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「一般人のワクチン接種は年内に終わる?」菅首相が会見で“答えなかった”こと。緊急事態宣言の延長めぐり

東京五輪やワクチン接種、そして補償。菅首相が緊急事態宣言の延長を受けた会見で語ったこと、そして語らなかったこととは。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府は5月7日、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に出している緊急事態宣言を、31日まで延長することを決めた。また、新たに福岡、愛知の両県も対象地域となる。

まん延防止等重点措置の対象地域も北海道、岐阜、三重が追加。宮城が外れるが、埼玉、千葉、神奈川、愛媛、沖縄には継続する。期間も同様に延長する。

菅義偉首相は同日夜に会見を開き、期間を延長することにお詫びし、「失望される方も多いと思いますが、私たちは必ず、近い将来この局面を乗り越える」と改めて協力を呼びかけた。

宣言を延長する地域では、連休が終わることに伴い、「平常の時期に合わせた高い効果の見込まれる対策」を徹底するという。

菅首相が会見で触れたのは、以下のような内容だ。大型商業施設の休業やイベントの無観客を呼びかけてきたこれまでよりも、緩和されることとなる。

  • 飲食店における酒、カラオケの提供の停止
  • 飲食店における酒の持ち込み制限
  • 大規模商業施設は20時まで
  • スポーツや音楽のイベントは21時まで
  • これまで以上にテレワークを徹底し、出勤者7割減をめざす


また、重点措置地域では、1)飲食店の時短、2)見回り、3)高齢者施設への対策ーーなどを集中的に講じる、とした。

ワクチンはいつ終わる?

ワクチンについては、諸外国で接種の効果が現れており、「かつての日常を再開する国も出ている」と述べた。

そのうえで、「安心した日常を取り戻すことができるかどうかは、いかに多くの方にワクチン接種ができるかにかかっていると言っても過言ではない。私が先頭に立って加速化を実行にうつします」と述べた。

1日100万回の接種を目指すことで、7月末を「念頭」に、希望するすべての高齢者に対して2回の接種が終わるよう自治体をサポートするという。

また、医療従事者への支援や歯科医師の協力を仰ぐことで、「来月中をめどに基礎疾患がある方々を含め、一般の方々にも広く接種を開始したい」とも述べた。

一方、一般人のワクチン接種終了の目処について、「年内に終わるのか」との質問もあがったが、菅首相は「まずは高齢者接種を最優先」としながら、「速やかに終わるように全力を尽くして参りたい」と述べるのみ。

ファイザー社だけでも約2億回分のワクチンを確保をしていることは強調したが、「16歳以上がうてる体制は整えているが、速やかに高齢者を終えて、国民に広く接種をしていきたい。現時点においては、そこまでにさせていただきたい」と、一般人の終了時期を明言することはなかった。

追加の補償は?

すが首相は供給についても来月初めまでに「4000万回分をお届けする」と強調。

ファイザー社との協議により、9月末までに5000万回分のワクチンが追加されるとし、さらに来年分としてモデルナ社やノババックス社から合計2億回分の協議を進めているとした。また、変異株の監視や水際対策の強化にも言及した。

宣言の延長に伴う補償については、「深刻な影響を受けている事業者、個人への支援は引き続きしっかり行って参ります」と述べたが、新たな施策を示すことはなかった。

資金繰りの支援、雇用調整助成金による人件費支援、飲食店への協力金、緊急小口資金などによる暮らしの支援、大規模商業施設の事業規模に応じた支援などについて語ったが、いずれも、これまで通りの対策への言及だった。

一方、昨年の緊急事態宣言時にあった一律10万円(特別定額給付金)の再給付については、会見での言及はなかった。

東京五輪は?

東京五輪についての質問に対しては、「国民の皆さんから心配の声があがっていることは承知している。まずは感染拡大の状況に全力を投じる」と語った。

ファイザー社から日本を含む各国の選手に対して、ワクチンが無償で供与されることになったことで、「安心安全の大会に大きく貢献することになる」と強調した。

さらに開催期間中については、「選手や関係者と一般の国民が交わらないように滞在先や移動手段を設け、検査なども徹底するとも述べ、「安心安全の大会を実現することは可能と考えており、しっかり準備して参りたい」と述べた。

また、選手以外の数万人の関係者が入国することについて、記者から「数万人の行動を監視することは可能なのか」との質問もあがったが、「水際対策を含んだ様々な制約がある。安全対策を徹底していきたい」と語るのみだった。