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「両親のアルバムみたいでエモい」女子たちにフィルム風アプリが流行る理由

写ルンですには、もう飽きた?

「写ルンですブーム」など、若い世代のフィルム回帰が話題になるなか、また一つ新しい現象が生まれた。まるで「あの頃」の写真が撮れるようなアプリが流行り始めているという。

いったい、何がそんなに良いのだろう。愛用している女子大生に、話を聞いた。

「やっぱりフィルム風って、エモいんですよね」

フィルムカメラ風アプリ「HUJI Cam」を愛用している大学3年生のマキさん(22)はBuzzFeed Newsの取材にそう語る。

「なんだろう、日付が入るからかな。家の棚の中で見つけたお父さんとかお母さんの若い頃の写真みたいに見えるからかも」

iPhoneで撮影すると、こんな写真が撮れるという。右下に日付が入込むようになっているほか、光の線や「ほこり」がランダムに入るのが、このアプリの一番の特徴だ。

実際の画面は、このような感じになっている。目を左上のファインダーに近づけないと、撮影画面に切り替わらない仕組みだ。

撮影画面では、フラッシュやピントなどを調節できるが、ズームはできない。

また、シャッターを切ってもそのまま写真フォルダに保存されないのも特徴のひとつだ。わざわざ「ラボ」に入って、「現像」作業をしなければならない。

このアプリが、いま流行り始めている。

App storeでトレンド入りしたほか、Instagramのハッシュタグには国内外から5万枚以上の投稿が。愛用している人気読者モデルやアイドルたちもいる。

また、SNOWにも「HUJI Cam」と同じような写真が撮れるフィルターがあるほか、同様のアプリも出ているようだ。

たしかに、そうして撮影できた写真は「エモい」かもしれない。

しかし、なぜそこまでして「フィルムっぽさ」に憧れるのか。「写ルンです」には、もう飽きてしまったのだろうか。マキさんは言う。

「やっぱり、写ルンですも良いんですけど、現像すると高いじゃないですか。お金がない私たちにとっては、日常的に使えないですよね。かといって、フィルムっぽく加工するのにも手間がかかるし、限界がある」

「このアプリで撮った写真だと、少し加工するだけで十分じゃないですか。最初からおいしいラーメンつくるのは大変ですけど、豚骨ラーメンにお酢を加えただけで、自分好みの味になるような感覚です(笑)」

「それに、iPhoneだとみんなもう撮られ慣れてるから、ナチュラルな様子が撮れるんですよね。ちょっとキメキメから崩れた笑顔とか」

口コミで知った「HUJI Cam」を使うのは、多くが日常の場面だ。普段から「日記がわり」にしているインスタのフィードだけではなく、ストーリーにアップすることもあるという。

それっぽさが、大事

一方で、「写ルンです」もまだまだ現役だ。旅行や飲み会など、大切な場面では持ち運ぶようにしている。

「だってアプリは、やっぱりパチモンじゃないですか(笑)」

それにしても、フィルム風の良さってどこにあるのか。

「情報としての記憶というよりも、アナログ感があるだけで、気持ちの入った個人的な思い出になる気がするんです。のっぺりしてる。技術的に画素や彩度が上がっても、気持ちは入ってないですよね」

「それに、iPhoneとか良いデジカメとかだと、誰が撮っても同じ写真になっちゃう。誰もが発信者の時代だから、個人個人の『それっぽさ』が大事なんです。ダサくない、『ぽさ』がアプリで簡単に出せるのは大きいですね」

蜷川実花さんを発掘した写真評論家の飯沢耕太郎さんは以前、若い女性に広がる「写ルンです」ブームについて、BuzzFeed Newsの取材にこう指摘している。

「フィルムの写真に残るノイズは、体温や温もり、優しさという『感情』そのもの。『エモい』のエモの部分なんです。一方で、ツルツル、ピカピカの綺麗な画像はただの情報。そこへの欲求不満を持った彼女たちが、『写ルンです』や『チェキ』にある『感情』を嗅ぎつけたんでしょうね」

まさにマキさんが語っていること、そのものだ。

オシャレ感が増している

マキさんは、最近はフィルムの「オシャレ感」が増しているとも言う。

ハイブランドの広告や、ファッション誌でも「フィルム調」の写真が増えてきたこと、フィルムで作品をつくる奥村由之さんや嶌村吉祥丸さんなど、20代の写真家たちが活躍するようになったことが、そう感じる理由だそうだ。

値段面など、まだまだハードルは高いが、いつかは本格的なフィルムカメラにもチャレンジしてみたいという。

「撮ってみたいものが、たくさん出てきたんです。ちゃんと、やってみたい」


BuzzFeed Newsでは【なぜ「写ルンです」はエモいのか? 女子大生に広がるブーム、専門家が語る「魔法」とは】という記事も掲載しています。