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「俺らは政治家にナメられている」19歳、初めての選挙にぶつける静かな怒り

神奈川県内の大学1年生、吉岡さん(仮名)は2002年生まれ。今回の投票だけで、何かが劇的に変わるとは思っていない。でも、「変化のきっかけはつくれるかもしれない」という。

10月31日に投開票される衆議院議員選挙。今回が「生まれて初めて」の投票となる若者たちも、少なくない。

「投票できるって、社会に参加していくひとつの入り口のようなものだと思っているんです」

ある19歳の男性は、そう語る。彼が一票にかける思いを聞いた。

Kota Hatachi / BuzzFeed

神奈川県内の大学1年生、吉岡さん(仮名)は2002年生まれ。中学時代までは、政治にほとんど興味はなかった。

民主党(当時)による09年の政権交代時は7歳。記憶にはなく、「自民党がずっと与党だと思ってた」と語る。

選挙に「投票してみたい」と思うようになったのは、高校生のころ。授業で、とある国会議員へのインタビューを経験したことがきっかけだ。

「政治っていうのは理想は語っちゃいけないんだよ。現実だから」

議員は、米軍基地問題について聞いた吉岡さんに、そんな言葉を投げかけたという。あしらわれたような、馬鹿にされたような、怒りを感じた。

「政治って、大人たちがそうやって勝手に動かしているような世界で、若者は投票率が低いから、ナメられている、無視されているのかなって感じたんです。そういうものに潰されないために、若い俺らが投票をして、変えていかないといけないんじゃないかなって思うようになりました」

政治を知るにつれ、「大人がやっている得体の知れないもの」への気持ち悪さは募った。

与党も野党も関係なく、自分たちの知らないところ、見えないところで、物事が決まっていく。言うことも、公約の中身も、文書に書かれたことすらも、コロコロと変わっていく。

「政治家の言葉の何を信用していいのか、わからない」という不信感も覚えた。ただ、それ以上に、自分たちが投票をしなければ、という気持ちも強まっていった。

「無視」されたくないから

AFP=時事

吉岡さんのように思っている若者はどれほどいるのだろうか。前回衆院選(2017年)では、18、19歳の投票率が40.49%。全体の平均(53.68%)よりも低い。

今回の衆院選ではどうか。日本財団が2021年10月末に18歳を迎える全国の17歳~19歳男女916名にとった調査によると、「投票する」と答えた人は28.8%で、「たぶん投票する」とあわせると55.2%になる。

一方で、「投票しない」「たぶん投票しない」という人も22.3%いた。「面倒だから」「忙しい、時間がないから」。そうした回答が多かった。

若者の投票率に関する意見では、「次代を担う若者の意見を政治に反映させるためにも高い投票率が望まれる」と答えた人が48.1%だった。吉岡さんも、同じだ。

「若者がたくさん投票することで、俺らの意見が無視できないぐらいにならなきゃいけない」

そんな気持ちで、レジ打ちのバイト先の同僚にも、大学の友達にも、選挙の話を積極的にするようにしている。

「投票するって、国民の権利なわけじゃないですか。権利って行使しないと、いつかなくなっちゃうかもしれないですよね。だから、わからないなりにも、とりあえず自分に与えられた権利っていうのを行使しないと」

今回の投票だけで、何かが劇的に変わるとは思っていない。でも、「変化のきっかけはつくれるかもしれない」という。そして何より、今後も関わり続けることが大事である、とも。

「後戻りできなくなったときに」

Mondadori Portfolio / Mondadori Portfolio via Getty Images

いま、一番関心を持っているテーマは、環境問題だ。

「特に不安に思っているのは、食べ物のこと。食糧自給率がただでさえ低いのに、温暖化が進んだらどうなってしまうのかって。俺たちの世代の命に直結してるって感じています」

温暖化対策を訴えるストライキを始め、世界中にその輪を広げたグレタ・トゥーンベリさんは同い年。強い刺激を受けた。

一方で、彼女を揶揄したり、小馬鹿にしたりするさまざまな声を見るたび、「自分が馬鹿にされるような気持ちになった」ともいう。

「いまの大人にとって知ってみればそこまで重要じゃないのかもしれないんですよ。そりゃ、その頃になったらもう死んじゃうし。でもだからって他人事のようにしないでほしい。馬鹿にしてもほしくない。気候変動がこのままどんどん進んで、後戻りできなくなったときに、社会を担っていかないといけないのは俺たち若者ですよ」

コロナ禍で、「いつ自分が死ぬかわからない」という恐怖を感じ、社会保障の充実にも関心が向くようになった。

超少子高齢化の時代への不安は尽きない。賃金が増えるのか、経済は成長はするのか。どれも、環境問題と同じぐらい重要視しているテーマだという。

「早急に対処しないと手遅れになってしまうことばかりなのに、目先の小さな話とか、小さな利益とか、自分たちのことばかりの古い政治が今も続いているように見えるんです。もっと、未来のことを考えてほしい」

これからを生きる、世代だからこそ。若者の声を無視せず、「未来の理想」をしっかり示してくれている政治家に、大切な一票を投じるつもりだ。

10月31日に投開票される衆院選。「経済的に苦しい」「政治に不満がある」。

様々な思いを抱え、この選挙で初めて投票する人たちがいます。BuzzFeed NewsはWebアンケートと取材を通じ、「私が初めて選挙に行く理由」を聞きました。