【ボイジャー1号】まさかの復活!「0と1を繰り返す」意味不明なデータを送り続けていたが、5カ月ぶりに解読可能なデータが地球に届く

    ボイジャー1号に搭載された3台のコンピューターの一つ「フライト・データ・システム (FDS) 」に異常が発生。NASAの技術者が奮闘した結果、FDSのメモリを保存するチップが破損していることが原因だと判明していました。

    地球から最も離れた場所にいる宇宙探査機「ボイジャー1号」が2023年11月に故障。

    0と1を繰り返すだけの意味不明なデータを送り続けていましたが、NASAの技術者の奮闘の結果、5カ月ぶりに解読可能なデータが送られました。

    ボイジャー1号を運用するアメリカ航空宇宙局(NASA)が、日本時間4月23日に報告しました

    木星と土星を調査するNASAの探査機ボイジャー1号とボイジャー2号が通る軌道の想像図(1977年頃)。(写真:Space Frontiers/Archive Photos/Getty Images)

    ボイジャー1号に起きたトラブルとは?

    ボイジャー1号は1977年に地球を出発。木星と土星の探査という当初の目的を達成した後も、宇宙探査を続け、2012年には太陽圏(太陽風が届く領域)を飛び出し、人類史上初めて星間空間に到達しました。現在は地球から240億km以上も離れています。

    トラブルが発表されたのは2023年12月のこと。ボイジャー1号に搭載された3台のコンピューターの一つ「フライト・データ・システム (FDS) 」に異常が発生。科学データや機体の情報が地球に送られてくるはずなのに、行き詰まったかのように「1と0の繰り返しパターン」だけが送られてくるようになったそうです。

    星間空間を航行するボイジャー1号のイメージ図(NASA/JPL-Caltech)

    メモリを保存するチップが破損したことが判明。NASAの技術者はどう対策した?

    NASAの技術者が奮闘した結果、FDSのメモリを保存するチップが破損していることが原因だと突き止めました。チップを修復することができなかったため、このチップに保存されていたコードを分割して、コンピューターシステムの別の場所に保存することにしたそうです。

    手始めに4月18日、機体データを別の場所に移す命令を送信しました。地球からボイジャー1号まで電波が届くのに22時間半かかります。

    そして、ボイジャー1号から22時間半後に地球に届いたデータは、これまでのように意味不明なものではなく、解読可能な状態になっていたそうです。5カ月ぶりにボイジャー1号の機体の状態を確認できたのです。

    5カ月ぶりにボイジャー1号の健康状態と状態に関するデータを受け取った後、4月20日、NASAのジェット推進研究所の会議室でボイジャー飛行チームのメンバーが祝賀会を開く様子(NASA/JPL-Caltech)

    NASAのリリースには、拍手をしたり両手をあげたりする技術者たちのうれしげな写真が掲載されています。

    今後数週間以内に、研究チームは FDSを再調整して、科学データを受信できるようにするということです。はるか宇宙の彼方にいる宇宙探査機を、超遠隔操作で修理したNASAの技術者の努力の賜物ですね!