5歳児が「棒つきキャンディ」を丸ごと誤飲。あくびをした瞬間に… 事故をうけ小児科学会が3つの注意点を公表【2022年上半期回顧】

    日本小児科学会の「傷害速報」によると、5歳の男児はキャンディを舐めたまま眠ってしまい、目が覚めた際に棒ごと飲み込んでしまったという。【2022年上半期回顧】

    2022年上半期にBuzzFeed Japan Medicalで反響の大きかった記事をご紹介しています。(初出:5月19日)


    5歳の子どもが「棒つきキャンディ」を誤飲し、摘出手術を受ける事故が昨年11月に発生していたと、日本小児科学会が「傷害速報」を発表した。

    車で口にくわえたまま眠り込み、目覚めてあくびをした瞬間に飲み込んでしまったという。内視鏡による緊急摘出手術をし、命に別状はなかった。

    その危険性と、家庭でできる予防策は何か。誤飲・誤嚥事故の対処法とともにまとめた。

    同学会の発表した「傷害速報」によると、事故があったのは5歳男児。

    車の走行中に助手席のジュニアシートでキャンディを舐めていたが、そのまま眠ってしまい、目が覚めて後部座席を振り向いた際にあくびが出て、棒ごと飲み込んでしまったという。

    本人が飲み込んだことを母親に伝え、すぐに救急外来を受診。誤飲から約 1 時間時点でCTで確認したところ、胃に留まっていることがわかった。

    その後、内視鏡による緊急摘出手術を受け、経過観察のための一晩の入院を経て、退院したという。確認された長さは7.2cmほどだった。

    同学会は、こうした棒が長いものを誤飲してしまうと、「自然排泄困難が予測される『危険異物』に該当する」と指摘。

    「上部消化管に停滞する長さ5cm以上の異物は緊急摘出の適応となる」とし、「棒を口にくわえたまま不意の状況で喉を突いてしまう危険性も高い」と注意を呼びかけた。

    家庭でできる3つのポイントは

    そのうえで、事故を防ぐために家庭でできることとして、以下の3点をあげている。

    • 子どもに与える際は「きちんと座ってなめる」「口にくわえたまま遊んだり、走ったりしない」「会話したり笑ったりする際は、口から外す」ことを繰り返しよく伝える。
    • こうした約束事をまだ十分に理解できない年代の乳幼児には与えないようにする。
    • 万が一、子どもがキャンディをなめながら遊びや会話を始めたり、眠ったりしてしまう場合には、まず口から外させる。


    また、そうした万が一のケースに備え、「保護者がすぐに気付き対処できる環境で あることが望ましい」ともしている。

    もしもの時は…

    誤飲・誤嚥事故をめぐっては、「スーパーボール」(3歳男児)や「木製のイチゴのおもちゃ」(2歳女児)「ブドウ」(1歳6ヶ月男児)などによる死亡事故も起きており、いずれも「傷害速報」に掲載されている。

    子どもが突然声が出なくなった、首をおさえ苦しそうにしている、唇が紫になったーーなど、苦しそうな様子を示していた場合、窒息の可能性が高いという。

    その際は、すぐに救急車を呼び、1歳未満であれば「胸部突き上げ法」と「背部叩打法」を、1歳以上であれば「腹部突き上げ法」の応急措置をとることが大切だ。

    傷害速報」では、そのほかにもさまざまな重大事故のケースを掲載している。同様の事故を繰り返さないことが目的で、誰でも確認することができる。詳細は日本小児科学会サイトより。