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「多面的に忖度」と批判も。森会長めぐる組織委コメント、日本語版と英語版に違い?

組織委が「東京2020大会と男女共同参画(ジェンダーの平等)について」として発表したメッセージについて、日本語版と英語版で異なった内容となっていることがわかった。

「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などの発言が女性差別であると批判を集めた、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長で元首相の森喜朗氏(83)。

組織委の発表した「東京2020大会と男女共同参画(ジェンダーの平等)について」というメッセージが、日本語版と英語版で異なった内容になっていることがわかった。

日本語版には森会長のコメントがないうえ、大会実施の最優先事項を「すべてのステークホルダー(利害関係者)に安心を与えること」とした英語版の内容も掲載されていなかった。

コメントはいずれも2月7日に発表されたもの。まず、日本語版は以下の通りだ。

弊会の先週の森会長の発言はオリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切なものであり、会長自身も発言を撤回し、深くお詫びと反省の意を表明致しました。

「多様性と調和」は東京大会の核となるビジョンの一つです。ジェンダーの平等は東京大会の基本的原則の一つであり、東京大会は、オリンピック大会に48.8%、パラリンピック大会では40.5%の女性アスリートが参加する、最もジェンダーバランスの良い大会となります。

私どもは、改めてビジョンを再確認し、引続き(*ママ)、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを尊重し、讃え、受入れる大会を運営します。ビジョンを追求しながら、多様性の調和、持続可能性、復興に重きを置き、大会後の社会の在り方にもレガシーを残すように取り組んで参ります。

引き続き、コロナの感染状況にも注視しつつ、対策に万全を期し、安全安心第一の大会とするべく準備を進めて参ります。

一方、英語版(BuzzFeed Newsが日本語版のコメントや会見を参考に翻訳)のメッセージは以下のようなものになる。

森会長は自らの最近の発言について、木曜日に以下のようにコメントしました。

「私のJOC評議会における最近の発言は不適切であり、オリンピックとパラリンピックの精神に反しています。私自身の発言を深く後悔し、不愉快な思い(*offended)をされた皆さまには心からお詫び申し上げます」

東京2020大会では改めて私たちのビジョンを再確認し、社会をより良くし、多様な個人と多様性を尊重し、讃え、受け入れることを目指した大会運営を続けてまいります。多様性には、人種、民族、性別、性的指向、言語、宗教的または政治的信念または障がいの有無が含まれます。

私たちは、多様性の調和、持続可能性、そして復興に重きを置いたビジョンを追求し、社会にレガシーを残すため、継続的に取り組んでいくことを固く決意(*determined to)しています。

私たちの最優先事項は、安全を確保し、すべてのステークホルダー(*利害関係者、all the stakeholders)に安心感を与えることです。COVID-19を取り巻く状況の進展に留意し、可能な限りすべての対策を講じるための準備を進めて参ります。

ニュアンスに違いがある部分も多いが、それだけではなく、内容がまったく異なる点も散見される。

日本語版には(1)森会長のコメント(2)大会組織委の最優先事項「すべてのステークホルダーに安心感を与える」という英語版にある2点が掲載されていない。

一方で英語版は、(1)東京大会におけるジェンダー平等の基本原則(2)「オリンピックに48.8%、パラリンピックに40.5%の女性アスリートが参加する、最もジェンダーバランスの良い大会」という、日本語版にある2点が掲載されていない。

組織委の見解は?

また、英語版に記されている森会長のコメントは2月4日に会見で読み上げた内容の英訳とみられるが、「JOC評議会における」などと補足されている部分があったり、「発言を撤回」という言葉が削除されたりしていることもわかる。

2月4日の発言は以下の通りだ。

「ご心配いただいていることに恐縮をしております。昨日の発言につきましては、オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であったと認識いたしております。まず、深く反省をしております。そして、発言を撤回し、不愉快な思いをされた皆さまにはお詫びを申し上げたい」

一方で英訳は以下の通り。森氏は会見で組織委での発言ではないことを繰り返し強調していたが、そうした意向を反映しているようにも見える。

「私のJOC評議会における最近の発言は不適切であり、オリンピックとパラリンピックの精神に反しています。私自身の発言を深く後悔し、不愉快な思いをされた皆さまには心からお詫び申し上げます」

こうした違いについては、2月8日に公開された「日本語版と英語版とで看過できない差があります」とするブログ上で指摘されていた。

SNSでは「ここまで多面的に忖度して書き分けられるんだから、内部的には何がどう問題なのかほんとはパーフェクトに分かってる」「海外向けには慎重だけど、国内向けには強気」などの声もあがっている。

BuzzFeed Newsは2月9日、組織委に翻訳方法や経緯、双方に差がある理由など、6点を質問した。組織委からは10日午前、以下のように回答があっただけだった。

「英語版については、日本語版の翻訳ということではなく、メインメッセージを伝えるためにIOC、IPC等のアドバイスをもらいながら、適宜言葉を補足したり、判り易く整理したものとなります」

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