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【謝罪全文】「内輪のやり取りのつもりでしたが…」“オリンピッグ”と渡辺直美さんを侮辱、式典責任者が辞意

佐々木氏は「ご不快な思いをさせてしまった」「自分の意識の低さ、無神経さにあらためて、気づいた」などとする謝罪コメントを組織委員会を通じて発表した。

東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式の演出を統括するクリエイティブ・ディレクター佐々木宏氏(66)が、タレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱する不適切な演出案を発案していたと週刊文春が報じたことを受け、辞意を表明した。

演出案は、豚の格好をした渡辺さんを「オリンピッグ」として登場させるというもので、演出チームのメンバーの反対で取り下げられた。文春オンラインは、その際のLINE上のやりとりを公開していた。

佐々木氏は「ご不快な思いをさせてしまった」「自分の意識の低さ、無神経さにあらためて、気づいた」などとする謝罪コメントを組織委員会を通じて発表した。

開閉会式については、昨年末に狂言師の野村萬斎氏が総合統括を務める演出企画チームが退任し、佐々木氏が統括する新体制となっていた。

謝罪文では週刊文春に「前任の女性責任者を“排除”し責任者となった」と報じられたことについても触れている。全文は以下の通り。

昨年3月の私のLINEのグループラインの中において、オリンピック開会式のアイデアフラッシュを仲間うちでやり取りする中で、私のアイデア及び、発言内容に、非常に不適切な表現がありました。

出演者の候補として名前が上がっていた渡辺直美さんに対する演出アイデアの中で、宇宙人と地球人の接点的な役柄で、オリンピックの使者的キャラということで、オリンピックの語尾をピッグという駄洒落にして、オリンピッグという名前のピンク色の衣装で、耳がぶたのはどうだろう、というような発案をしました。

アイデアを LINE 上で書き、みんなの意見を聞きましたが、すぐに、MIKIKOさん(*注 振付師で演出チームのメンバー、のちに退任)から「ピンとこない、」他のメンバーからは手厳しく「面白くない」「女性を豚に例えるなんてありえない」「一時的なアイデアだとしても、言うべきじゃない」などと、LINE上で、スタッフから非常に怒られ、私も、その場で、大変恥ずかしながら、スタッフからの率直な直言で目が覚めました。

メンバー全員にLINE上で謝り、撤回しました。気づかせてくれたことに礼も言ったつもりです。

MIKIKOさんから、オリンピック開会式のストーリー強化を手伝って欲しいというご依頼受けて、パラリンピック担当だった私はパラリンピックの企画チームを呼んで、MIKIKOさんを入れた 10 名以上のグループで、ざっくばらんにやりとりした中で、私が調子に乗って出したアイデアです。

渡辺直美さんに対しては、大変な侮辱となる私の発案、発言となること。これは取り返しのつかないことです。心から反省して、ご本人、そして、このような内容でご不快になられた方々に、心からお詫び申し上げます。

文春さんから電話取材を受けた段階で、この私の LINE 上での、大失言が表に出て、渡辺直美さんにも伝わるときが来たら、責任をとって辞表を出すべきと考えて来ました。

あと数ヶ月に近づいたオリンピック・パラリンピック開閉会式を日々死にものぐるいで準備するメンバーにも、本当に申し訳ない気持ちです。

先程、橋本会⻑には、夜分ではありますが、お電話で、私の辞意をお伝えしました。あらためて、辞表を書かせて頂き、お届けするつもりです。

LINE が好きで、内輪でのやり取りのつもりでしたが、今回多くの方に伝わることになり、渡辺さんにはどのようにお詫びをしてもしきれないと思っています。世界的な活躍をされ、個人的にも大変ファンでした渡辺直美さんに、この度のことで、ご不快な思いをさせてしまったことが、本当に悔やまれてなりません。

心からお詫び申し上げます。

ふだんは、自分では、多様性、ジェンダー問題、そして、容姿などを揶揄して人を傷つけてはいけないと言うことには、気をつけているつもりでしたが、このようなことで、それがとんでもない勘違いで、自分の意識の低さ、無神経さにあらためて、気づいた次第です。今後は、自分の生活全般、仕事に対する姿勢、日常の言動などについて、猛反省し、意識改革をし、自らの思い込み、偏見、鈍感さ、などを見直し、あらためて、生まれ変わりたいと思います。

この度は、大変申し訳ありませんでした。

佐々木 宏

○追記をお許しください。

文春オンラインを拝読しましたが、オリンピック、パラリンピック、の開閉会式の内容についても、いくつかご指摘があるようですが、昨年春以降のコロナ禍のもと、開催自体が危ぶまれる空気の中で私はパラリンピック開閉会式担当として、かなり準備していたものを、どのようにすべきか、オリンピック・パラリンピック合同の 4 式典を 2 式典にするという簡素化プランも考えましたが、叶わず。

そんな中、一年前イベントを池江璃花子さんにお願いし執り行いました。オリンピック・パラリンピックは、もともと 8 人の企画メンバーで進めて来ましたが、途中から、私はパラリンピック開閉会式の責任者として、去年初夏まで、企画立案制作に関わりました。

今回の、私の LINE 上の発言は、オリンピックの開閉会式の実質責任者 MIKIKO さんが、ストーリー強化のために、私に手伝って欲しいという申し出があり、パラリンピック準備の傍らではありますが、パラリンピックのスタッフ数名に呼びかけ、もともとあったオリンピック開会式アイデアをより面白くするための、アイデアフラッシュ会議を進めるという趣旨で、スタッフ限定で、オリンピック演出責任者の方も含めてのやりとりです。

報道に関しては、全て拝読しましたが、私の認識としては、前任者の企画を乗っ取ったかのような内容は、事実ではないと思います。3 月までは、開会式演出実質責任者の方に、頼まれ、パラリンピック開閉会式をやっていたメンバーを呼び、MIKIKO さんを前に、アイデアを出し合い、を、何度かやりました。その中の、私の失言は、その場でダメ出しされて引っ込めたわけです。

その後はコロナ禍で、全てはフリーズ。また、MIKIKO さんを中心に考えられていた開会式プランは、私が白紙化した事実はなく、演出予算が 10 億で 4 式典をやると言われ、私はむしろ、簡素化、安心安全へのコロナ後の、また大幅に予算削減の中で、それまでの企画演出を、LIVE ではなく、remote でできないか、という視点から、MIKIKO さんのプレゼンされた企画書の絵を使い、縮小したりしながら IOC に提案しました。

私のプレゼンが受け入れられなかったのは、感染拡大を防ぐために、入場行進を人数大幅に制限して、とか、それまでの作り始めていた設備を、完成させる、一年後まで保存させる、

共に予算オーバーで、無理なので、木を一本立てるだけとか、リモートや、少人数での、簡素化で、I あまりに簡素過ぎて、ダメだったのかと、認識しています、、それもあり、4 式典をやめて、オリンピック・パラリンピック合同の 2 式典も提案しました。が受け入れられませんでした。

7 月には、池江璃花子さんにメッセージを頂き、新聞広告と、国立競技場での、15 分間イベントをやりました。

MIKIKO さんは、私にとっては、本当に開会式にはなくてはならない方という認識でしたし、自分は低予算ながら、4 式典をまとめて実現する役割、それをパラリンピック開閉会式を元々作り上げたメンバー中心にオリンピック・パラリンピック開閉会式の、ストーリー、流れを作って頂き、オリンピック開会式の、LIVE 的なパフォーマンスや、プロジェクションマッピングなどは、MIKIKO さんに、お願いするつもりでしたが、私が、その辺の仕切りをきちんと逐一お話しできていなかったりして、スタッフ、キャストの皆さんに、大変なご迷惑をおかけしたことも、申し訳なく思っています。

この場をお借りしてお詫び申し上げます。昨年 4 月以降、コロナ禍で、開催の有無もわからない中、開催を信じて、4 式典の元々の予算の5分の一というキツい条件の中で、企画を練り直し、コロナですっかり変わってしまった世の中で開催されるオリンピック、パラリンピックは、どんな式典になるべきかを、寸暇も惜しんで考え、作り続けてくれているメンバーのことを考えると、やはり、ツラいです。

本来、当日まで秘密裏に企画されるべき演出アイデアが、まだアイデアだしのやりとりのLINE 上のものがオープンになり、また、どの段階のものを仰っているかはわかりませんが、若い才能豊かなクリエイターが頑張っていますし、決して見劣りしない良い式典を作ってくれると思います。

記事にもありましたが、スタッフに男性が多いというご指摘はその通りです。私に責任があります。

最後のブラッシュアップ段階ですが、橋本新会⻑のご意志も伺い、女性のクリエーティブディレクター、アートディレクター、映像監督、などを重要な場面に起用させて頂くつもりでした。

あらためて、渡辺直美さん、今回は大変申し訳ありませんでした。

佐々木 宏