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おもちゃの視点で見る「平成」とは。専門誌の編集者に聞いた

スーパーファミコン、ハイパーヨーヨー、ミニ四駆……。様々なヒットが生まれた。

平成が終わる。この30年間、いったいどんなおもちゃがヒットし、子どもたちの心を支えてきたのか。おもちゃから振り返る「平成」とは、何なのか。

BuzzFeed Newsは、玩具業界の専門誌「月刊トイジャーナル」副編集長で、20年以上にわたっておもちゃの変化を見てきた藤井大祐さんに話を聞いた。

ゲームとおもちゃはライバルに

時事通信

テレビゲーム(スーパーファミコン)に熱中する子供たち(大阪、1993年)

そもそも、平成のおもちゃ史は、テレビゲームと切っては切れないだろう。

まず平成元(1989)年には「ゲームボーイ」が発売となり、翌2(1990)年には「スーパー・ファミコン」が発売。

その後も「プレイステーション」(94年)「NINTENDO64」(96年)など、平成初期にはさまざまなテレビゲームが登場した。

「ニンテンドースイッチ」(2017年)に至るまで、「子どもたちには任天堂が一番強い」という藤井さんは、ゲームとおもちゃの関係性をこう指摘する。

「平成の最初のころまではテレビゲームはおもちゃの一部でしたが、『プレイステーション』の発売などをきっかけに流通経路そのものが代わり、別物になっていきました」

「ゲーム発のおもちゃがヒットしていくという補完関係が生まれることもある。もちろん、その逆も。それでも、いまではおもちゃとゲームはライバル的な関係にあるとも言えますね」

ヒットを牽引した「コロコロ」

Amazon / Via amazon.co.jp

いまでも70万部以上の発行部数を誇る月刊コロコロコミック

こうした時代において、一番ヒットしたおもちゃは「たまごっち」だったと藤井さんはいう。

「一つのおもちゃが社会現象を巻き起こし、大人まで巻き込んだという意味では、たまごっちが一番大きいと思います」

そのほかにも「ベイブレード」(2001年)や「ハイパーヨーヨー」(1997年)「ミニ四駆」(95年)などの流行があった。それを牽引してきたのが、「コロコロコミック」(小学館)だ。

「平成はおもちゃが漫画やアニメと組むクロスメディア戦略でヒットをつくってきた時代でもありました。特に男の子向けの『コロコロ』は強かった。ヒットさせるためには外せない媒体でもあったんです」

メーカー側はヒット商品を5〜6年おきにリバイバルし、そのたびにヒットを再生産してきた。ちょうど、流行に乗った世代が小学校を卒業し、一回りする区切りだそうだ。

2010年代になって再び大ブレイクしたベイブレードやハイパーヨーヨーなどは、その典型だという。

ヒットが生まれにくくなった?

AFP=時事

妖怪ウォッチの「ジバニャン」

しかし平成も後期になり、そうした大ヒットは起きづらくなった。

「たとえば同じ教室の中でも、あちらでベイブレードをやっていて、こちらではカードゲームをやっていて、違うグループは『スイッチ』をやっている。そんな光景が見られるようになりました」

「YouTubeの出現が大きいのだと思います。いままでのように、みんなが同じ時間に同じ番組のCMを見て、同じ商品を手にするということは少なくなってきた。お気に入りのユーチューバーの番組で紹介されたものを手にするからです」

「ハンドスピナー」のように、海外と直結した流行が突如として起こることも、こうした時代の特徴だ。藤井編集長は「おもちゃも分散化の時代が始まった」と表現する。

ただ、そんな時代においてもヒットを打ち出したのが「妖怪ウォッチ」だった。

「小ヒット、中ヒットが多発する中において、突然大ヒットしたのが妖怪ウォッチでした。ポケモンなどと同様にゲームやおもちゃ、アニメ、さらには街中に展開し、男女関わらずにヒットをした。この時代でも、こういうことがあるのだな、と驚きました」

時代を受けた変化も

時事通信 / Amazon

平成に流行ったおもちゃたち

平成は、バブルが崩壊し、不景気が続いてきた時代でもあった。それでも、おもちゃは景気の影響を受けづらいと言われてきた、という。

しかし、2009年には前年のリーマン・ショックの煽りを受けて市場規模が大幅に縮小。2011年には東日本大震災の影響で、室内で遊べるアナログゲームの需要が一気に高まったこともあった。

「いつの時代でも子どもはおもちゃを欲しがりますし、親も買うと言われてきた。それでも変化を受けたということは、それほど大きなできごとだったのだと思います」

また、男女の垣根も低くなりつつあるという。「女子にはカードゲームが流行らない」と言われた常識を打ち壊した「オシャレ魔女 ラブandベリー」(05年)の登場などがその証左だ。

「逆に、男子がおままごとをすることだってある。海外ではすでにジェンダーフリーの価値がおもちゃにも広がり、男児向け・女児向けという考え方もなくなっています。日本ではまだそこまでの流れはないですが、今後は変わっていくのではないでしょうか」

おもちゃの本質は変わらない

Kota Hatachi / BuzzFeed

1903年から玩具業界を追い続けてきた月刊「トイジャーナル」

時代とともに、さまざまな変化を遂げてきたおもちゃ。それでも藤井さんは、「本質は変わりませんよ」と、いう。

たくさんの新商品が出てくる中で、「リカちゃん人形」や「プラレール」「トミカ」「シルバニアファミリー」など、昭和からいまだに愛され続けているロングセラーのおもちゃも少なくはない。

「変身ができる戦隊モノや仮面ライダー、おままごとの商品だって、NFCチップが使われるなどの技術的な変化はあれど、根本は同じです」

「いつだっておもちゃは子どもにとって楽しいものであり、心の成長のためになくてはならないものなんです」

では、次の時代には何が流行るのだろう。そう記者が聞くと、藤井さんは笑った。

「子どもたちが好きになるものって、本当にわからないんですよ」

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なにが「遊び」なのかは、人それぞれ。ゲームをしたり、写真を撮ったり、どこかへ出かけたり。つまらないと感じることでも、ある人の視点を通すと、楽しくなって、それが「遊び」に変化することもある。「遊び」には、限界がないのです。BuzzFeed Japanは、人それぞれの「遊び」を紹介し、平成最後の夏を思いきり楽しむ!



Contact Kota Hatachi at kota.hatachi@buzzfeed.com.

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