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「トランプ氏が大統領令、バイデン逮捕も…」は誤り。ロシアが選挙に干渉? ウクライナ疑惑めぐり

大統領令は実際に出ており、ウクライナの議員の関係者や団体が制裁の対象となっている。ただし、制裁の対象は、トランプ氏にとってはむしろ「有利」となる偽情報の発信者だ。

アメリカ大統領選をめぐり、「大統領令」に基づいた制裁が出されたことから、「トランプが勝った」「バイデン逮捕もありうる」などとする情報が、日本のSNS上で拡散している。

しかし、これは誤りだ。米財務省が大統領令に基づいて制裁すると発表したのは、複数のウクライナ人。いずれも、バイデン親子にウクライナ関係の汚職などがあったという「ウクライナ疑惑」をロシア情報機関が捏造し、広めることに関与したとみられている。

つまり、米大統領選でバイデン氏を不利にするための偽情報発信に関わった関係者だ。その制裁でトランプ氏が選挙結果で有利になることも、バイデン氏が逮捕されることも、あり得ない。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

Twitterより

情報が広がったのは、日本時間の1月12日朝。米財務省が発表した「米選挙における外国の干渉」とする報道発表資料(現地時間11日付)が発端だ。

これは、選挙への外国の情報機関などによる影響を防ぐ狙いで2018年にトランプ政権が出した大統領令に基づき、複数のウクライナ人が資産凍結リストに入ったことを示す内容だった。

「トランプ氏が戒厳令を出し、バイデン氏の関係者が逮捕される」などという根拠不明の陰謀論はかねてネット上に広がっており、今回の大統領令をめぐる措置がその一端であると勘違いした人が続出。

この資料は「メディアが報道しないニュース」「選挙が無効になる可能性」などと拡散し、Twitterで一時、「大統領令」がトレンド入りした。

50万人近いフォロワーがいる小説家の百田尚樹氏も「大統領令が出された模様。もしかして、大変な事態になるかも…」「もしかしたら、一気にバイデンの逮捕もありうるかも。知らんけど」とツイート。前者のツイートは1万5000以上いいねされるなど、拡散した。

また、まとめサイト「もえるあじあ」も「【大統領選】「大統領令(EO)13848」キタ━━━d(゚∀゚)b━━━!」などという記事を配信。「トランプ閣下が伝家の宝刀の反乱法発動」「トランプ勝った」「マスゴミすべて解体」などとするコメントをまとめており、Twitterで1000以上リツイートされている。

ロシアの偽情報工作の一環?

しかし、前述の通り、これはトランプ氏の「勝利」に関係するものではない。また、大統領令が出たのは2018年のことで、今回はそれに基づいた措置だということにも留意が必要だ。

米財務省の発表によると、2021年1月11日付で制裁リストに挙げられたのは、ウクライナのアンドレイ・デルカッチ議員の関係者や関連団体。元政府高官、元検察官や国会議員、さらにメディア企業が含まれている。

ムニューシン財務長官は「アメリカ市民を対象としたロシアの偽情報キャンペーンは、私たちの民主主義にとって脅威」と強く非難した。

デルカッチ議員はロシア情報機関に協力し、バイデン氏やその息子に関する根拠のない「ウクライナ疑惑」の情報拡散に関与していたとされ、2020年9月に米財務省の制裁対象となった人物だ。

財務省はデルカッチ氏を「10年以上にわたりロシア情報機関のエージェントだった」と断定。そして、大統領選に影響を与えるため、「編集された音声テープやその他の根拠のない情報を出して米国の政治家に対して根拠のない主張をした」「大統領選に向けてウクライナでの汚職問題を調べさせようとした」などとしている。

一方、ワシントン・ポストによると、トランプ陣営のジュリアーニ弁護士が2019年12月、ウクライナを訪問してバイデン氏に関する情報提供を求めた相手が、このデルカッチ氏だった。トランプ氏自身も制裁発表後の2020年10月、バイデン氏とのテレビ討論で、この問題を持ち出してバイデン氏を攻撃した。

つまりトランプ氏とその陣営は、「大統領選に影響を与えるためのロシアによる情報工作」とトランプ政権自らが認定した「ウクライナ疑惑」を、選挙戦で利用したということになる。

そして、バイデン氏側に不利となる情報を広げていた人物に関連する追加の制裁措置が行われても、トランプ氏に有利な状況は起きない。

アメリカ大統領選を巡っては、11月の投票・開票時にもネット上に大量の誤情報や、根拠のない情報、さらにはミスリーディングな各種の情報が拡散した。

日本国内でもまとめサイトやインフルエンサーなどを通じて広がりを見せており、注意が必要だ。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。なお、今回の対象言説の一部は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知、参考にしました。

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