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「イーロン・マスク氏、トランプ氏の長男をツイッター新CEOに任命」辞任めぐり日米でフェイクニュースが大拡散

Twitter社のCEOをめぐっては、マスク氏が後任を探しているとの報道がされている。こうしたなか、「トランプ・ジュニアを任命」とする虚偽情報が日米のTwitter上で広く拡散している。

Twitter社を買収したイーロン・マスク氏が自らの進退を決める「投票」を実施し、退任を望む声が過半数を占めたことをめぐり、トランプ前大統領の長男を新CEOに任命したとする複数のツイートが拡散している。

しかし、いずれも海外の風刺サイトの「虚偽ニュース」をもとにしたものであり、事実ではない。マスク氏が次のCEOを探しているという報道はあるほか、本人も「引き受けるほどバカな人が見つかればすぐ辞める」などとツイートしている。

現状では後任が決まったという情報は見当たらない。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

「💥速報🤩イーロン・マスク、退任したドナルド・トランプ・ジュニアをTwitterの新CEOに任命」(12月20日、6700リツイート、2万3000いいね)

「イーロン・マスク、ドナルド・トランプ・ジュニアをTwitterの新CEOに任命!」(12月20日、3000リツイート、9800いいね)

Twitter上にこうして大量に拡散しているツイートの情報源になっているのは、海外ブログサイト「The Smattering」の12月20日付の以下のようなタイトルの記事だ。

「速報: イーロン・マスク、辞任後のTwitterCEOにドナルド・トランプ・ジュニアを任命」

記事には「イーロン・マスク氏が彼の後継者を発表」「手綱をドナルド・トランプ・ジュニア氏に手渡すことを決めた」「買収準備が進んでいる」などと書かれている。しかし、これはそもそもがつくり話だ。

2ヶ月前に作成されたばかりという、このサイト。トップページには「真実じゃない話題のニュース、でもまじであり得るかも…」(The hottest news that ain't true, but totally could be.)という但し書きもある。

サイトの運営者も「毎週風刺を投稿する」とツイートしており、日本でいう「虚構新聞」のようなものであることがわかる。

しかし、この記事に基づいて発信、拡散したツイートの多くでは、もとの記事が風刺やジョークを目的とする「フェイクニュース」だったことに触れていない。

マスク氏は「後任」に言及したが…

Twitter社のCEOをめぐっては、マスク氏が「投票」を実施。後任を探しているとの報道もされている。また、本人は12月21日午前(日本時間)に以下のようにツイートした。

「CEOを引き受けるほどバカな人を見つけたら、すぐに辞任する。その後は、ソフトウェアとサーバーのチームを運営するだけ」

こうした中で、「The Smattering」の記事はアメリカだけではなく日本でも広く拡散している。拡散状況を計測するツール「BuzzSumo」ではTwitterとFacebookで5000以上シェアされていることが確認できた。

事実と思って驚いたり反応したりするリプライも相次いでおり、注意が必要だ。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。

また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。