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「これからどうなるかは…」オミクロン感染拡大、尾身会長が国会で訴えた“特徴と対策”とは

いわゆる「第6波」への対策をめぐっては、尾身会長が「人流抑制より人数制限」と発言したことが、知事会などから批判の声も上がっていた。

政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は1月24日、衆議院予算委員会で感染拡大の現状に言及し、「国民みんなの努力で抑えれば感染拡大のスピードを鈍化することも可能」と呼びかけた。

オミクロンにおいてもマスクを外した場合での感染が多いと指摘。マスク着用の徹底を訴えた一方、「今後状況がさらに悪化すれば、さらに強い対策が必要になる」とも指摘した。

いわゆる「第6波」への対策をめぐっては、尾身会長が「人流抑制より人数制限」と発言したことに、全国知事会などから批判の声も上がっていた。

立憲民主党の大串博志議員はこれについて、政府の措置と「ちぐはぐ感を覚える人もいる」と指摘。「どういうふうなお考えでこれを提示しているのか」と問うた。

尾身会長はこれに対し、以下のように答弁し、「基本的な感染対策」の徹底を改めて強調した。

「長いコロナ禍を経験した中、感染症対策と社会経済活動の両立が求められている。現在の感染状況を乗り越えるためには、まず、いかなる場面で感染してるか、そしていかなる行動で感染リスクを下げるかについて、人々に納得して協力していただくことが、以前にも増して重要だと思います」

「これまでの疫学調査でわかっていることは、オミクロン株の場合でも、マスクを外した状態(での感染)が非常に多い。マスクを外した状態や不十分な着用、換気の悪い中での大人数、大声での会話などが主たる感染の場であるということがわかっています。従って一人ひとりが不織布マスクのしっかりとした着用など、基本的な感染対策の徹底が求められている」

「集中的な対策に加えて、各都道府県知事の判断で、それよりも広範な行動制限をするということも当然考えられると思います。今後状況がさらに悪化すれば、さらに強い対策が必要になると思います。全国知事会等はですね、今話し合いを申しておりまして、共通の認識になっているところを確認しています」

語った「これから」のこと

そのうえで、オミクロンがここまで感染拡大した原因について、ウイルスの特徴とともに、パーティーなどが多く開催された時期が影響したとの見方を示した。

「オミクロン株がどうしてこれだけ急速に拡大したかという最も大きな原因は、世代期間(*1)、ターンオーバー(*2)が非常に早いというウイルスの特徴に加えて、クリスマス、年末年始、成人式などでの大人数のパーティーで感染がぱっと拡大し、その後、家庭や職場で感染したというふうに判断しています」

現在の状況は「成人式までの経過」だと強調し、今後については、「これからどうなるかということは、いま申し上げたような大人数のパーティーがあるということが、またぞろ再現されると感染拡大をする可能性がある強い」と指摘。

「しかし、それを国民みんなの努力である程度抑えることができれば、感染の拡大のスピードを鈍化することも可能だと思います」と語った。

(*1 感染源となる感染者が自分が感染してから2次感染を起こすまでの時間間隔 *2 入れ替わる速度)

岸田首相も言及

立憲・長妻昭議員がこの発言について聞いた質問に対し、岸田首相は「尾身会長もその後、発言については訂正をされたと承知をしています」と、こう答弁した。

「結果としまして、このオミクロンの特性を踏まえ、マスクを付けずに会話をするなど、リスクの高い場面での接触機会を減らすための、人流制限に重点を置くということでありましたが、併せて地域の実情に応じた人流抑制も有効であると、こうした発言であったと理解をしています」

実際、尾身会長は「人流抑制より人数制限」という発言について、知事会に謝罪。その後、提出された専門家の提言でも以下のように「人流抑制」に言及するなど、軌道修正を図っている。

「現時点では、感染リスクの高い場面・場所に焦点を絞った接触機会の確実な低減のための“人数制限”が適していると考えられる。なお、感染状況等の実情も踏まえて、各都道府県知事の判断により、“人流抑制”を加味することもあり得る」

長妻議員はこの修正や県をまたぐ移動の制限についても触れ、「政府としての統一見解をまとめていただきたい」と指摘。岸田首相は「政府の統一的な見解を示すことは重要。そのためにも基本的対処方針でどう明らかにするのかぜひ検討していきたい」と答えた。