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アプリで出会った「小さな男性」。驚かなかった"告白"、魅力にあふれる彼との日々

「彼と出会ってからの自分が、すごい好きだなと思いました。自分が自分でいられるような環境にしてくれる人を手放してはいけないと思いました」

出会いは、マッチングアプリだった。

プロフィール欄には自分よりも小さい身長153センチの表示があった。

少し不思議に思ったが、重視するポイントではないと思えるほど、彼には魅力がいっぱいだった。

ストレートを自認する実希さんと、トランスジェンダーのFtM(女性として生まれ、性自認が男性である人)のハンクさんはいま、カップルとして幸せを噛み締めている。

実希さんがマッチングアプリを利用した初日にやりとりを始めたのが、ハンクさんだった。

価値観が合う。その日のうちにそう思えた。

メッセージのやりとりだけではなく、夜から朝にかけて電話もして直接会う約束をした。

そして、デート当日。プロフィールの通り、ハンクさんは身長が低い人だった。しかし、会う前も、会ってからも、見た目と声からは「小さな男性」としか思わなかったという。

カミングアウトを受けて...

食事を終えると、ハンクさんが「実は」とカミングアウトした。実希さんは言う。

「私は、職業が看護師で、学生時代からジェンダーやセクシュアリティの勉強をする機会がありました。FtMだと言われて、だから背が低いんだと納得しました。自分でもびっくりしますが、そんな驚かず、『そうなんだ。LGBTについて知っている。聞いたことある』って返しました」

その後、3回目のデートで、花束を持ったハンクさんに告白をされ、付き合うことになった。

ハンクさんの両親に、実希さんはすぐに温かく受け入れられた。

実希さんの母親にも「今の時代、そういう交際もあるよね。いいんじゃない」とすぐに理解された。

一方で、実希さんの父親は違った。「お前はレズビアンなのか」と言われ、「この人は何も知らないんだな」と思った。

実希さんが丁寧な説明を重ね、「今の実希が幸せそうだから、それが一番いい」と最終的に認めれてくれたという。

まだ結婚できない2人

交際を始めて間もなく、実希さんがハンクさんの自宅に転がり込むような形で同棲生活をしている。

2020年のうちに新居に引っ越しをすると計画中で、将来的には結婚も視野に、とんとん拍子に話が進んでいるという。

ただし、2人の結婚を阻む問題がある。ハンクさんは乳腺を摘出する手術をすでに終えているものの、子宮や卵巣の摘出などの性別適合手術を受けておらず、戸籍上は女性のままなのだ。

戸籍が男性に変わらない限り、2人は日本で結婚できない。同性婚が認められていないからだ。

多額の費用が必要になるし、失敗するリスクや体が痛む可能性を考えると悩んでいたが、いつかは手術を受けようと考え始めているという。

とはいえ、実希さんは「できるなら結婚はしたいですけれど、無理にでも戸籍を変えてほしいと思っていないし、結婚よりもずっと一緒にいる方が大事です。彼が、彼自身でいてくれたらそれが幸せだなと思うんです。ただ、異性同士の結婚はできるのに、同性婚ができないことにもどかしさを感じています」と話す。

理想の結婚式、彼への思い

ハンクさんの魅力は、数え切れないほど多く感じている。実希さんは「付き合ってから、会わなかった日が2日以上空いた日がないんです」と幸せそうに語る。

気持ちや考えていることを言葉にするのを怠らないこと、リードしてくれるところ、いつも実希さんの味方でいてくれるところ、決断力があること...。

「波長が合うと思えるのが大きくて。一緒にいて居心地がいいですし、彼の個性に魅力を感じています」

「私、20歳を過ぎたら、人にトキめかないと思っていたんですけれど、『うわ、すごい心が動いている』と感じて。そして、彼と出会ってからの自分が、すごい好きだなと思いました。自分が自分でいられるような環境にしてくれる人を手放してはいけない。将来を考えて、これから一緒にいたいと伝えました」

ハンクさんが将来、戸籍を男性に変えるかはわからない。同性婚が日本で実現できるかもわからない。

けれど、ハンクさんともし結婚式を挙げるなら、海外のワイン・カントリーで家族と親しい友人を招待して、2人の選んだ道を見届けてほしいと考えている。式場をワイン・カントリーにするのは、実希さんのかねてからの夢だという。

「少なくても50人くらいに来ていただき、個性があらわれるような式がいいなと思っています」

「私は、ストレートだと思って生きてきて、性自認も女性です。それでも彼が好きで、本当に今、幸せです。恋愛に異性愛も同性愛も関係ないと思っています。好きになった人が好きなんです。これからも自信を持って好きでいたいです」


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