【加計文書】閣僚らの発言を振り返る 内閣府は「総理のご意向」否定

    山本幸三大臣の発表により、亀裂が生まれかねない結果となった。

    学校法人「加計学園」の獣医学部の新設をめぐる問題。文部科学省の再調査で19の文書のうち14の文書が確認されたことを受け、山本幸三地方創生担当大臣は6月16日、内閣府におけるヒアリングなどをした追加調査の結果を発表した。

    山本大臣は、その中で「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと発言した職員はおらず、安倍晋三首相からの指示もなかった、と明らかにした。

    また、内閣府の追加調査では、文科省の追加調査の対象となった文書のうち4種類と、新たに確認された4種類の計8種類を確認したという。

    内閣府では15日にあった文科省の調査結果の発表後、共有フォルダや一部の個人フォルダを調べたほか、幹部ら9人にヒアリング調査をしていた。

    山本大臣「文部科学省がどう受け止めたかだ」

    記者団に対し、「内閣府が文科省に『官邸の最高レベルが言っている』とか、『総理のご意向』などと伝えた認識はなく、また、総理からもそうした指示は一切ありませんでした」と発言した山本大臣は、こうも語った。

    「ただ常々、安倍総理大臣は『スピード感を持って規制改革を断行するように』と言っていた。その辺を踏まえての発言を文部科学省がどう受け止めたかだ」

    「総理のご意向」などの発言がなかった、とする山本大臣の発表は、文部科学省の認識とは、真逆だ。

    松野博一文部科学大臣は15日の会見で、「総理のご意向」などと記されたことについて、文科省の文書を作成した職員が「こうした趣旨の発言があった」と証言したと説明。

    「メモが作成された以上は、その場において、そういった発言があったのだろう」と、松野大臣は話していた。

    山本大臣の発表により、内閣府と文科省の職員の認識の違いが浮き彫りになり、亀裂が生まれかねない結果となった。文科省の職員が捏造した、というのか。今後、この認識について厳しく問われることになる。

    今回の内閣府の追加調査で、計8種類の文書が確認された。これまで文書について閣僚らはどう語っていたのか。発言をまとめた。

    1. 菅義偉官房長官「全く、怪文書みたいな文書じゃないか」

    菅官房長官は、5月17日の記者会見で、「全く、怪文書みたいな文書じゃないか。出どころも明確になっていない」と語った。

    「内閣府に確認したところ、『官邸の最高レベルが言っている』とか『安倍晋三首相のご意向だと聞いている』などと言ったことは全くなく、首相からも一切指示はない」と内容を全否定していた。

    2. 自民党・林幹雄幹事長代理「『こういうことはない』と言っているんだから」

    二階俊博幹事長が5月17日、記者団に対し「事態を見守って党としてもしっかり対応したい」と話すと、自民党の林幹事長代理は、その場で「官房長官も文部科学相も『こういうことはない』と明確に言っているんだから」と発言した。

    3. 自民党・二階俊博幹事長「信用したい」

    5月26日、文科省による初めての調査結果を受けて、二階幹事長は記者会見で「官房長官が『文科省の調査では文書の存在は確認できなかった』と言っている。信用したい」と述べた

    4. 義家弘介文科副大臣「行政文書じゃない」

    義家文科副大臣は6月7日、衆院内閣委員会で「私が確認していない文書、副大臣が確認していない文書がどうして行政文書になるのか。私には理解できない」と語った

    また、「私の発言であったとしても、正式な文書でも何でもない」とも強調した。

    5. 萩生田光一・官房副長官「正しいかどうかは次の話だ」

    安倍首相が松野文科大臣に再調査を指示した6月9日、萩生田官房副長官は「その資料が実在したとしても、(内容が)正しいかどうかはその次の話だ」と述べた

    また、15日に文科省の再調査結果が発表され、獣医学部の設置条件の文案に「広域的に存在しない地域に限る」と修正するよう指示したとされる文書があった。記者団に追及されると、こう反論した。

    「修正の指示を出したことはなく、文科省が公表したメールの内容は事実に反する」

    6. 安倍晋三首相「働きかけあれば責任とる」

    「働きかけているというのなら、証拠を出してください。そうだったら、私は責任をとりますよ。当たり前じゃないですか」

    安倍首相は3月、このように国会答弁で明言していた。

    6月5日になって「責任」とは何かを問われると「私の責任をとる。中身については申し上げる必要はない」と語った。

    BuzzFeed Newsでは、この問題について【「総理のご意向」文書の存在ではない 問題の本質は別にある】という記事も配信しています。