第46代アメリカ大統領に就任したバイデン氏に対し、前大統領となったトランプ氏が執務室に残した“手紙”とされる画像がネット上に拡散している。
「ジョー、俺が勝ったの知ってるだろ?」と書かれているが、これは根拠不明の情報だ。
バイデン氏は「プライベートなもの」として手紙の内容を公開していない。これまでトランプ氏が出した手紙と体裁も異なっている。
拡散しているのは、「Joe, you know I won.」とだけ記された1月20日付の手紙の画像だ。
アメリカでも広く拡散されたほか、日本のTwitterでも拡散。たとえば、「トランプがバイデンに残した手紙」と記載されたツイートは3000以上リツイートされ、9000以上のいいねが付いている。
このほか、複数のユーザーが「この人は本当にセンスが良い」「大統領交代時の伝統」などと拡散。そのほかのバージョンも存在する。
また、トランプ氏と親交のあるリン・ウッド弁護士の発信がソースだと主張する投稿も散見される。ウッド氏は、アメリカの極右勢力が支持する陰謀論「Qアノン」の支持者だ。
しかし、拡散している手紙が事実であると示す根拠はない。
前提として、トランプ氏がバイデン氏に対して手紙を残したのは事実だ。これは大統領が交代する際の伝統だという。
その内容についてバイデン氏は「非常に寛大な手紙」と説明しているが、詳細はプライベートなものであるとして明らかにしていない。
異なる紋章、形式も
手紙の紋章も、トランプ氏がこれまで送ってきたものとは異なる。
日付の書き方も、これまでのものが「月・日・年」である一方、拡散されているものは「日・月・年」で体裁が違っている。
バイデン、トランプ両氏や公的機関、ないしは現地の報道機関がその内容を伝えていない中、ネットで拡散されいるものが「本物」である可能性は低いと言えるだろう。
アメリカ大統領選を巡っては、11月の投票・開票時にもネット上に大量の陰謀論、誤情報や、根拠のない情報、さらにはミスリーディングな各種の情報が拡散された。
日本国内でもYouTubeやまとめサイト、インフルエンサーなどを通じて広がりを見せていた。中には広告収入目的のものもあるとみられ、注意が必要だ。
BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。
ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。
また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。
- 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
- ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
- ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
- 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
- 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
- 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
- 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
- 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
- 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。