観光推しの日本で外国人客が2000万人を初突破 でも、世界ではまだまだ

    あと3年で2000万人増やせるか

    観光庁は10月30日、今年1〜9月の外国人観光客が2000万人を突破したと発表した。

    日経新聞などが報じた。1〜12月の暦年で、外国人観光客が2000万人の大台に乗ったのは初めて。11~12月分も合わせれば、年間2400万人程度に達する可能性があるという。

    2011年からの外国人観光客の伸び率は大きい。アベノミクスによる円安が、引き金となった。2013年に初めて1000万人を超えると弾みがつき、昨年は1973万人に達していた。

    今年4月には、熊本地震があった九州への韓国人観光客が減少するなどのマイナス要因もあったが、全国的には増加したという。

    500万人は中国人

    現段階での内訳を見ると、中国人が500万人と、全体の25%を占めている。さらに韓国、台湾、香港を含むと、全体の70%に達するという。

    観光ビザの緩和、クルーズ船の寄港が前年同期比1.5倍(1176回)になったこと、新たな航空便の就航が増えたことなどが、増加の背景があるとみられている。

    伸び率は鈍化

    ただ、昨年の伸び率が前年比47%だったのに対し、今年の伸び率は現段階で24%と鈍化している。中国人観光客による「爆買い」ブームも去るなど、手放しで「大台突破」を喜べる状況とは言えない。

    観光客の急増に対応する戦略も必要とされている。日本政策投資銀行の試算では、東京五輪が開かれる2020年に4000万人という目標を達成した場合、年間のべ1880万人分の宿泊施設が不足する恐れがあるという。

    政府は、2030年には6000万人にすることを目標にしている。現状のままでは、宿泊施設だけではなく、あらゆる観光インフラが足りない。

    上には上も

    2015年、世界で一番外国人観光客が多かったのは、フランスの8445万人。アジアでは5689万人の中国がトップだ。日本は16位、アジアで6位だった。

    2015年のデータで比較すれば、2400万人では、15位のギリシャ(2360万人)とほぼ同列。4000万人になれば、トルコの3981万人を超え、イタリアの5073万人に次ぐ6位にランクインできる。

    石井啓一国土交通相は10月31日、「観光先進国の実現を目指し、政府一丸となって強力に推進する」とのコメントを出した。政府は今後も、空港や港などの設備強化に力を入れていく方針だ。