「Dappi」運営法人?自民党との関わり、国会で問われた岸田首相は…

    この法人は東京都内に本社を置くWEB制作会社。法人登記によると、同社はサイトの制作やコンサルティング業務、インターネット広告の運営管理業務などを担っている。得意先は「自民党」とされていた。

    Twitter上で野党批判を繰り返し、不正確な情報や誹謗中傷などが発信されていたアカウント「Dappi」の運営に法人が関与しているとみられる問題。

    この問題が10月13日の参議院本会議での代表質問で取り上げられ、岸田文雄首相が直接、答弁した。また、自民党議員らの団体などのほか、党東京都連もこの法人と取引があったことが分かった。

    「Dappi」は、フォロワーは16万人以上と、拡散力の大きいアカウントだ。プロフィールには「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです。国会中継を見てます」とある。2015年からツイートを始め、一度の凍結を経ている。

    主に野党やマスコミ批判の文脈から、国会答弁の動画や、DHCテレビ「虎ノ門ニュース」の動画、インフォグラフなどを公開。その発信内容には不正確な点もあり、問題視されていた。

    このアカウントに関わっている可能性があるのは、東京都内に本社を置くWEB制作会社。法人登記によると、同社はサイトの制作やコンサルティング業務、インターネット広告の運営管理業務などを担っている。

    民間の信用調査機関によると社員は15名。得意先には「自由民主党」の名があがっており、取引先銀行には大手銀行の衆議院支店の名前もあった。

    実際、同社は小渕優子・元経産相(衆院群馬5区、党組織運動本部長)の資金管理団体や、同党東京都参議院比例区第18支部(すでに解散)とホームページ制作などの取引をしていたことも、BuzzFeed Newsの取材に明らかになっている。

    さらに、自民党東京都支部連合会との関わりも判明。同社の過去の実績(2007年〜)には小渕議員らのサイトのほか、「TOKYO自民党」のサイトが掲げられていた。ただし、これらの実績は2010年までに削除されている。

    また、東京都連の政治資金収支報告書の少なくとも直近3年分(平成29年〜令和元年分)にも、サーバー代や資料作成費として計146万7752円の支払いが記載されていた。


    • 2019年:サーバー代 10万8864円
    • 2018年:サーバー代10万8864円、テープおこし代 41万5692円
    • 2017年:サーバー代11万5344円、資料作成83万8536円、塾生証制作16万6795円

    BuzzFeed Newsは同社のほか、自民党都連、自民党本部、小渕議員の事務所に取材を申し込んでいる。

    岸田首相の答弁は?

    10月13日の参議院本会議では、立憲民主党の森ゆうこ副代表がこの問題について岸田首相に質問を投げかけた。

    森氏はまず、河井克行・元法相が雇った業者が妻・杏里氏の選挙の際、相手候補のイメージ悪化を狙った投稿をネット上で繰り返していた問題に「これは民主主義の危機ではないですか」と言及。

    「自民党本部から河井陣営に渡った政党交付金を原資とする1億5000万円がネット工作による世論操作に使われていたとすれば、選挙という民主主義の根幹を税金を使って言われたことになります。総理、1億5000万円がネット工作に使われていなかったと断言してください」

    そのうえで「Dappi」の問題について、立憲民主党の小西洋之・杉尾秀哉の両参議院議員が発信者情報開示請求をしたことで法人が発覚したと説明。BuzzFeed Newsの報道に触れながら、こう質問した。

    「国会質疑の動画を編集して、本来の意図とは全く違う内容のフェイクニュースを作り上げ、拡散し、野党攻撃してきたTwitterアカウントの運営者が法人であることがわかりました。自民党の議員や支部との自民党の支部との取引があることもわかりました」

    「まもなく解散総選挙が行われます。総理、今回の選挙ではお金を使ってネット工作を行い、選挙の結果を不当に歪めるような卑劣な行為を自民党の議員には行わせないとこの場でお約束いただけませんか」

    岸田首相はこの質問について、以下のように答弁をした。一般論として答え、個々の問題への回答は避けた格好だ。

    「選挙運動や政治活動については、公職選挙法などに定めがあります。我が党の議員に限らず、それぞれの議員や候補者が、それらのルールに従って発信をし、選挙運動を行い、政治活動を行うべきであるということ、これは当然のことであると考えます」