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「アベノマスク」希望者へ配送「親切すぎる」“送料10億円”否定も野党が問題視、活用法めぐる議論も

布マスクをめぐっては、余った8000万枚の保管費用が高額であることに批判が相次ぎ、岸田文雄首相が希望者への配布など有効活用ののち、年度内に廃棄するよう指示をしていた。厚生労働省が呼びかけたところ、計37万件、推計2億8000万枚と応募が殺到したという。

コロナ禍で政府が全世帯や福祉施設などに配布し、「アベノマスク」とも呼ばれたた布マスク。

余った8000万枚に対し、破棄をする前に厚生労働省が呼びかけた無料配布には37万件と応募が殺到し、再び注目を集めている。

一方で「10億円」という試算が報じられたその送料や、使い道をめぐって国会で議論が繰り広げられている。

布マスクをめぐっては、余った8000万枚の保管に6億円(2020年8月〜21年3月)の費用がかかっていることに批判が殺到。会計検査院からも指摘を受け、岸田文雄首相は、希望者への配布など有効活用したうえで、年度内に廃棄するよう指示していた。

厚生労働省が呼びかけたところ、計37万件の応募があった。個人や団体のほか、自治体からの応募もあり、たとえば仙台市はコロナ収束後の給食用マスクなどとして、50万枚を申請しているという。

政府の現状の推計では、必要枚数は2億8000万枚。2億枚不足する計算になる。集計作業はすでに始まっているが、今後1ヶ月ほどかかるという。

また、この送料が10億円になる一方、焼却処分した場合は6千万円で済むという推計を伝えた報道もあるが、後藤茂之・厚生労働相は「配送費用については集計作業の結果が明らかになるまでお示しすることは困難」「10億円と今の段階で考えていない」と否定している。

一方、「布マスク」の活用法もあわせて取り沙汰されている。2月3日の衆議院予算委員会では、日本維新の会の市村浩一郎議員(写真上)が、「廃棄するのがもったいない」として複数の布マスクを縫い合わせてつくられた赤ちゃん向けの「産着」を紹介。

「使途についてはマスク以外にも使っていいのか」との質問に、後藤厚労相は「ご指摘いただいたようなことも含めて、ぜひ有効に使っていただきたいと思っています」と呼びかけていた。

なお、「税の使い方としていわゆるアベノマスクは適切だったのか」という市村議員の質問に対しては、鈴木俊一財務相がこう答弁している。

「ご指摘の政策につきましては様々なご意見が国民の皆様方からもあったということは承知をしておりますが、税金の使い方としては問題はなかったものと考えております」

不織布マスクの下につけると…

2月7日の衆議院予算委員会では、立憲民主党の小川淳也・政調会長が「感染症対策に使えない」と指摘。

「使い捨ての雑巾、野菜栽培の苗床・乾燥防止、赤ちゃんの暑さ防止の保冷剤入れ」などの活用法が巷で取り沙汰されているとして、こう問いかけた。

「知恵を働かせてこういう提案があることはいいことですが、これは有効な使い方ですか」

後藤厚労相は「不織布マスクの内側にガーゼを当てていただくことで、マスクの着用が心地良くなるとか、いろいろな工夫はある」としつつ、そのほかの対策についてはこう述べた。

「具体的な事例について、それぞれ申し上げるということではありませんが、少なくとも、使い捨て雑巾や栽培に使われるようなことが適切な用法であるかというと、有用とは少し違うように思います」

小川政調会長はさらに、厚労相の担当課の約30名の人員で37万件の配送を処理する必要があるとして、「どこまで親切なんですか」「愚策にもほどがある」と批判した。

マスクを処分をするか、自治体や国の出先機関に一定量を配送する方法を取るべきだと迫る小川政調会長に、岸田首相はこう答弁した。

「かつて日本においてマスクが不足、高騰し、大きな不安が社会の中で広がっていた事態に対して、少しでも国民の不安を和らげるために政策がないか、こういったことで打ち出された政策であったと認識をしています」

「多くの希望者が殺到している状況。希望するされる方にはぜひ有効利用していただきたいと思っています。また、配送の予算は想定していたわけですから、配送した上で有効利用していただく、こうしたことを考えていただくのは意味があるんではないか」

小川政調会長は「そもそも、どれほど国民の安心につながったのかという問題もある。今回の配送費用は安心のためではない。そこに何億もかけるんですか、という話なんですよ」と述べた。