとされることについて、政府が「確認ができない」と答弁し、「説明責任を果たしていない」との批判があがっている。

    これについて、今治市の担当者が首相官邸の訪問を認め、目的が「獣医学部新設を含んだ特区提案について、陳情や要望活動」の一環だったと、6月9日、BuzzFeed Newsの取材に答えた。

    この問題は、野党が国会で追及しているもの。出張日程などを申請した今治市の行政文書から、市の企画課長と課長補佐が、2015年4月2日、内閣府などに加え、官邸を訪れていたことが判明したという。

    今治市が特区による獣医学部新設を申請したのは、2015年6月のこと。正式決定は2017年1月のことだ。

    そのため野党側は「事前の調整があったのでは」としているが、政府はこれまでの国会答弁で「訪問者の記録が保存されていない」「確認できない」との立場を貫いており、批判があがっていた。

    今治市は「事実です」

    一方、今治市の担当者は6月9日、BuzzFeed Newsの取材に対し、2015年4月9日に官邸を訪問した事実を認めた。

    市企画課の課長補佐はこう語った。

    「獣医学部を含んだ特区提案について、国に向いて陳情や要望活動をしているので、その一環としてその職員2名が官邸を訪問したことは事実です」

    首相と会ったのだろうか。その点については、こう回答を控えた。

    「相手方や内容については今治市情報公開条例の趣旨により、お答えは差し控えさせていただいている」

    この2年間、同様の目的で官邸を訪問したことはないという。

    「スケジュール案が示されていた」という指摘には…

    また、2016年10月28日にも今治市の課長らが内閣府を訪れ、今後のスケジュール案や論点などを話し合っていた、との指摘もされていた。

    政府の国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)が獣医学部新設を認めたのは、2016年11月9日。その直前に、「すでに今治ありきだったのではないか」という指摘だ。

    この目的は内閣府との「協議」だったという。また、資料についても内閣府ではなく、「今治市が用意したもの」と説明した。

    「成田市の特区による医学部新設のスケジュールを参考にし、市長が2016年3月議会で獣医学部新設のスケジュール案を表明しました。協議では、その想定スケジュールを内閣府側に示したのです」

    今治市は問題をどう見ているのか

    渦中にある今治市の担当者として、国会で日々議論されているこの問題をどう見ているのか。

    「今治市は2007年から規制緩和の提案をしてきた経緯があります。足掛け10年にわたって提案をしてきたその成果がまさに出ようとしている段階です」

    「国レベルの話ですので、私らが関与する余地がございません。とにかく、文科省における獣医学部の設置認可審査がしっかりと、厳正に行われることを見守りたい」

    今治市として、「行政が歪められたり、忖度が働いたりした」との疑惑があることについて、どう捉えているのか。そう聞くと、課長補佐は少し間を置いて、こう語った。

    「まったく予期していないことです。私らは関知しておりませんので、国会で検証されるものと思っております」


    BuzzFeed Japanでは、この問題をめぐる各紙の報じ方について【「加計学園」主要5紙はどう報じたか 立ち位置くっきり、社説を比べてみた】という記事にまとめています。