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安倍首相、「現金10万円一律給付」までのプロセス。「全国民」とする対象とは?

「混乱を招いてしまったことについては、私自身の責任であり、国民のみなさまに心からお詫び申し上げたい」

安倍晋三首相は4月17日に記者会見を開き、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、緊急事態宣言の対象地域を全国に広げたことなどを改めて説明した。

政府による経済対策の目玉として突如あがった国民への現金10万円の一律給付について触れると、謝罪した。

当初は著しく減収した世帯に30万円を給付するとしていた方針を転換したためで、「混乱を招いてしまったことについては、私自身の責任であり、国民のみなさまに心からお詫び申し上げたい」と述べた。

これまで野党や国民からは現金の一律給付を望む声が多数あがってきたが、安倍首相が受け入れることはなかった。

その後、公明党の強い要請もあって、国民1人あたり現金10万円の一律給付というかたちに変わった。

この点について、安倍首相は会見の冒頭、こう語った。

「国民のみなさまから寄せられた声、与野党のみなさまの声を踏まえて、さらに給付対象を拡大することをいたしました」

「ここに至ったプロセスにおいて、私自身の責任であり、国民のみなさまに心よりお詫び申し上げたいと思います」

判断に至るプロセス

なぜ最初から現金一律給付を選ばなかったのか。報道陣から質問があがった。

安倍首相は、その判断に至るプロセスを説明する中で、「政府や与党で議論した時にも、一律10万円給付の案もあった」としたうえで、こう述べた。

「リーマンショック時代に定額給付金として国民1人あたり1万2000円をお配りした。しかし、経済効果という観点からは、多くが預金として寝てしまったという反省点がありました」

新型コロナウイルス感染拡大において、大きな打撃を受けた特定の事業者をまずは「手厚く支援」する。その後、問題の収束が見えてきた段階で、消費を換気しようと対策を考えていたという。

それでも、緊急事態宣言を全国に拡大する中で、「特定の事業者や周辺の関係者だけでなく、ほとんどの国民が外出自粛をしなくてはいけない。どうなるかという不安の中にいる」と状況が変わったとの認識を示し、こう言った。

「国民みんなで連帯して乗り越えていく中においては、一律10万円をすべての国民にお配りするのが正しいと思いました」

「国民からそういう声が強いと承知していました。国会の手続きを終えるなんとかギリギリのタイミングで判断をした。1週間遅れるため、もっと早くしておけばよかった。改めてお詫び申し上げます」

全国民とは?対象はどうなるのか

スピードを重視して手続きを簡素化し、郵送やオンラインでの申請を予定だといい、安倍首相は「できるだけ現金をできるだけ早く国民のみなさまにお届けしたい」と語った。

「具体的な方法は、急ピッチで作業を進めています。できるだけ早く、いつまでにというのを伝えられるようにしたい」

2009年に実施したリーマンショック後の「定額給付金」は、全国民に1万2000円(18歳以下と65歳以上は2万円)を配布した。

基準日を設け、「住民基本台帳に記録されている者」と「外国人登録原票に登録されている者」を対象とした。ただし、不法滞在者や短期滞在者は対象外となった。

また、住民基本台帳に記録されていない一部のホームレスやネットカフェ難民なども給付されず、批判の声があった。

今回の現金10万円の一律給付は、具体的に誰を対象とするのか。排除される人は出てくるのか。総務省の生活支援臨時給付金室の担当者は「これから話を進めるため、具体例には何も決まっていない」とBuzzFeed Newsに話した。