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恋のキューピッドは母だった。交際して20年経っても、まだ結婚式を挙げられない。

BuzzFeed Newsでは、「結婚式」を挙げたいと望むLGBTQの方々からのメッセージを募集しました。公式LINE「バズおぴ」に寄せられた一つのお話を紹介します。

同性同士の結婚が認められておらず、すべてのカップルが平等に結婚することができない日本。そんな中、式を挙げたカップルや、式を挙げたいと望むLGBTQのカップルは多いです。

あなたは、式を挙げるとしたら、どんなものにしたいですか?また、パートナーとのどのような暮らしに「幸せ」を感じ、国には何を望みますか?

BuzzFeed Newsは、公式LINE「バズおぴ」でLGBTQの方々からのメッセージを募ったところ、多くの回答をいただきました。

その中から、1人のゲイの男性に、LINE通話で詳しく話を伺いました。紹介します。

40歳の田口さんは、同じくゲイのパートナー(44歳)と付き合って、ほぼ20年になります。

「毎日、お互いに何事もなく暮らせていることが何よりの幸せ」。田口さんはそう話します。

田口さんは、家族や友人、会社にもパートナーの存在をオープンにしていますが、パートナーさんはそうではありません。

さらに、日本ではいまだに同性婚が法制化されていないため、結婚式を挙げることができていません。2人で生涯ともに暮らし、生きていくと誓い合っているのに...。

同棲生活、婚約のきっかけはお母さん

法的に結婚できるようになったら、お互いおじいちゃんだったとしても、ささやかでも、ご一緒してくださる皆さんが心暖まるような式を挙げたいと思います。

バズおぴには、こうコメントを寄せてくれました。

2人が出会ったのは、田口さんが20歳の時、インターネット上でした。

東京都内の自宅が互いに近く、意気投合。3回目のデートで田口さんから切り出しました。

「優しそうな人だなって印象がありました。ただ、付き合ったのかわからなくて、3回目のデートで『付き合ってるんだっけ?』って言ったんです」

そして、田口さんが26歳の時、同棲をはじめます。

そのきっかけを作ったのは、なんと田口さんのお母さんでした。

パートナーさんに「心配だから、一緒にそろそろ住んだらどうかしら?」と投げかけたのです。

すると、「わかりました」とパートナーさんはその時、返したといいます。

これを機に2人で話し合い、同棲生活をスタートさせると、その年に婚約しました。

公正証書ではなく...

一時期、パートナーさんがアメリカに留学。その半年後に田口さんが会社を辞め、後を追いかけて留学するということもありました。

そうやって、絆をさらに深めた2人は、付き合った当初から「どんなことが起きても、一緒に解決しよう」と思える関係を続けています。

弁護士と約3年間にわたって準備を進め、2019年に2人の関係を示す公正証書を作成しました。田口さんは言います。

「何もないよりは、安心感が違いますね。どちらかが入院した時、病院の付き添いだけでなく、手術の時には承認のサインもできます」

しかし、それだけでは全ての不安を払拭できないのが事実です。病院関係のことは公正証書で全てが解決するわけではなく、相続の問題も残ります。

「死んだ時のことは、まだ考えたくないですが、何が起きるかわかりません。何事も起こらず、平穏無事でこれからも健康だったら、しばらく同性婚ができないままでも良いかなと思います」

「でも、2人とも40歳を超えています。法律上、『友だち同士が一緒に住んでいる』というのはやはり不安ですよ」

だから、同性婚ができるだけ早く実現してほしい、と願っています。

できれば、この先10年くらいで。最低でも「死ぬまでには」とも言います。

「2人ともおじいちゃんになってから、ハネムーンに行くのは大変ですしね。いろんなところに行けるうちに、同性婚の実現をお願いしたい。旅行が好きなので、結婚してからも世界中に行きたいところがたくさんあるんです」

理想の結婚式、指にはめる大切な指輪

2人は同性婚が法制化されたら結婚し、結婚式を挙げたいと考えています。

婚約後に開いた婚約パーティの時のように、皆でわいわいとできる式が理想です。当時は、友人たちが40人ほど集まり、立食形式で2人のことを祝ってくれたといいます。

結婚式は、もっとにぎやかにしようと思っています。国内外に友人がたくさんいるため、200から300人を招き、屋外で式を挙げたいと夢を膨らませます。

「みんなにも、2人の結婚を一緒に喜んでほしいと思います。ただ、パートナーは家族にカミングアウトできていません。できればパートナーの家族にも参列してほしいですが...」

同性婚の実現に向け、ただ待っているだけでは変わらない。田口さんはそう考えます。

そのため、会社の業務のかたわら、LGBTと当事者を支援する人たち「アライ(支援者)」で作る従業員団体に所属し、啓発活動によって社内のLGBTQに対する理解促進に努めるだけでなく、講演会やSNSを通して外部にも声をあげ続けています。

「パートナーと法的に添い遂げ、僕たちの関係が、真っ当で尊重すべき関係であると、国に認めてほしいと思っています。パートナーと最期の時も、一緒に『良い人生だったね』って言いたいです」

いま、田口さんの右手の薬指には指輪がはめられています。付き合ってから初めての自分の誕生日の時、パートナーさんがプレゼントしてくれたものだといい、こう少し恥じらいながらも話してくれました。

「指輪を今でも大切にしてはめています。左手の薬指は、本ちゃん(本番)にとっているんです」


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