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「日本で絶対に報道されないトランプ支持者の集会」自民市議らが拡散の動画などは誤り、お詫びも

いずれも画像や動画は大統領選とは無関係の集会を撮影したものであり、拡散には注意が必要だ。また、集会をめぐっては「何百万人」「100万人」が参加したという情報も広がっているが、これについても「根拠不明」であると言える。

大統領選をめぐりトランプ氏の支持者が11月14日に首都ワシントンで開いた集会をめぐり、「日本で絶対に報道されない」などとして、集会のものとする画像や動画が拡散している。

しかし、大統領選とは無関係の集会を撮影した画像や動画も広がっているため、拡散には注意が必要だ。

また、集会をめぐっては「何百万人」「100万人」が参加したという情報も広がっているが、これについても「根拠不明」であると言える。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

トランプ氏の支持者は11月14日、ワシントンで「Million MAGA March」(100万人のMAGA=Make America Great Againマーチ)を開催した。

この集会に関連し、日本の報道機関(朝日新聞やNHKなど)が1万人以上と報じていることから、それを批判する言説がネット上で拡散している。

12万人以上のフォロワーがいるインフルエンサーは11月16日、「日本のマスコミが『1万人』と報じたトランプ派のデモ」とする画像を紹介している。

ツイートは8000以上「いいね」されているが、これもやはり11月14日の集会とは無関係のもの。

この画像は2019年にカナダ・トロントのバスケットボールチーム「トロント・ラプターズ」がNBAで初めて優勝した際にトロントで撮影されたパレードの様子だ。

確かにこの際には100万人以上の市民が集まったと報じられているが、トランプ氏は一切関係がない。

また神戸市議会の岡田祐二議員(自民)は11月15日に以下のようにツイートし、動画を紹介。1100以上「いいね」されていた。

日本では絶対に報道されない、トランプ支持集会の凄まじい規模・熱気


100万人近い参加者数だったと推測されていますが、朝日新聞は「1万人」と報道し、「ほとんどの人がマスクを着けていなかった」などとどうでもいいことを、記事見出しに掲げています

岡田市議は動画を添付しており、8万回以上再生された。ツイートは17日午前10時20分以降に削除されたが、これはそもそも11月14日に開かれた集会ではない。

これは、2017年1月にワシントンで開かれた「ウィメンズマーチ」の様子を撮影した動画だ。

前日に就任したトランプ氏に抗議する女性たちによる集会で、この日は約50万人が集まったとされている。

UPDATE

岡田市議は11月17日午前11時すぎ、「誤った情報伝達をし、大変申し訳ありません。当該ツイートを削除し、お詫び申し上げます」とツイートした。

参加者は「100万人」と拡散したが…

この集会をめぐっては、岡田氏もツイートしている通り、参加者数が「100万人以上」などとする情報も日本で広がっている。

別の人物による「これが昨日の最高裁前の様子です全米から何百万人も来ていました」というツイートも6700近く「いいね」されるなど拡散している。

しかし、これはいずれも根拠がはっきりしない数字だ。複数の現地報道によると、参加者数について、地元警察は見積もりを公表していない。

保守系のFOXニュースは「数万人」と報じているほか、地元ワシントンポストは「数千人」としており、100万という数字は「大幅に誇張したもの」と指摘している。そのほかの報道機関では、USAトゥデイは「数万人」、ワシントンタイムズCNNは「数千人」としている。

米ファクトチェックサイト「Politi Fact」が、特定の場所に集まることのできる人数を推測するツール「MapChecking」を用いて1平方メートルあたり4人がいる前提で試算したところ、広場とその周辺道路には、13万5000人以上が入ることは不可能だという。

参加者についてはトランプ氏自身も「数十万人」と、ホワイトハウスのケイリー・マケナニー報道官も「100万人」とツイートしているが、こうした情報からも、参加者数を「数百万人」「100万人以上」とする数字は根拠不明であると言える。

アメリカ大統領選をめぐって、ネット上に大量の誤情報や、根拠のない情報、さらにはミスリードな情報が拡散している。日本国内でも「まとめサイト」やインフルエンサー、一部の政治家らを通じて広がりを見せており、注意が必要だ。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。なお、今回の対象言説の一部は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知、参考にしました。

また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。