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「岸田内閣がレジ袋有料化の廃止を決定」は誤り。「超有能」と拡散、環境省は否定

ネット上に拡散しているのは、まとめサイト「あじあにゅーすちゃんねる」の【【速報】岸田内閣、レジ袋有料化廃止決定!!!!】という10月5日の記事だ。

「岸田内閣がレジ袋有料化の廃止を決定した」とする、まとめサイトの情報がネット上で拡散されている。しかし、これは「誤り」だ。

この記事が廃止の根拠としているのは、自民党の桜田義孝衆院議員が新たに就任した山口壮環境相に「レジ袋について相談した」という情報に過ぎない。

環境省の担当部署もBuzzFeed Newsの取材に対し、「廃止を決定したという事実や関連する動きはない」と明確に否定している。

ネット上に拡散しているのは、まとめサイト「あじあニュースちゃんねる」の【【速報】岸田内閣、レジ袋有料化廃止決定!!!!】という10月5日の記事。

「岸田wwww超有能wwww」というツイートは4000回以上「いいね」されるなど、大きく拡散されている。

この記事では、東スポWebに掲載された【小泉進次郎氏肝いり「有料レジ袋」廃止か 桜田義孝議員が新環境相に相談】という記事を引用したネット掲示板「5ちゃんねる」の書き込みをまとめている。

だが、東スポの記事は、元東京五輪・パラリンピック担当相の桜田義孝衆院議員による以下のツイートや、その反応を紹介しているだけだ。

《地域の皆様からの要望で、レジ袋についてのご要望を頂いております。レジ袋有料化のメリットデメリットについて、私の盟友である山口つよし環境大臣に直接ご相談をさせていただきました》

「小泉氏の肝入り政策も風前の灯なのかもしれない」と結んでいるものの、岸田内閣として、何かしらの方向性を示したかどうかについては一切触れていない。

さらに、この東スポ記事への反応をまとめた「あじあにゅーすちゃんねる」は、「廃止か」という東スポの見出しを「廃止決定」と断定調に変えている。

担当部署は「そのような事実も指示もない」

担当部署である環境省リサイクル推進室はBuzzFeed Newsの取材に対し、岸田内閣がレジ袋廃止に関する決定をしたという情報について、「そのような事実はありません」と明確に否定した。

山口壮環境相は就任会見で、「世の中が変わるときにはいろんな意味でひずみが出てくる」「続けていくということも含めて、いろんな議論をしなきゃいかんのかもしれません」と発言している。

ただ、リサイクル推進室の担当者によれば、今のところ大臣が事務方に廃止を指示するなどの動きはないという。

そもそも「レジ袋有料化」政策は、小泉環境相の前任である原田環境相時代から準備が進められてきたものだ。

政府が2018年6月に閣議決定した「循環型社会形成推基本計画」に基づき、同年8月から「中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会」でその方向性が決められた。

政府は2019年5月に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、ここで「有料化」に言及した。環境省は同年9月から4回にわたって「レジ袋有料化検討小委員会」を開催。同年末に関係省令を改正し、2020年7月から有料化をスタートした。

批判的な意見も多く、昨年10月には「日本学術会議がレジ袋有料化を提言した」などとする誤情報もネット上で拡散されていた。

BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

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  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。