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「ブーメラン」との指摘も。立憲・泉代表「知らなかった」ネットメディアCLPへの資金提供、調査結果は早期に説明

この問題をめぐっては、立憲民主党の福山哲郎・前幹事長が報道各社にコメントを発表。「フェイクニュースに対抗するメディアの理念に共感したため、広告代理店と制作会社を通じて番組制作を支援した」などと説明していた。

SNSやYoutubeなどインターネット上で動画配信などの活動を続けている「Choose Life Project」(CLP。佐治洋、工藤剛史・共同代表)が一時、立憲民主党から「支援」として資金提供を受けていた問題。

立憲民主党の泉健太代表は1月7日の定例記者会見で、この問題について発覚まで「知らなかった」などと言及。調査を指示しており、西村智奈美幹事長からできる限り早期に説明する方針を示した。

調査中であることを理由にコメントを控える場面も多かったが、同様にメディアや団体、個人に対する「類似の支出」があるかどうかについては、「現執行体制において、そういったことが行われていることはございません」と語った。

ホームページなどによると、Choose Life Projectは2016年から「テレビの報道番組や映画、ドキュメンタリーを制作している有志で始めたプロジェクト」。Twitterのフォロワー、Youtubeチャンネルの登録者数ともに、6万を超えている。

時の政権への批判や、貧困と社会保障の問題、外国人の人権問題などを重点的に扱う、いわゆるリベラルな内容が中心のメディアだ。理念として重視するのは「公共性」で、自らを「公共のメディア」と位置づけていた。

津田大介さんや小島慶子さんら出演者が連名で1月5日に発表した抗議文では、CLPは2020年春から約半年間、広告会社や制作会社を経由するかたちで立憲民主党から「番組制作費」として1000万円以上の資金提供を受けていたことが「私たちの調査で確認された」としている。

これを受け、CLPの佐治洋・共同代表が1月6日、声明を出して経緯を説明。クラウドファンディングで自分たちのファンドを運用できるまでの間、立憲民主党から「番組制作費」の名目で広告代理店や制作会社を通じてCLPが約1500万円の資金提供を受けていたことを認め、佐治氏は共同代表からの辞意を表明した。

また、同日、立憲民主党の福山哲郎・前幹事長が報道各社にコメントを発表。「フェイクニュースに対抗するメディアの理念に共感したため、広告代理店と制作会社を通じて番組制作を支援した」などと説明。番組内容への関与は双方ともに否定している。

「隠していた意図はなかったのでは」

泉代表は1月7日の定例会見の冒頭、「Choose Life Project」について以下のように語った。

「幹事長を中心に調査をするように指示をしております。現時点で調査中のためコメントさせていただくことはないが、事実関係の確認が終わり次第、幹事長から説明させていただきたい」

BuzzFeed Newsは会見で▽問題発覚前から把握をしていたのか▽政治とネットの関係が問題視されるなか、代表として何が問題だと思っているのか▽同様に個人やメディア、団体への支援としての支出を把握しているかーーを質問した。

泉代表は以下のように答えた。

「発覚前に知っていたかどうかというと、知らなかった。少なくとも現執行部において、そういったことが行われていることはございません。現時点で把握できる範囲では、CLPへの支出のような類似の支出は行っていない」

また、問題点については「当事者でなければ物は言えるかもしれないが、私がやっていないにせよ、組織の長としてお話しする立場。どういった点が問題なのかは調査をしなければわからない」とも語った。

双方が支援の事実を公表していなかったという点については、「調査を待たなければいけない」と前置きをしつつ、「党のほうは資金の支出としていずれ会計資料として出てくるもの。黙っていた、隠していたとう認識があったのかというと、隠していた意図はなかったのではないかと推察される」と述べた。

政治資金に関する指摘も

一方、「公党として特定のメディアを支援することへの認識」に関する質問もあったが、これについてはコメントをしなかった。

「これまで耳にしたことがないという感想は持っているが、経過経緯は幹事長に調べてもらっているため、わからないので、なんともコメントできない」

一般論として、メディアに政党がお金を出すということについては、「今まではなかったのではないかなと思います」とだけ述べ、資金提供当初のCLPの形態や位置付け、やりとりの経緯の調査が必要との見解を示した。

現時点では、CLPへの支援のため立憲民主党が資金を経由させた広告代理店と制作会社は明らかになっていないが、政治資金収支報告書の記載内容についての質問も出た。

類似する団体の献金は確認されていないというが、2020年度の同党の報告書に、特定の会社への3億円を超える支払いなどがあり、調査が必要ではないかーーという指摘だ。

泉代表はこの質問について、「幹事長からそういったことについての調査の報告はまだ上がってきていない」としながら、以下のように回答した。

「あまり推測で物を言うべきではないが、一般論として、制作会社や業者に党として番組やコンテンツを作ってほしいこういうことは当然ありうる話。コンテンツ制作にお金が支払われるのは当然だと思います」

「CLPのことに関しては、たぶん、何かしらの番組の制作を依頼をしたということではないが、いまお話のあった2つの会社(*会見では実名)に発注したものは、おそらく何かしらのコンテンツを作るためのものだったのではないかと考えております」

「ブーメラン」「国民の理解は得られるのか」

ネットと政治を巡っては、不正確な情報発信や誹謗中傷などが批判されていたTwitterアカウント「Dappi」が問題となっている。

立憲民主党の参院議員2人は、「Dappi」の発信元回線を契約していたネット企業を提訴。また、2021年秋の参院本会議の代表質問では、立憲の森ゆうこ副代表が岸田文雄首相に直接、見解を問いただしていた。

また、同党は自民党など与党に対し、政治と金の関係も追及している。

こうした背景から、CLPの問題について「ブーメラン」「国民の理解は得られるのか」との指摘も記者からあがり、第三者委の設置の必要性が投げかけられた。泉代表は「必要があれば考えたい」とコメントした。

BuzzFeed Newsは福山前幹事長の事務所にも、▽なぜ支援を公表していなかったのか▽なぜ広告代理店と制作会社を経由したのか▽出演時に謝礼はあったのか▽両社との関係性やほかにも同様の事案がないのかーーなどについて問い合わせをしている。回答があり次第、記事化する。