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119に繋がらない異例の事態…「命を守るため、本当に必要な人に救急車を」東京消防庁が訴え。いま、現場で起きていること

SNS上では「119番につながらない」といった声も。なぜ、救急車の出動件数が増加しているのか。その背景には、「夏」と「コロナの第7波」が重なった点があるといいます。

感染拡大が止まらない、新型コロナウイルスの第7波。東京都内だけでも毎日数万人以上が陽性となるなか、救急医療の逼迫も続いている。

救急車の出動率は連日9割を超え、到着時間は倍近くに。「119番につながりにくい」という異例の事態も起きている。

東京消防庁も「命を守るため、救急車の適正利用を」と呼びかけている。いったい、現場では何が起きているのか。

【救急出動増加中!】
救急車の出動率が95%を超えているため、現在非常編成した救急車26台を含む301台で運用していますが、通報を受けてから救急車の到着までに時間を要する場合があります。

東京消防庁のTwitterでは第7波において、頻繁にこうしたツイートで注意喚起を呼びかけている。出動率「9割越え」に関する訴えは7月17日以降からほぼ毎日、投稿は計16回にのぼった。

SNS上では「119番につながらない」といった声も散見され、同庁も「119番通報が多数入電しているため、繋がりにくい状況です」とたびたびツイートしている。

いったい、現場では何が起きているのか。

BuzzFeed Newsの取材に書面で回答した同庁広報課によると、救急車の出動件数が増加している背景には、「夏」と「第7波」が重なった点があるという。

「もともと夏は、気温の上昇もあり、持病をお持ちの方が体調を悪化させるなど救急需要が高い時期です。今年は暑さに加え、コロナ陽性患者の急拡大の影響もあり、出動件数が急増していると考えられます」

「搬送先の医療機関がなかなか決定できずに救急車が現場に滞在する時間が延伸する傾向が顕著になっていることから、新たな119番救急要請に対して出場可能な救急車の数が少なくなる状況が続いています」

「命を救うために…」

今年7月(速報値)の救急車の到着までの平均時間は12分6秒となっており、2019年や20年の倍近い。

出発してから戻るまでの平均時間も117分15秒と、コロナ禍以前の2019年(85分39秒)より30分以上長く、ここ数年で最長だ。

同庁はこうした逼迫した状況について、「命を救うために、本当に救急車が必要な人が救急車を利用できるよう、救急車の適正利用にご協力をお願いします」と呼びかけた。

「救急相談センターや東京版救急受診ガイド、発熱症状がある方は東京都発熱相談センターを活用するなどしていただければと思います。現在コロナに罹ってしまい自宅療養中の方も、東京都のHPに救急車の要請が必要な症状やかかりつけ医等に連絡する目安について、お知らせがございますので是非ご活用をお願いいたします」

また、あわせて「#7119」の利用も呼びかけた。救急車を呼ぶべきかどうか、医師や看護師ら専門家に聞くことができる制度だ。

全国各地で整備が進められている制度で使用できる自治体は限られているが、東京都内では利用することができる。

「急な病気やけがをした場合に、病院に行った方がいいのか、何科を受診したらいいのか、様子をみても大丈夫なのか、それとも急いで救急車を呼んだ方がいいのか迷った際にご利用ください」

「ためらわずに119番」のケースは?

ただし、その「#7119」もつながりにくい状況が続いている。

同庁によると、「6月下旬から続いた記録的な暑さとともに入電が急増し、1日の救急相談が過去最多に迫る件数で推移」しているという。

そのため、スマートフォンからパソコンから自らが緊急度や受診の必要性が判断できる「東京版救急受診ガイド」の利用もあわせて呼びかけた。

そのうえで、以下のような症状の場合は「119番通報」をためらわず利用するよう、こうコメントした。

「突然の激しい頭痛や、急な息切れ、呼吸困難などの症状が見られた場合は、ためらわず119番通報をしてください

救急車の適正利用については、同庁のサイトにも情報がまとめられている。