• covid19jp badge
  • factcheckjp badge

ローマ教皇「天国に行くためにワクチンが必要」は誤り。「真実を言っている」と拡散、発端は

発端はアメリカの風刺サイトで、実際にローマ教皇がそのような発言をした事実はない。

新型コロナワクチンをめぐり、フランシスコ・ローマ教皇が「天国に行くためには新型コロナワクチンが必要」と発言したとする情報が拡散している。

しかしこれは、「誤り」だ。発端はアメリカの風刺サイトで、実際にローマ教皇がそのような発言をした事実はない。

拡散しているのは、海外ネットメディアのスクリーンショットとみられるもの。

ワクチンに反対する立場としてインフルエンサーとなっている内科医がTwitterとInstagramに6〜7月にアップした。ツイートでは3500以上の、Instagramの投稿では1700以上の「いいね」を集めている。

また、投稿には「早く天国へ行けるということ」「信者はみんなワクチンを打つのでしょうか」「ちゃんと真実を言ってる」「ワクチンしたら死ぬという意味でしょうか?」などというコメントがついていた。

この情報は、同様にワクチンに反対する立場の別の内科医の「note」(昨年12月)にも以下のように記されていた。

キリスト教のトップ、ローマ法王もこう言っている。「天国に行くにはコロナワクチンの接種が必要」

「元大統領3人が推奨し、ローマ法王さえ推奨してるワクチンなんだから、すごくいいものに違いない」と思いますか?

とんでもない。真逆だよ。普通じゃないことが起こっている、と思わないといけない。

noteでは「ローマ教皇がワクチンを推奨しているのだから疑うべきである」とのニュアンスで掲載されているが、いずれにしても、以前から拡散していた言説であることがわかる。

出どころは「風刺サイト」

この情報は昨年12月ごろから海外で広く拡散していたが、「誤り」だ。

ソースとなっているのは、「Babylon Bee」というサイトが同11月に公開した記事。自称「世界最高の風刺サイト」で、見出しや記事内容はパロディだ。

メールマガジンの説明には「信頼できるフェイクニュースが受信トレイに直接配信されます」と記され、サイトの説明文には以下のように記されている。

「私たちのサイトで何かについて苦情を言いたいのなら、神に相談してください。他の風刺サイトとは異なり、私たちが投稿するものはすべてSnopes.com(*アメリカのファクトチェックサイト)によって100%検証されています」

今回拡散した記事も同様に「風刺」であり、ローマ教皇がそのような発言をした事実はない。実際に記事を読んでみると、こんな文章もある。

「教皇は、信頼できるワクチン接種を2度終えた場合、『あなたの親しい故人を煉獄からすぐに解放する』『あなたがそこで過ごす時間を半分にすることができる』と述べました」

教皇はワクチンの初回投与を受けているが、2回目の投与前には悪魔払いのためにベッドに縛り付けられなければなりませんでした」

「Babylon Bee」は過去、トランプ前大統領がそうしたサイトと知ってか知らぬか記事をシェアしたこともあり、アメリカでは著名なサイトだ。ファクトチェックに関して「風刺」と「フェイク」に関する論争も巻き起こしたことでも知られている。

新型コロナワクチンをめぐっては、サイトのスクリーンショットや切り抜きが出回ることで誤情報が拡散するケースも少なくない。情報の取り扱いには注意が必要だ。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。なお、今回の対象言説の一部は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知、参考にしました。

また、新型コロナウイルス感染症やワクチンに関する正確な情報を提供する日米の専門家によるプロジェクト「こびナビ」とも連携し、新型コロナ感染症とワクチンに関する誤った情報、不正確な情報についてファクトチェックしています。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。

UPDATE

ローマ教皇の表記を修正しました。