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北朝鮮ミサイル発射「雨雲レーダーに通り道が…」は誤り。憶測が拡散、実際は“空白地帯”

拡散していたのは北海道上空付近の雨雲レーダーの画像。一部分に線が入っているように見えることから「ミサイルの弾道では」とする憶測が広がっていた。

10月4日午前7時29分ごろ、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のミサイルがあるものが発射され、全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて「国民保護に関する情報」が出された。

これをめぐり、Twitter上に、「雨雲レーダーにミサイルの通り道が見える」などとする情報が広がっているが、これは誤りだ。

気象レーダーが山に遮られ、もともと表示されていない部分のため、ミサイルは関係がない。注意が必要だ。

Twitter上で複数拡散しているのは、北海道上空付近の雨雲レーダーの画像。

一部分に線が入っているように見えることから、ミサイルの弾道なのではないかという憶測がSNS上で広がり、一時は数千いいねを集めている投稿もあった。

しかし、前述の通りこれは誤った情報だ。この部分はもともとレーダーの死角になっている部分。ミサイルは一切関係がない。

これは、函館地方気象台のレーダーが、設置されている七飯町横津岳の山頂部分に一部遮られていることで起きている現象だ(NHK、2022年8月26日)。

レーダーが山頂よりも低いところにあることが原因。こうしたレーダーの「空白地帯」は、宮城県仙台市や千葉県柏市にも存在するという。

実際、この部分はミサイルが発射されたとみられる時間より前にも、表示され続けていることがわかる(写真上)。

雲の研究者で、気象庁気象研究所主任研究官の荒木健太郎さんも、「誤情報にお気をつけください」と注意喚起のツイートをしている。

雨雲レーダーで北海道に空白帯が見られるのは、レーダーの電波が山で遮られているためです。ミサイルによるものではありません。誤情報にお気をつけください。

Twitter: @arakencloud

北朝鮮のミサイル発射をめぐっては、2017年9月の「Jアラート」発令時には、「ミサイルらしきものが撮影できた」とするデマ画像が拡散したこともある。

災害時などには誤情報が拡散しやすいため、安易なリツイートには注意が必要だ。


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