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「バイデン氏の会見は合成」「バーチャル大統領」陰謀論が日米でまた拡散、発端は“目の錯覚“か

「合成」との指摘を集めているのは、記者の囲み取材に応じた様子を伝えている動画の4秒あたり。手前にあるように見えるマイクの風よけカバーに、バイデン氏の手が重なる場面だ。

アメリカのバイデン大統領をめぐり、記者会見する姿が「合成」であるという陰謀論がアメリカや日本のネット上の一部で広がっている。

しかし、これは「誤り」だ。目の錯覚でそのように見えるだけで、複数のメディアが別の角度からの様子を撮影している。

Twitterより

話題を呼んでいるのは、政治専門誌「The Hill」やテレビ局「ABCニュース」が3月17日に公開した動画だ。

バイデン氏が専用ヘリコプター「マリーン・ワン」でホワイトハウスを離れる前に、記者の囲み取材に応じた様子を伝えている。

「合成」との指摘を集めているのは、動画の4秒あたり。手前にあるように見えるマイクの風よけカバーに、バイデン氏の手が重なる場面だ。

NEW: Asked if he has any plans to visit the U.S.-Mexico border, where the number of unaccompanied teens and children in U.S. custody has reached record numbers, Pres. Biden says, "Not at the moment." https://t.co/2P6o3FPqv0

Twitter: @ABC

動画は切り取られ、米国のネット上で「合成」「フェイクインタビュー」として広く拡散。

たとえば、「Biden Fakes Interview, Green Screen Fails」(バイデンのフェイクインタビュー。合成は失敗した)とするアメリカのYouTube動画は50万回以上再生されている。

日本でも「NHK解体」を訴える豊島区議や、大統領選の時から陰謀論を発信しているYouTuberらが「CG失敗」などと伝えており、それぞれ数万回再生されている。

さらに、まとめサイト「保守速報」が以下のようなタイトルで記事を配信。Twitter上で3000近くのいいねを集めている。

《【衝撃映像】バイデン、合成だった! 米ABCニュースのインタビューでバイデンの手がマイクを貫通wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww》

保守系のインフルエンサーらも「合成映像」などと投稿。「バーチャル大統領」と呼ぶTwitterユーザーもいる。

マイクを持っていた人「本物です」

Drew Angerer / Getty Images

だが、これは「誤り」だ。たしかに一見、不自然な映像に見えるが、会見の様子はThe HillやABCニュースだけではなく、様々なメディアによって報じられている。

大手フォトエージェンシーのGetty Imagesには、他のアングルから撮影した囲みの様子が公開(写真上)されている。手前に大きなマイクがあることがわかる。

また、ロイター通信は横から撮影した様子(写真下)を配信しており、記者団から距離を取って立つバイデン大統領の様子が確認できる。

ワシントンポストでは、別の角度から撮影した

動画

が公開されている。

現場で実際にマイクを持っていたという米国営放送「Voice of America」の記者も、以下のようにツイートしている。

《これは全て本物です。「月面着陸は偽物だった」と同じようなナンセンスなものを信じているのは誰ですか?そしてより重要なのは、いったい誰が拡散しているのですか?》

I was the one holding the lighter-colored fuzzy microphone and thus literally in front of @POTUS on the South Lawn. It's all real. Who actually believes this 'faked moon landing' type nonsense and more importantly who is spreading it? https://t.co/9V3t0oqDz6

Twitter: @W7VOA

YouTubeには、実際にこれを再現したデバンカー(ファクトチェックに当たる人)が、合成を否定する動画もアップされている。

ソーシャルディスタンスを取るために長いマイクを使っていることから、目の錯覚が生まれているという分析だ。

YouTubeでこの動画を見る

youtube.com

アメリカ大統領選をめぐっては、日本でも大量の陰謀論がSNSを中心に拡散した。

多くはトランプ氏の支持者の間で広がり、YouTubeやまとめサイトが影響力を持っていたことがBuzzFeed Newsの調べでわかっている。

陰謀論の動画には、数十万〜100万回以上再生されているものもある。なかにはゲーム実況やビジネス系のノウハウを発信していたYouTuberが陰謀論に転じた例もあり、収益目的の可能性も否定できない。

報道機関、公的情報など信頼できる一次ソースへの言及がない、こうした陰謀論の拡散に加担しないよう、注意が必要だ。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

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